生の意
「お前に生きる目的はあるか?」
一人の男がもう一人の男に尋ねる
「無い。そもそもここはどこだ。」
真っ白に広がる無限の空間に佇む二人の男
無音であり床が歩ける事が不思議なこの場所に疑問しか抱いていない人間と、じぶんの問いに何かの返答を望んでいる人間が居た。
「さっきから会話が全く進まねぇ。しかも成り立たねぇ。譲り合いという言葉は知ってるか?」
「今より君を優先している私に譲り合いだと?」
「…は?」
煽り、煽り返された感じで苛立ちを表に出した一人の男は胸ぐらを掴むように手を出す
「!?」
しかし簡単にかわされたと思いきや、掴まれそうになった方の男は平然と佇んでいるだけだった。
「お前…透明人間か?」
怒りから唖然へと変わる。その表情に自分の方が優位にたっていると認識し、透けている状態の男はその返答を無視する。
「仕方ない。なら生きる目的を今つくれ。この問いに答えればお前の問いに私は答えよう」
「…」
何かに納得がいかない沈黙した方の男は床に座り込む。
「…ちなみに俺はお前じゃない。きちんとした名前がある。」
「それは後で聞こう。話を反らすな」
「(…またかよ)」
一方的に話を進めていく透明の男に諦めを付け、考え込むあぐらをかぐ男。
今更だがこの空間には2人しか存在していない事がわかる。
「(そもそもなぜここに飛ばされた?俺は以前に一体何をやっていた?車にでも跳ねられたねか?俺は死んだのか?俺は…)」
考えよりまず以前にあった出来事を思い出そうとする男。しかしその思い出そうとする行為が自分を蝕んでいた事に気づかなかった。
「……俺は……一体誰だ…?」