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迷走
迷走する男は確実に無表情になり無力状態のまま首を床に向きながら立ち竦む。
その状態でまたもや時間が経過する、いや、この空間に時間の概念など無い。
「お前は現時点でまだ(白)だ。思い出すな。今答えを述べ、決断しろ」
冷静に立ち竦んでいる男を見下すように眺める透明の人間。
「今、消えるか、完全なる白になるか、だ」
瞬間、その言葉に反応したのか男は咄嗟に透明の人間に睨み付け、表情がいっぺんする。
「………うるせえよ…
白だろうが黒だろうが…俺は俺だ
てめえの指図なんて受けねえ…」
圧力に押し潰されそうな苦しい表情を見せながらも、透明の男には背を向けようとすることを嫌うかのようににらみ続ける。
「…」
「…だがな…俺は…----」
「…」
男の返答で会話に長い間が空く。
「成程。お前の答えに応じよう」
「…っけ…おまえは結局何者なんだよ…」
その瞬間だった。辺り一面光が覆いかぶさるかのように完全なる白に覆われていく。男と透明の人間はなにもないかのように光に覆われてていく。
「これでお前は白だ。
…待っている」