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忘れられない青

作者: 大丸

登場人物

主人公 D

友人 I、R

女性 A

あなたは青いものを思い浮かべてと言われたら、どんなものを連想しますか?


私は。


「もしもーし。もしもーし。」


「なに?」


「いや、暇だから電話しただけだよ笑」


「なんだそれ。切るぞ?」


「今さ、Rと一緒にいるんだけど、お前も合流しない?」

「みんなでドライブ行こうってなってんだけどさ、もちろん他にも声かけっからさ。」


「こんな時間にどこ行くんだよ笑 海とか?」


「うーん。まだ決めてないけど、怖場(こわば)行く?」


「行かねーよ。夏なら行ってたかもだけどな笑」


「まだ夏だし!まだ9月じゃん!全然行けるって!」


「いや、あと何分かで10月なんだけど?笑」


「細かい!とりあえず迎え行くから、すぐ出れるようにしといて。」



今でもあの日のことは会話から全て、鮮明に覚えています。

電話の内容通り、私はこの後心霊スポットに友人と行くことになり、恐怖体験をすることになります。



皆さんは怪談、心霊写真や心霊映像をご覧になられたことはありますよね?

赤いものは悪い霊だ!とか、赤い霊現象には注意してください。という話を耳にしたことがあると思います。

私もそういう番組はよく見ていたので、そういう知識は割とありました。


ですが私は、青という色が、今回の体験で...









プップー

部屋の外からクラクションが聴こえたので、私Dは鍵と財布、携帯とタバコを持って部屋を出る。すると、私の友人I君とR君の二人と、名前も知らない初対面の女の子が一人、車に乗っていた。


「え?誰?」


誰だかわからないことに気まずさはあったが、話上手な友人のおかげで、難なく親しくなることができた。

彼女の名前はAさん。夜なのにサングラスをかけ、流行っているのかどうなのかわからない少し古臭く感じる洋服を身にまとい、少し変わったセンスの子だと感じた。しばらく会話を楽しんでいると、I君が口を開いた。


「そういやDさ、Aさんと会って何か感じない?」

少し笑みを浮かべながらI君は続けた。

「Aさんも霊感あるんだってよ。」

私は幼い頃に霊なのかどうなのかわからない奇妙なものを見たことや体験をしていたので、友人からは霊感があると思われている。が、私自身どうなのかわからない。Aさんには変わった身なりの印象しか持たなかったことを話すと、Aさんは少し怒った表情を見せた後、自身の話をしてくれました。


道中、彼女の話は面白く、私達を飽きさせませんでした。そして、Aさんは青が嫌い...という印象だけが、何故だか残りました。


都内から高速を利用し、下道に降りてから、友人はナビを頼りに車を走らせ、いよいよの雰囲気がある山道へとさしかかった。この時、時計を見ると1時50分と、いかにもの時間帯で皆のテンションは高まったが、数メートル先が漆黒で見えない景色に、各々胸がざわつきはじめる。


R「うわ。俺無理だわ。帰らねー?」

I「なんで笑 まだ目的地にも着いてねーよ笑」

R「道幅もかなり狭くなってんじゃん。色々こえーよ。」


確かに道幅はかなり狭くなっている。たまに割れていたり、裂け目から草が生えていたりと、ずっと舗装されないままの道路を走っているので、不安にはなる。


D「俺も帰りたいかも。 さすがにここは危ない気がする笑 てかどこに向かってんだよ?」


I「Dもかよ笑 目的地は は い そ ん ! 何でも最近までは人住んでたらしいんだけど、今はその人も亡くなって廃村になったんだとさ。」


「しかも、その廃村、何故か地元では自殺の名所ってことで有名になってるらしくてさ、怖場になったんだと。」

「まー、真偽は定かじゃねーけど、廃村って怖そうじゃん? 行くしかないでしょ笑」


この時点でみんなかなりビビっていたのですが、ここまで来たからには少しだけでも廃村を見て帰りたいと、車を進めます。



突然のことです


ゴポッ


今まで車を走らせていて、聞き慣れない音が車内に響きわたりました


え?何?なんの音?


1度車を止め、音を確かめようとしましたが、皆を言い知れぬ不安感が襲い、気にせず先に進もうということになり、先に進みます。


ゴポッ ゴポッ


何度もこの音が響くので、I君が車を止め、調べることになりました。


A「ねー!」

「ねー!ここ嫌だ!」


気がつくと、先程までは確かに山道を走っていた私達は辺りを見て驚きました。


ここどこだよ。


なんで廃墟があんの?え?なんで?


暗くて全貌は定かではありませんが、辺りを見渡すとそこには民家があり、恐らく目的地の廃村に着いたのであろうと私達は思いました。


A「ねー!聞こえてるの!?ここは駄目だから本当に帰ろうよ!」


Aさんが何かに怯えている様子を見て、私も怖くなり帰ろうと提案しますが、友人2人は聞く耳を持ちません。


I「たぶんここだわ。」

車を調べながらI君が言いました。

R「目的地?」

I「そうそう。白い柱の小さな廃墟が目立ってたってサイトに書いてあったからたぶんここだよ。あそこに見える廃墟、白い柱あるし。」

A「あのさ、2人はなんともないのかもしんないけどね。あたし本当に気持ち悪いの。嫌な予感しかしないし、それに。」


なに?

A「苦しいの。さっきからずっと誰かの声も聴こえてるの。」

R「おいおいおいおい笑 さすがに怖いからやめてよ。」

D「どんな声?」

A「わかんない!怖いの!もう本当にヤダ!」

Aさんは泣きながらそう言いました。


そんなAさんの様子を見て慌てましたが、すぐに違和感に気付きます。

D「I! 車どうなの!?」

返事がありません。RもI君に呼びかけましたが返事がありません。

I君がAさんの様子を確認すればすぐに車に戻ってくるはず。なぜなら彼は強がってはいても、実は私達以上に怖がりだったからです。私とRはIが近くにいないのだと思い、I君を探そうと急いで車から降りました。


なんだよ!いるんじゃん!


I君は後輪横にしゃがみこみ、私達をニヤついた表情で言いました。


「びっくりしたでしょ!笑」

DR「ふざけんなって!」

D「お前Aさんの様子知ってて、よく平気でいられんな!」


は?

R「え?」


私は二人の反応がとても奇妙だったので、もう一度同じセリフを言おうとしました。

D「だから、Aさんがこんな...」


誰?


え?Aさん


友人2人はお互いを確認するように向き合い、ふざけているのかAさんを知らないと言います。


D「さすがにお前らふざけすぎ。ともかくAさん様子おかしいから帰ろうぜ。」


R「Dさ、真面目に言ってるよね?」 D「え、うん」



I「ちょちょちょまって焦 マジで怖いからやめて!脅かした俺が悪かった!俺もう泣きそうだから...笑」


私はAさんの様子を確認しようとしましたが...


確かにさっきまで隣に座っていたはずの彼女の姿が見当たりません。


ゾクゾク

私は悪寒を感じたと同時に、取り乱しながら友人に確かめます。

D「Aさんは!?Aさんどこ!?」


私の様子がただ事ではないことを察した友人は車に飛び乗り、エンジンをかけ、車を発進させます。無言のまま、しばらく走らせた時にI君が声を震わせながら私達に言いました。


I「おい...下り道ずっと走ってんのになかなか抜けないんだけど...てかさ...こんなに家あったっけ?」


私とR君も窓の外を見て驚きました。

間隔はあけど、不思議なことにまったく同じ洋館のような小さな廃墟が延々と私達の視界に入ってくるのです。


こんな状況で2人に確認するのはどうかと思いましたが、Aさんについて、再度友人に確認しました。

D「俺迎えに来てくれた時さ、Aさん乗ってたよね?」


すると2人は意外にも、確かに女の子を車に乗せたような気がすると言い出したのです。ただ、Aという名前だったのか、容姿、声、彼女に対して全く覚えていないとのことでした。


R「あ!でもあの子確か青が嫌いって言ってなかったっけ?」

I「言ってた!」


どうやら私同様、彼女は青が嫌いだということは覚えていたのです。


キーーーーーッ!

Iが急ブレーキを踏みます。


シートベルトの圧で苦しくなった上半身を起こすと...



車の前にAさんが立っています。


I君とR君にもその姿は確認できるらしく、あれがAさんだということを思い出せたようです。しかし私達は彼女が恐らくそうであろうことに恐怖し、皆、顔を上げて二度彼女を見ることができません。


どれくらいの時が経ったか定かではありませんが、顔を上げて車外を見渡しますが、彼女の姿がありません。私達は助かったと肩をおろしました。


Iはそっと車を走らせます。

ですが、やはり同じ景色をループするばかりで、抜け出すことができません。その時です。




ゴポッゴポッゴポッ



またあの時と同じ音が車内に響きわたります。



「なんだよこれ...!」




ゴポッゴポッゴポッ ガハッオエッ たすけて

「うわああああ!」

私達の耳元で、苦しそうに助けを求める女性の声がしたのです。


そして絶叫の中、先程とは違う風景に私は気付きました。

D「車止めて。おい!車止めろ!」

I君は泣きながら車を止めて、誰に謝っているのか、ごめんなさいと繰り返していました。


D「家の玄関の戸が開いてるんだけど、さっき閉まってたよな?」


R「閉まってたと思う。」


私はAさんに呼ばれている気がしたのと、Aさんを助けないと、という使命感で、2人に廃墟に入ろうと提案しましたが、2人は怖がって嫌だを繰り返します。


私は諦め、友人にここで待機するよう伝え、ひとり、廃墟に向かうことにしました。


懐中電灯を持ってきていなかったので、携帯電話のライトを照らし、歩を進めます。


微かに、車で聴こえていた[ゴポッ]という音が聴こえるので、恐怖を押し殺し、音のなる方へ近づいていきます。どうやら、細く短な廊下の先から、その音は聴こえてきます。


たどり着いたのは浴室と思われる場所でした。

浴槽と、シャワーノズルが外されたホースがあります。




「Dくん」


名前を呼ばれ、後ろを振り返るとそこにはAさんが立っていて、胸が破裂するのではないかという程、驚きました。


Aさんは私に近づき、そっと触れました。


すると激しい苦しみと、ある映像が見えたのです。

私はこの場所で何があったのかを理解しました。


Aさんはこの場所で溺死させられたのです。


シャワーホースを口に押し込まれ、何時間も、何時間も、ひたすら溺れさせられ、殺されたのです。


遺体は山を下った場所にある、川辺に棄てられた。


Aさんが私に触れた時、その日起きた出来事が見えたのです。そして、Aさんは浴槽から少し離れた部屋を指差しました。


その部屋に入ると、荒れ果てた床の中にアルバムが放置されており、その近くにAさんと、Aさんの御両親と写っている写真が落ちていました。




そしてお父さんは青いシャツを...


Aさんの顔を見ると、ニヤッと微笑みました。






いかがでしたか?

この作品はフィクションですが、実際に霊から何らかのサインを受け取る人たちがいるのは事実です。

霊を怖いと感じる方が多いですが、必ずしも悪い霊ばかりでないということを知っていただけたらと思います。


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