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3/5

プレゼントは・・・、そしてMerry X'mas

時系列がリンクしておりませんがお気になさらず!

本編とは別のものと思ってお読みください!!

大丈夫な方は、さあどうぞ!

「ディー!『Merry Xmas』!」

手製のクラッカーをパンッと鳴らすと、いきなり短刀を投げつけられた。

危ないので避けておく。


「もー・・・危ないじゃないですか。怪我をしたらどうするんです?」

「あっさり避けておいて何言ってる。」

「あっさりでも何でも、いきなりは驚くものです。」

「・・・お前も急に驚かしてきただろ。自業自得だ。」

だからといって普通投げてくるものだろうか?

納得がいかないと目を向ける、口を尖らせながらディーがそっぽを向いた。


・・・・やれやれ仕方ない。


今回ばかりはディーの可愛さに免じて、許しておいてあげよう。


「では改めて。『Merry Xmas』です!」

お菓子を渡された。


「ディー・・・ハロウィンじゃないですよ。」

「違うのか?」

「全く別物です。」

受け取ったお菓子からディーへと目を移すと、何やら私に手を伸ばしかけていた。

目が合うと慌てて引っ込められる。

?何だろう?


「・・・で、今度は何をするんだ?その『クリスマス』っていうのは。」

「冬に行うお祭りで日本では皆で集まっては騒いだり、ケーキを食べたりと・・・まあ、楽しく過ごすんです。」

「なんだそれ。冬にやるのに今やってどうするんだ?」

まあ、そう思いますよね。

「なんとなく思い出したんですよ。最近寒くなってきたので。」

興味なさげに息を吐くディー。

しかし、これから話す内容にもそんな態度でいれるかな?


「そうそう!いい子にしていると『サンタさん』が現れるんですよ!」

さんたさん?とディーが首をかしげる。


「子供たちの願いを叶えてくれる素敵な人です。靴下の中に願い事を書いてベッドのそばに置いておく。そしてそのまま、クリスマスの朝を迎えると、願い事をサンタさんがプレゼントしてくれるんです!どうですか?楽しそうでしょう!」

「くだらないな。」

なんと!?


「どこがくだらないんですか!?」

「俺は成人している。もう子供ではない。」

あー、なるほど。

ニッコリと微笑む。


「大丈夫ですよディー。ディーはいい子・・・かはわかりませんし子供でもないですが、その可愛さがあればどうとでもなります。プレゼントもらえますよ。」

「バカにしてるのか?」

「可愛いは褒めてます。」

いい子かは私にはわからない。だって短刀を投げてきたし。

ディーがため息をついた。


「・・・結局、お前は何を言いたいんだ?」

「へ?」

目を瞬くとディーが呆れた声を出す。


「何かやりたいことがあるんだろ?言え。バカな事じゃなければ付き合ってやる。」

その言葉に思わず笑みが溢れた。さすが親友ディーだ。


「本当はクリスマスの話をして興味を持ってくれたらお願いしようと思ったんです!えっと、はい!ディの分です!テレレテッテテー!」

「なんの歌だ。」

「気分です。」

お父さんが好きだったアニメを思い出した。

確か、青いたぬきが物を取り出すときの音だったはず。

「これは?」

差し出すと素直に受け取ってくれたディー。


「エミリアさんに言って作ってもらった『サンタさんお願い用靴下』です!二人でこの世界にもサンタさんがいるかを確証してみましょう!!」

「却下だ。」

何故!!?


「バカなことに付き合う気はないと言っただろ!」

「バカじゃないですよ!私は真剣です!!」

「そんな訳のわからない人物がいるわけないだろ!普通に考えてみろ!!」

「いますよ!サンタさんは永久不滅です!!」

「少なくともこの国で不審人物が現れたのはお前が初めてだ!!」

むっかーーーっ


「もういいですよ!ディーのバカ!大っ嫌いです!!」



***********************


「それでこちらに来られたのですね。」


ここはアドルフさんやローズにマリーなどいろんな人たちが一休みできる一室。厨房が近いためお菓子が絶えず常備されている。

そこでアドルフさんにお茶を入れてもらい、ガツガツとお菓子を頬張る。


「ディーは夢がなさすぎます!自分だってまだ子供のくせに・・・。」

「16で成人でございますから、子供の自覚はもうないのでは?」

「私の世界では20で成人です。ディーは19!まだまだ子供です!」

「ほっほっほ。世界が違うだけでここまで違うのですな。」

愉快そうに声をあげると、おかわりをついでくれた。

ありがとうございます。


「ですが、よろしいのでございますか?」

かちゃりとカップを置きながらアドルフさんが聞いてきた。

「何がでしょうか?」

「殿下に『大嫌い』と申したままで。本来の・・・目的は更に別のものでございましょう?」

「・・・・・・・。」

何で気づくのだろう・・・この人は。

席を立ってこの部屋に隠しておいた、四角い箱取り出す。


「そちらは?」

「マフラーです。エミリアさんに糸をもらって作ったんです。」

わざわざ靴下一つでエミリアさんに頼む訳が無い。

毛糸というものがないこの世界で似たような物を探し出してもらったのだ。そこからは必死。

編み物はなかなか難しいものだった。


「日頃のお礼も込めて、冬の前に渡したかったんですけど。」

「でしたらこんな遠回りなさらなければよろしかったのではございませんか?」

「驚かした方が喜ぶかと思って・・・・。」

失敗だった。まさかあそこまで興味がなかったとは・・・。

この世界の成人制度が憎い。


「直接渡しても・・・あれ・・なら大喜びだというのに・・・。」

ボソリとアドルフさんが何か言った。目を向けるとにっこり微笑まれた。


「まあ、ご安心ください。そのプレゼントはお渡しできますよ。」

「怒らせたのに・・・ですか?」

「ええ。まったく問題ございません。」

わけがわからない。何を根拠にそんなことを言えるのだろうか。


「碧姫様よりは付き合いが長うございますから。」

心を読まれた。やめて欲しい。

「顔に書かれているのですよ。」

・・・・・頑張れ私。悟りを開け。

心と顔を無にしようと躍起になっていると再び笑い声をあげられた。



「疑問にお思いなら見てみれば良いのですよ。ご自身の目で・・・・ね?」



***********************



静かに扉を開く。開け慣れているので、この扉がゆっくり開ければ音が立たないと知っている。

まだ夜も明けない中、暗闇の広がる部屋をカンで歩く。


え~っと、確かこのあたりにカーテンが・・・あ。あった。


少しだけ開く。月と星がキラキラとしていて十分な明るさが窓から差し込んできた。

振り返って確認をする。


よしよし!起きる気配はないですね!


弱い光を浴びる部屋の住人、ことディーを見つめる。

朝日を浴びたディーの髪も綺麗だが、夜の日に当たるディーもなんだか綺麗だ。


「いつもは朝にしか見ないですからねー。眼福眼福!・・・って、そんな事言ってる場合じゃないか。」

部屋に潜り込んだ目的のものを探す。テーブルの上、椅子の上。床など光が当たる範囲を見渡す。

しかし・・・・。

「ん~・・・やっぱり無いなー・・・。」

もう少し明かりを増やそうか、とカーテンを広げる。

すると、今度は簡単に見つかった。


「・・・アドルフさん。貴方の言う通りでしたよ。」

思わず笑みが溢れる。ギュッと手に靴下を握り締めたまま眠るディー。

なんだかんだと言いながら自分に付き合ってくれるディーはやはり優しい。

靴下の口から紙が見えるあたり願い事も書かれてあるようだ。


・・・何が書いてあるんだろ。


気になった。プレゼントのマフラーを枕元に置き、靴下を引っ張ってみる。


うっ・・・取れない。


本当に寝ているのかと疑うほどしっかりと握りこまれた靴下。こうなるとどうしても見たくなってしまうのが人のさがというもの。強めに引っ張る。

それがいけなかった。


「・・・・・・碧姫?」

「―――――っ!!」

声にならない叫び声をあがった。動悸が早まる。

声が聞こえた方にぎこちなく動く首をずらすと、バチリと目があい電流のように体に緊張が走る。

背中に汗を流しながら今の自分をディーの目線で考える。

1:怒っている相手。

2:起床でもないのに部屋に不法侵入。

3:しかもせっかく付き合ったのに、願い事を覗こうとしている。


・・・・非常にまずい。

慌てて弁解してみる。


「あの、ディー!その、こ、これは・・・・」

「・・・たんだな・・・。」

ボソリと聞こえた。

「へ?うあっ!!?」

ディーの腕の中に引き込まれる。ギューっと苦しいくらいの力で抱きしめてくるディー。


「ディー・・・・?」

「・・・いたんだな・・・サンタ・・・。」

たどたどしく言葉をこぼすディー。さっきはしっかりと目があったのに今は閉じられている。

もしかしてこれって・・・・。


「寝ぼけてますか?」


返事は帰ってくることなく、静かな寝息だけが頭の上で繰り返される。

・・・・どうやら本格的に眠ったようだ。

離れようと腕を押したり、剥がそうとするがなかなか抜け出せない。むしろ、押せば押すほど強く抱きしめられる。

うーん・・・・。


「まあ、いっか。」

仲良く寝るのも悪くないですからね。

動いたことで体からずれてしまった毛布を、なんとか自由のきく手でディーと自分にかけ直す。

回された腕とピッタリとくっつくディーの体温に肌寒かった体が温まっていく。それと一緒に眠気もやってきた。


「『Merry Xmas』ですよディー・・・。起きたらマフラーつけて、喜んでくださいね・・・。」

本格的な冬はまだまだ先で、本当のクリスマスもきっとまだまだ先だが・・・どこからか鈴の音が聞こえたような気がした。




その音と、寄り添うディーの胸の音を耳にして、静かに眠りについた――――





今回も書きたくなったお話でしたー。

やっぱりイベントものは大事ですね!書くのも想像するのも楽しい!!


このあと、ディーがどんな反応するかは皆様のご想像にお任せします。

これが私からのプレゼントです。

・・・・手抜きじゃないですよ?本当ですよ?


本編よりも先に寒さがきましたが、お気になさらず。

これが小話の醍醐味です。冬じゃないからセーフセーフ。


タイトルの『プレゼントは・・・』の『・・・』部分。続く言葉も皆様のご想像お任せです。

ちなみに私は『マフラー』です。碧姫視点一択です。

むしろ、それ以外にない。


それではふざけてとても楽しかったずんだ餅は、この辺で失礼します。

皆さん『Merry X'mas』!



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