第5話 労働通勤時間と満員電車通勤について
初出:令和8年3月21日
労働時間について前回は「やりがいのある仕事の労働時間=社長労働時間」という概念を提言しました。
今回は労働通勤時間(労働拘束時間)という概念を提言します。
私たちは職場まで毎日通勤します。
朝夕の満員電車の通勤地獄に毎日苛まれている方も多いでしょう。
ところで会社でも労働時間に、朝夕の通勤時間に費やす時間を加えた時間を労働通勤時間と定義します。
労働通勤時間=労働時間+通勤時間
行政は残業など労働時間の短縮だけに目が行っているように思えるのですが、労働者にしてみれば通勤に費やす時間も労働時間同様、自分を拘束する時間です。
この労働通勤時間を短縮することが労働者にとってありがたいのです。
1.在宅勤務を推奨
国民の労働通勤時間を行政が短縮させたい場合、単純に残業時間を減らすだけでなく、通勤時間を短縮する方法があります。
このためにはたとえば在宅勤務を推進することが有効です。PCを活用すれば接客が不要な業務の大半は在宅が可能です。
また在宅時の仕事時間ですが、①在宅時も労働時間として普通にカウントする方法、②在宅時の労働時間をゼロとする方法、③在宅時の労働時間に何らかの係数k(0<k<1)を掛けて計算する方法の3種類があります。
これは同じ労働でも在宅の方が職場より快適だという価値観が強ければ、②や③で計上する方法もあると思うのです。
また在宅勤務の場合、職場にときどき業務報告に通勤する必要があるかもしれません。
在宅勤務が可能なら労働者は都心を離れ、家賃が安くて居住面積が広い地方へ移住する人も多いと思います。
そうなると業務報告に来るときは膨大な通勤時間を計上することになります。
月当たりの労働通勤時間を短縮するためには、週2回よりは週1回、週1回よりは月1回というふうに業務報告する日の頻度を下げることが有効でしょう。
2.東京一極集中が諸悪の根源
労働通勤時間を削減するもう一つの有効な方法は、東京一極集中を避け、職場を地方に分散させることです。
朝、下り電車で通勤し、夕方、上り電車で帰宅するリーマンが増えても満員電車問題はかなり改善します。
住宅地とオフィス街を極端に分離することも問題かもしれません。
住んでいる場所の近くに職場があれば、労働通勤時間は短縮します。
職場を地方に分散させるとは言え、大企業が地方の市町村に隈なく支店や工場を展開するのではなく、市町村に隈なく中小零細企業の本社を置いて、労働者はそこに通勤するのが望ましいでしょう。
そのためには日本の大企業優先主義、株主優遇の金融資本主義を改め、資本を集中から分散する経済に社会を移行する必要があるでしょう。
3.満員電車通勤と企業の生産性
あなたがもし会社の経営者なら考えていただきたいのですが、満員電車通勤を改善することはあなたが雇っている社員を楽にするだけでなく、企業にもメリットがあるはずです。
満員電車通勤でエネルギーを消耗した社員にいい仕事ができるはずがありません。
通勤時間が短縮され、社員がより仕事に集中できるようになった方が企業の生産効率も上がるのではないでしょうか。
日本がドイツにGDPを抜かれたとき、日本企業の非効率性が話題になりました。ドイツにくらべ、日本企業は社員数当たりの売り上げが低く、仕事の効率が悪いというデータがでました。
この原因は詳細にはわかりませんが、日本の満員電車通勤問題も関係していると思います。
昔、仕事でドイツのデュッセルドルフに出張したことがあります。
朝の通勤時、駅のプラットフォームにトラム(市内電車)が到着すると車内は満員でした。
日本なら無理やり電車に乗るところですが、ドイツ市民が誰もトラムに乗りません。
トラムが発車し、5分後に次のトラムが到着すると今度は社内がガラ空きでした。待っていたドイツ市民は今度はトラムに乗って余裕で席に座ります。
当時、私はラッシュ時に池袋から新宿へ埼京線に乗って通勤していたのですが、埼京線がガラ空きになるまで電車を待っていたら、会社の始業時間を過ぎてしまうでしょう。
デュッセルドルフにも満員トラムはありますが、次の便ではガラ空きです。日本のように満員電車通勤問題は深刻ではありません。
日本がドイツにGDPを抜かれた一因が満員電車通勤にあると言ったら、牽強付会でしょうか。
4.まとめとして
今回は労働通勤時間を提言しました。
併せて日本の満員電車通勤についても言及しました。
ご意見など感想でお聞かせいただけると幸いです。
(つづく)




