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僕は異世界で  作者: ray
断章
19/20

蛇足と設定&舞台裏

 注意、これは甚大なネタバレを含み、また、読者の想像にお任せした(手抜きしてかかなかった)部分が書かれています。それでもよい方のみお進みください。

 蛇足


 迫る剣を紙一重で避け、剣でなぎ払う。

 雨のような矢を魔力の爆発によってふき飛ばす。

 波の如く襲い掛かる魔法を敵を盾に防ぐ。

 ―――だが、それもすべてが万全ではない。

 紙一重でも避けきれないものはある。

 魔力の爆発は自分にも被害を及ぼす。

 敵を盾にしても近くにまで迫った魔法は容赦なくこの体にダメージを与える。

 そうして、小さな傷が無数にたまっていく。




 ―――そんなことはどうでもいい。


 これは、誰にも望まれていない弔い合戦だ。


 人間とは元来そうである。何かをなすときに、最終的には自分へと帰依することのみをする。それがすぐに現れるか、後になって現れるか、それの違いがあるにせよ絶対的にその人の利益になると思うからやるのだ。


 ―――よく考えてみればいい。


 いかに“一般的な”常識で図った“いやなこと”であれ、その人にとっては喜びなのだ。誰かにものを与えるのも、自分がそのお返しを期待していたり、与えたことに関する自己満足だったりする。みんなのために何かをすることが喜びだというならば、その喜びが得られるからやるのだ。どれだけいやだといっても、その行動をやめないのはそれ相応の理由があるからだ。奴隷のように扱われていても、殺されないという自分の利益のためにその行動を続けるのだ。最終的にでも自分の利益にならないことをやる人は存在しない。


 ―――そういった意味では、夏は人ではない。


 夏は自分が満足するために挑むわけでも、わずかにでも生きたいから戦うわけでも、楽しいから剣を振るうのでもない。彼の行為を指し示すのにちょうどいい言葉がそれだっただけで、“決して妻の弔い合戦ではない”。くさい台詞だが、夏は自身の妻がこんなことをするよりも、おとなしく逃げて一分一秒でも生きながらえることを望んでいることはよくわかっている。また、いくら無限舞踏といえど“無敵でも最強でもない”。盛者必衰、この戦いにおいて、たとえ負ける確立が一万分の一であったとしても、ゼロで無い以上いつかは負ける。負けるということは死ぬ。それで終わり。


 ―――なんとすばらしきことかな。


 終わらなかったものに、終われなかったものに終わりが訪れるのだ。終焉が無ければ誕生は無い。誕生とはすなわち終焉なり。夏の問題はそこにあった。彼は誕生のみをして、終焉を迎えたことは無い。それは問題だ。だが、彼にとって死とは訪れなければならない結末であり、望んでも得られなかったものであり、恐怖の対象であるということだ。すなわち、行動としては死を得ようとして死を拒み続けているというわけである。矛盾したひとつの行動をするそれは、壊れた発条仕掛けの人形のようであった。


 夏の経験としては、自分が死んでもまた新しい人生をスタートさせることができるということ。だが、自分の意識が始まった瞬間が本当に始まりだったのか、それとも誰かの生まれ変わりとして存在していたのか、それはわからない。たとえ記憶があったとしても、そんな残酷な記憶など思い出せない。


 ―――過去は記憶にやさしく嘘をつき、今は現実に残酷な真実を見せ、未来は絶望に希望を希望に絶望を与える。


 それが真実だ。過去に縛られる人は、記憶の優しい嘘にその身を任せているだけに過ぎない。そして、今のみを見る人間は残酷な真実を見て絶望する。未来を語るものは希望を絶望に絶望を希望に変え、過去や今しか見ていない人に希望という麻薬を与えるのだ。過去は己に嘘をつき、今は刻々と姿を変え、未来は人を操る。

 夏は過去に頼らない。未来に託さない。故に傷つき、心は嘘をつき、いつしか自分の本当の気持ちすら判断できなくなった。彼を形作る人が消えていった今、彼が行動する原理もまた失われ、ただ場の流れに身を任せるという自殺行為にまで至っていたのだ。




 ―――夏の思考はすべて放棄されていた。


 右目はすでに額を切ったときにその血で見えなくなっている。遠近が狂ったりしても、彼の場合は目より、周囲の気配で視る癖がある。何の問題も無い。色がわからなくなるだけだ。

 左腕の骨にはひびが入っている。爆発の衝撃から身を守ったときに入った。剣は握れるし、腕も振れる。問題なし。

 両足には矢が突き刺さっている。処置しなければ流血によって体力や血液を奪われる。しかし、治癒魔法を使えないため現状維持。

 予想行動可能最大時間は5分。攻撃を受けたり、激しい動きをするほど減少するため実質3分の予想。それだけあれば30殺せる。


 ―――だが、迫ってくる攻撃は予想を遥かに上回る密度と精密さ……わかる。これは使い手が違う。


 これを防ぐ手立ては……思いつく限りひとつ。そしてそれはやつらと同じ手段。

 ―――無限舞踏、こいつらが使っているのはまた別物。ここではそれ以外の名詞が存在しないために同じ無限舞踏といわせてもらうが、僕らが使うそれは自然との調和、対してやつらが使うものは自然の操作、摂理を捻じ曲げるもの。


 ―――やることは今までと変わらない。周囲から魔力を取り込んで使うのとなんら変わりない。ただ、他人の魔力を取り込まずに自分の魔力のように使うだけなのだ。相対して変わらない。

「―――っふ………っく……!!」

 久方ぶりにのどが震えたが、それは人が行ってはならない、たどり着いてはいけないところに至ってしまったという理解を無理やり押し込めるためのものだった。


 魔法たちは術者の元に戻り、その力を発揮する。

 矢が降り注ぐ、何千何萬と。

 摂理を曲げるそれは、たとえ物理法則であったとしても、捻じ曲げる。

「―――かはっ!!」

 だが、もともと人には使えない力、さらには傷つき、ぼろぼろの夏には、死までのカウントダウンが早まるだけである。


 ―――指の先ではなく、魂から人で無い何かに変わってしまうような感覚。体が自然と同化する精霊化とはまた別物。


 これを受け入れてはいけない。

 そう思ったとき、今の今まで活動を続けた彼の体は、血の喪失とともに命という核を抜かれ、ただの人形のように倒れ伏した。



 ―――そこには彼の魂は存在しなかった。









 設定集


 世界観

 文化レベルは近代あたりの日本、学歴社会ではなく実力主義的なものが多い。世界人口はそれほど多くなく、人のすむことのできる領域こそ変わらないが、文明としては発達している。パソコンやケータイのようなものとしてCDといわれるものが存在し、これが個人の健康状態から戦闘における魔法使用時の補助装置としても活用され、たいていのことはこれでできる。

 不定期的に侵攻といわれるものが行われ、魔物の大群がどこからともなく“人の多いところ”に向かってくるとされる。“学校”は人が集まるために侵攻の被害を受けやすいとされるが、逆に魔物を集めやすいため、生徒の戦闘訓練とともに利用される。殉学率は20パーセント程度。

 卒業後はそのほとんどが一般的な生活を営み、10パーセント程度が国々の要所を守ったり、外での活動をしたりする。さらに戦闘にまつわる職に就くものは25パーセント以上である。

 つまり、40人のクラスの場合、8人死亡、4人軍人、6人軍関係者である。

 また、全人口の15パーセントが軍関係職についているため、総人口が1億人だとしても1,500万人が軍関係職についていることになるといえばその多さがわかるだろう。

 また、人口ピラミッドはきれいな富士山型である。理由としては侵攻の所為で死亡率が高いからである。平均年齢も40から50程度で高校生ぐらいで子供を生む人も少なくない。そのため性に関しては比較的おおらかな部分がある。ただし、夏の通っているようなところは比較的いいところなのでそれも少ない。



 主要人物紹介


 葉山夏 方暦292年6月24日生まれ

 転生者、ハジメという名前の高校生だった。

 自称凡人であり非才な少年。実際には特化した才能の持ち主で魔法分野においては魔力付与と魔力集積の能力は同年代をはるかに突き放す。が、放出能力が低いためそれらが目立つことは少ない。

 愛用の武装は弓矢、矢に魔力を籠め終わったあとその周囲に魔力をまとわせるなどして威力を高める。最大威力だとマンションを吹き飛ばせる程度はある。後のほうでは弓よりも剣を使っているが、実際のところ弓のほうが技術的には圧倒的に上。

 戦場での有用性は組むパートナーで決まるといっていいほどで、基本的に後衛の固定砲台のエネルギータンクをやるのがもっとも効果的な使い方。ただし、ユーフリック現象を恐れなければ無限舞踏を使わせたほうが有用であることは間違いではない。

 好き嫌いはほとんどないが、基本的に質素なものを好む。

 病弱で少し無理をすると一日寝込む。同室の佐々木に迷惑をかけていることを気にしている。

 ずっとつけているペンダントが能力の足かせになっており、これをはずすと魔力吸収能力が上がるが、さらに放出能力が下がる。

 また、このペンダントが夏のユーフリック現象を抑えている。そのため、ペンダントが外れると究極ともいえる“武のひとつの到達点”である“無限舞踏”が出来る。ただし、これを使うと翌日寝込む。さらに、未熟なため自由に使えるわけではなく、ある程度緊張感が生まれるような窮地でなければ発動できない。寝込むのは身体がまだついてこないから。成長した後では寝込むことは無い。


 竜崎加奈子 方暦292年12月15日生まれ

 夏とは母親の仲がいいので幼いころからの知り合いで、夏のコンプレックスの具体的な原因。よく双方の母親たちにからかわれたり、夏を襲うように仕向けられたりする。

 学年、否、学校でトップレベルの能力を持つ少女、人気も高い。スタイルもいい。

 実は夏に恋心を抱いているが、本人の性格と合わさってどうも上手くいかない。夏の得意な学力試験で勝ったら告白しようと思って頑張って勉強したが葉山がちょうどそのとき満点を目指してみたため失敗。それで無理だと悟った(そのときの夏は満点を逃しているものの797点で加奈子は749点だった。普段の夏は700点前後である)。テスト後の侵攻の際、自傷して放った夏の矢を見て戦闘が終わった後そのまま屋上に行ったがちょうどそこで葵と夏がキスしたという部分を聞いてしまい、そのまま教室に戻った。

 クラスの人というより学校内の夏以外のほとんどが直輝によってその恋心を知っているため案外告白は少ない。

 武装は刀で仮に夏と契りを結べば絶対防御と謳われる“不敗の騎士”とその燃費のいい魔剣技で一騎当千以上の戦力になる。

 実は、作品を作る前はそれによって夏を守る騎士的な物語を想定していた。が、それがかなったのは高校入学直後と夏が連れ去られた後(しかもその後死亡)だけである。なぜこうなった?



 葉山奈那子

 夏の母親40近いにもかかわらず崩れていないスタイルは多くの女性の憧れであり男性の欲情の的。

 夏の父親であり、夫の明彦にはヤンデレだったらしい。

 戦場では一騎当千の将であり、心強い治癒術師。死に掛けのものですらよみがえらせるほどの腕前だが、基本は傷専門で病気のほうは確かに上手いが、そちらの専門家に比べるとワンランク落ちる。

 薬の調合もしていて、加奈子に夏を襲わせようとするときに息子に薬を盛るという人。しかも本人が気付かず、さらに本人が警戒するということは、以前にも襲わせる以外の目的で夏に薬を持ったことがあることの証拠である。

 過去の前科は明彦には幾度も睡眠薬や媚薬を飲ませているし、夏にも単に明彦がいなくなって寂しいからと学校に行かせないために睡眠薬等を盛ったことがある。



 葉山明彦

 夏の父親、若くして奈那子に襲われ、そのまま結婚。子供が出来たのは回数を考えれば遅いが、その子供が相当に手のかかる子だったため、二人目は生まれていない。実は夏の体質をうれしがったことが一瞬でもある人。

 無限舞踏といわれる身の運びであり剣術を会得しており、最強といわれた男。現在失踪中だが、死んだことになっている。

 ―――実は死んだというわけではなく、魔力親和率が高すぎた所為で精霊となった。夏をブレスから救った光は彼によるもの。夏の下げていたペンダントは彼が与えたものであり、彼が精霊となってすぐに宿ったものである。

 ペンダントが砕けた後は夏について回ったり、加奈子に夏を襲わせようとしたときには眺めていたりとかなり自由に見て回っている。が、基本的に夏について周り、本当に危ないときに手を貸す親バカ。

 書く前は復活する予定だった。しかし、結局行方不明で生死不明。精霊となってあの場にいたことのみしかわからない。だからなぜこうなった?


 用語集

 魔法 正式名称HIBET(Human Inside of the Body Energy Transduction)魔力(HIBE)といわれる人の体内にあるエネルギーを操り、現象を起こすことの総称。通常は変換機のCD(Control Device)を使わないと使えない。例外は血などを媒体にする方法だが、危険なので20から取れる資格を持たないとやってはいけない。(どのほかにも方法がないわけではない)


 魔力親和率 吸収と放出に分かれていて高いとそれだけ自分の体内と外との魔力交換が早い。

 高すぎると魔物を呼び寄せるというまだわかっていない弊害もある。しかし、なんとなくわかっているからか学校などでは侵攻を集中させる役割がある。人が多いところで侵攻が多いというのは主にこれが原因。


 契り 端的に行って結婚。これを結ぶと魔力が簡単に明け渡せるが、同じ種族限定。性交をするときにお互いが魔力を交換しあうと結ばれる。

 これをすることで魔力を魔力親和率の放出や吸収に関係なく相手に送ることができる。夏が最終兵器「無限弾薬庫」と化すために作られた設定だが、途中から存在自体を忘れられかけていた。本当にどうしてこうなった?


 ユーフリック現象

 魔力親和率の吸収のほうに高いと起こる現象で、体が消え、魔力だけの存在である精霊と化す現象のこと。葉山明彦はこれによって精霊になっている。

 吸収が高くなった後、放出が高くなり、それも収まったら精霊と化す。

 主人公を殺したかったから……という理由で作られた現象。一番予想外に使いまくった。もともと夏を殺すためのものだったのに……畜生。


 明鏡止水

 場の流れをよむ技術。いってしまえば“静”の極み。一種の未来予知のごとき力を持っている。


 干戈騒乱

 夏は誤解しているが、敵の殺気や力の流れをよむ技術。夏の誤解の原因は明鏡止水と違ってわかるというよりそんな感じがするというあいまいなものだからである。


 無限舞踏

 これを扱えば無限といえる戦場で戦い続けられる。という理由で名づけられた……といわれている。夏も明彦も誤解しているが、実際のところは魔力と理をよむ技術である。が、自然に溶け込むというのは魔力を感じ取る上で必要なことであるため間違ってはいない。故に明鏡止水、干戈騒乱と組み合わせられることでほぼすべてのことが予測可能になり、回避可能となる。魔力を読むというのは実際難しく、相当魔力になれないと扱えない。それは魔法を扱いなれているものにはとても難しく、ユーフリック現象が起きるような人ならば魔力に強制的に慣らされるため扱いやすい。

 また、最後に敵が使っているものは無限舞踏ではない。

 これを含めて明鏡止水と干戈騒乱は始め出すつもりが無かった。というより夏に使わせるつもりが無かった。もともとは葉山明彦最強伝説の裏づけ技術の予定である。しかも当初はユーフリック現象がもっとあいまいだったし、葉山明彦もただの失踪中にする予定であった。ある意味これが一番最初から変わってしまったものかも知れない。


 天使

 人間を調整する存在。

 魔物とかを使って人の数が増えすぎないように、その領域が広がり過ぎないように調整する。言ってしまえば人間界の管理人。

 作品最後で夏に同胞が殺されたために干渉を止め、その結果人間界は滅ぶことになる。理由は領域の拡大に伴う武器の威力が増大になりすぎ、とうとう全滅したというのが真相。我々には笑えない結末である。


 また、少しずつ出すかもしれませんが、また一応完結にしておきます。本編は終わっているので。

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