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答の記憶
「…」
彼は立ったままの状態で意識が薄れていた。
自分が今、白い空間にいることにも気づかずに。
「随分大きくなったな、白」
誰もいない空間に薄っすらと透明の影が現れる。
まさしくもあの透明の人間だった。
「私はずっと見ている。今のお前の、白の世界を」
こちらの存在にも全く気づいていない彼。それを分かっている透明の人間は立ってる彼の方へ近づき、語り続ける。
「まだ理解など要らない。私の言葉など聞かなくて良い」
…………
「感じろ、生きる覚悟をお前は私にくれた」
………
「思い出せ。その言葉を----」
その瞬間、空間は光に包まれる。全くこの空間に飛ばされたことすら実感していないかった彼は突っ立ったまま、光の中に飲み込まれていった。