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大きな時計塔③  響くその声

ザク!


赤い液体が宙に舞った―――

しかし、それはほんの少しだった


「やれやれ。まさか実の姉と戦う羽目になるとはな...」


そこには、純白に輝く長い髪をツインテールにした14くらいの子が自分の片手でその大鎌を止めている。肌も白く、服装は白と黄色をつかさどっていた。セレネだ。

彼女がいたであろう大きな古時計のドデカイ扉が寂しく啼いている。なるほど、あの扉の中は人が3人くらい入れるような広さがある。鋼っぽい白い純金でコーティングされていて、結構丈夫そうだ。


「母からの命令だ。そいつに手を出すな。さもなくば、消去する。」


「そんなの、しるか。あたしは全てを壊す。」


イアンが見かねて何か聞こうとするが、セレネがクルリと顔を彼の方に少し向けて言った


「行け。邪魔になる。」


コクリと頷いたイアンは二人が目を合わせた瞬間に駆け出した。後を追うように相方の目が彼を追う。そして思いっきりセレネを大鎌で押し戻し、弾けるように彼の後を追いかけようとしたが、セレネのほうがスピードに関しては速い。3歩目にはもう相手の目の前にいた。


「何で守ろうとするんだ?人間なんて物は、この世から排除してしまえばいい。そいつらは破壊と憎しみだけを生み出す魔物なんだぞ!!」


彼女の声には十分痛みが感じられた。まるで、今にも崩れて消えてしまいそうだ。


「母がお前に託した力は破壊のために使う物じゃない。守るためにある。」


「...守るためにあるだと?じゃあ、聞くが何を守るためなんだ??!魔物を守るために在るなんて抜かさないでよ!?」


彼女はさらに声を張り上げる。それに比べると、セレネは静かに、しかし強く言いつずけている。


「...私も最初はそう思っていた。ゆえに、間違いを起こした。最初に目覚めた最後の姉シュレッサ、あなたのように。」


弾くようにセレネはシュレッサへ飛び込み、そしてそれを大鎌でなぎ払おうとして見事につかまれた。


「しかし、痛みや苦しみの中で、私は見つけたのだ。守るべきもの、戦うべきモノを。」


「それは何だって言うんだ!あたし達は何もない!!一生孤独の中で人に使われ壊れていくだけなんだ!!」


「...守るべきは人に在らず。心にあり。戦うべきは他人に在らず、自身の修羅なり。」


「...え?」


「私がお前にしてやれる最後だ。この謎を解き明かしたら、また会おう。」


そう言ってセレネは自分の腕を前へ突き出し、目を瞑り、手のひらに力を集中させた。見る見るうちに彼女の手が光りだし、それに合わせてシュレッサの体も光る。


「!!まさかアンタ、プロフィッサー・パーパット・ジメンチナル?!次元操り士??!」


「その通り。プロフィッサー・パーパットフレイム。炎の操り士」


シュレッサはフワッと浮き上がり、そのままフッと消えてしまった。


「うわっ!どこへ飛ばしたの?てか、傷は?」


「あいつには、50年前に跳んでもらった。傷は...もう治りかけている。」


見ればなるほど、確かに彼女の腕はひびが入っているがもう直りかけていた。


「私達が人間共に生き物として見られない一番の理由がこれだ。不思議な力と異様な再生力、加えて傷が出来れば肌の部分にヒビが入る。」


そしてその青い透き通るような目でイアンを見つめながら寂しそうにつぶやいた


「怖いか?私が...」


だが、それとは裏腹にイアンは元気良く笑顔で答えた


「ううん。べつに?そっちのほうがセレネらしいよ。さっきは助けてくれてありがとう。正直言ってビックリした!!」


「ククク...やはり、お前と話すのは面白い。」


「あ!セレネが出れたって事は...封印は解かれたって事だろ?」


イアンは周りを見返しながら言葉をポツリと言った


「条件って、一つ目の条件は、心許せる友を作ること。

二つ目は、その友が危機に陥った時

三つ目は、友を守れる心を持つ事。」


ふむ、と彼女は青年の言葉を待つ。


「心許せる友って...シン?」


「え?ああ、まぁ、そうだとも思うが...」


いや、そこは『もしかして、俺?』って聞くべきだろが!と、そこにいた全員が手で突っ込みをした。勿論、声は出していない。


「何というか、やはりお前は期待を裏切ってくれるのだな。ククク。なんとも面白いやつだ。」


「?まあ、そこはいいとして、最後の条件がそろったから封印が解かれたんだと思うんだけど、違う?」


「いいや、合ってるが?」


「おめでとう!!これでいつでも外へ散歩できるぜ!!」


「ぷっ!」


ワハハハハハ!!


そこらへん、皆の笑いで溢れたとさ。


「何で皆わらってんの?!」


と、不機嫌なのが一人。




「母よ、見えているか?この世は少しずつ、変わって行けるような気がする。母が目覚めるまでは、私が...」


この世に伝えるべきものを、伝えよう。


不思議と、彼女は自信に満ち溢れていた。この青年ならば、イアンと一緒ならば出来るかもしれないと、自然に思ってしまう。


「お前はやはり不思議だ。」


「え?なんだよ?急に。」


「いや?」


「え、気になるって!何?」


「...これから忙しくなるぞ?私の手伝いは地獄並みと思え」


「え!?ちょ、まっ!いや、何いってんのか解んない上に拒否なし?!無理やりじゃん??!」


笑いが耐えない中、二人はそんな事を駄弁っていたとさ。




終わり。

ここまで読んでくれてどうも有り難う!

よかったら他の小説も読んでいってくださいね!

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