覚悟の始まり
男の子は目を覚ます。自分の部屋のベッドの上にいた。
「(なんだ…変な夢だった)」
まだ夜が明けていない中、トイレに行こうと部屋に出ようとする。
「…あれ?なんか…廊下の先が赤い…?」
男の子が部屋を出た瞬間だった。
目の前で廊下が一面にして炎に包まれていて、煙が舞っていた。
「…!?火事だ!!!」
男の子は火事だと判断してまず親を探そうと炎の中、火を避けつつ必死に探そうとする。
「おかあさーん!!!!おとうさーーーん!どこにいるの!!!!」
辺りの炎が他の置物やあたりに移り広がっていく。それでも立ち止まることなく探し続けていたところ、台所の床に倒れこんでいる母親を見つける
「おかあさん!!!…」
気が付いた時、母親は仰向けの状態で血を流しながら倒れていた。反応もなく、頭からの出血が酷く、身体にはナイフがいくつも刺さっていた
「おかあさん!!!!おかあさん!!!!なんなんだよこれ!!!!!」
男の子はそれでも母親を起こそうと必死に呼びかけ、応答するまで身体を揺さぶり続ける。辺りはもう、炎の壁で出入りができないくらい、激しくなってきていた。
「起きてよ…おかあさん!!!」
「おい!!!!居るかーー!!!」
遠くから叫び声が聞こえた。そこから炎で上の壁が崩れ落ちそうになってきているところに男性が走って男の子の袖を引っ張ろうとする
「!!!!!!!!」
「行くぞ!!!君まで焼き死んでしまう!!」
「でも!!おかあさんが!!」
「いいから来い!!!!」
だが男性は男の子の父親ではなかった。しかし泣きわめく男の子を抱きかかえたまま走る男性は、男の子の辛さに同情しつつも、あたりの炎を上手く避けながら自分も辛い思いにひたっていた。