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私の仕事論  作者: カキヒト・シラズ


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第4話 仕事のやりがいを定量評価――社長労働時間

初出:令和8年3月6日



 仕事の”やりがい”を定量評価する方法を考察します。


 行政が規制を設ける場合、労働時間は短い方がベターという基本的考えがあるようですが、2018年、国会が働き方改革法案の一貫として高度プロフェッショナル制度を制定するときなど、仕事の”やりがい”をどう評価するかが問題となりました。

 やりがいのある仕事なら、労働者の労働時間を法的に強制的に短くすると、労働者にとって望ましい状態ではないのでは。こうした議論がなされました。

 一方で仕事の”やりがい”をどのように定量評価するのか、問題提起もありました。


 みなさんはご自身の仕事に”やりがい”を感じておられますか。

 やりがいのある仕事なら労働時間を短くされることに反対ですか。



1.やりがいのある仕事とは


 ところでやりがいのある仕事とは何でしょう。

 米国のある大学の調査だったと思いますが、卒業生(女性限定?)にアンケートを取り、自分の今の仕事に満足しているかどうかを調査したところ、クリエイティブな仕事に就いている人ほど満足度が高かったという結果を覚えています。これはネットのニュースだったと思います。

 クリエイティブな仕事とは何でしょう。

 まず思いつくのはアート関係、芸術関係です。

 音楽や映像を作ったり、ポスターなど印刷物をデザインしたり、服飾デザインをする仕事でしょうか。

 また芸術関係以外では工業製品の設計もクリエイティブな仕事です。

 土木建築や都市計画の設計も同様にクリエイティブと言えます。


 一方、クリエイティブでない仕事は単純作業を反復するような仕事でしょうか。


 会社を起業したり、お店を開店したりする仕事もまたクリエイティブです。

 まず第一に会社名や店名をクリエイトしなくてはなりません。その他、会社やお店のもろもろのことを経営者自らがクリエイトします。



2.社長労働時間とは


 私の考えでは、個人事業者や会社の経営者は仕事にやりがいが感じられる一方、雇い主に雇われているサラリーマンはやりがいが低いと思います。


 アート関係の仕事に従事していても、自分が自由に作品をクリエイトできるわけではなく、クライアントが満足する作品にしなくてはなりませんし、ましてや彼が会社員であれば、上司の指示にしたがって作品をクリエイトしなくてはなりません。

 傍目で見るよりやりがいは低い仕事かもしれません。


 個人事業者や会社の社長も仕事でストレスをためることはあるでしょうが、自分の裁量で自分の仕事を決められるので、仕事のやりがいはサラリーマンより上だと思うのです。



 私はここで労働時間を社長労働時間と非社長労働時間の二つに分けることを提言します。

 法人の代表者の労働時間とそれ以外の労働者の労働時間を分けるのです。

 個人事業者や個人商店のオーナー経営者の労働は社長労働とみなします。


 現行の労働法では、株式会社における役員とその他の社員を二つに分け、役員は経営陣、その他の社員は労働者とみなしますが、私的には経営者は社長一人です。

 専務や常務も社長の部下であり、社長の命令で働かされているだけで、他の社員同様、社長の使用人に過ぎません。

 また巨大企業グループの場合、子会社の社長は親会社の社長の部下に過ぎず、実質的に部長なみの権限しか与えられてないこともあると思うのです。

 このような場合、子会社の社長の労働は非社長労働とみなすべきかもしれません。


 仕事のやりがいを正確に定量評価することは難しいですが、ここでは社長の仕事はやりがいがあり、社長以外の仕事はやりがいがないとみなします。



3.労働人口当たりの非社長労働時間の低減を


 行政としては労働人口当たりの非社長労働時間の低減を目指します。

 所得など他の条件が同じなら非社長労働時間が短ければ短いほど労働環境はいいことになります。

 社長は仕事にやりがいがあるのでいくら働いても問題はないとみなします。

 その一方で非社長労働者は仕事にやりがいがないので労働時間が長いのは苦痛だとみなします。


 この「労働人口当たりの非社長労働時間」を低減するには単純に労働時間だけを短くしても実現できますが、それ以外にも労働人口当たりの社長の人口を増やしても実現できます。


 労働人口が1000人いる場合、社員1000名の会社を1社立ち上げることもできれば、社員100名の会社を10社、社員10名の会社を100社作ることもできます。

 社長の人数は社員数に反比例して、それぞれ1名、10名、100名に増えます。

 さらに1000人が全員フリーの個人事業者になれば、1000人の社長が誕生します。

 社長が増えれば非社長の人口が減ることになり、「労働人口当たりの非社長労働時間」は必然的に低減します。



4.大企業優遇政策をストップ


 高度経済成長期から現在まで、日本の行政は大企業優遇政策を採用してきました。

 たとえば大店法は90年ぐらいに米国の外圧で改正され、結果的に地元の個人商店が潰れ、大企業のスーパーマーケットに小売り市場を奪われました。

 消費者の方でも品ぞろえが多く、商品が安いスーパーマーケットやショッピングセンターを歓迎したので昔の大店法を復活しようという声はあまり聞きません。

 同様に飲食店も今では大企業のチャーン店ばかりで個人経営の喫茶店などはあまり見かけなくなりました。

 食べ物や飲み物がまずい店なら潰れても仕方ありませんが、おいしいにもかかわらず、店舗面積を十分に取得できないために撤退した個人経営の飲食店はたくさんあると思うのです。

 

 いずれにせよ、70年代には今にくらべ労働人口のうち、家族経営や個人事業者がたくさんいたと思うのです。


 私は「労働人口当たりの非社長労働時間」を低減させるべく、大企業優遇政策をやめるべきだと思うのです。

 大企業優遇政策をやめたら誰が得をするのでしょうか。

 得をするのは消費者でも一般国民でもありません。中小零細企業、または個人事業者の経営者です。

 そして損するのが大企業の経営者または株主たちです。さらには外国の大手金融資本も損します。だから外圧で大企業優先政策はどこまでも推進されてしまうのです。


 家族経営の飲食店に話に戻しますが、食べ物や飲み物がまずかったり、接客態度が悪すぎたら、消費者にとっていい店ではありませんが、そこは彼らの努力次第でどうにかなると思うのです。

 問題は不動産の価格です。彼らが少ない資本でファミレス並みの広い敷地で飲食店を経営できれば、店は存続していけるのではないでしょうか。


 中小零細企業、個人事業をもう少し優遇する政策を私は強く主張します。



5. まとめとして


 さて、今回もとりとめもない話になってしまいましたが、仕事の”やりがい”という抽象的なものを定量評価するのは難しい話です。

 しかしそれを行政が定量的に把握し、労働時間に対して適切な法や規制を設ける目安として、私は社長労働時間という概念を提言しました。


(つづく)


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