記憶のない再開
「…誰??」
男の子はその声に反応し後ろを振り向く。
そこには透明姿の人間が突っ立っていた。
「…待っていた。が、まだ早かった様だ、白」
「??」
独り言のように呟き始めるさまに、男の子は全く理解できていなかった。
いや、理解しようがなかった。そのような状況だ
「…白って??」
「お前の事だ」
自分の事が白だと言われていた事だけに気づいた男の子は怒った表情を見せ
る
「違うもん!僕の名前は白じゃないもん!」
「では逆に問おう、御前の名は何だ?」
男の子は冷静すぎる対応にすこし圧力を感じているのか、体が震えている。
「僕はね、僕の名前は-」
「…あれ?…なんだっけ?おかしいなぁ…」
「…」
思い出そうとするものの、何も答えられないまま男の子は黙ってしまう。
その反応がわかりきっているかのように透明の人間は全く動揺していなかった。
「…激変の前兆か」
透明の人間は男の子に迫り、顔を近づけようとする
「今からがお前の出した答えだ。覚悟して前進し続けろ」
「??????」
その返答に再度全く理解できないままあたり一面光に包み込まれる。
男の子とその透明の人間は、またもや光に飲み込まれていった
「…待っている」