Ep1-2 版権的に何かありそうですわ
前回のあらすじ
迷子の迷子のお二人さん。
貴女のおうちはどこですか。
名前を聞いたら
「じゃあ...権三郎」
「絶対命名センスありませんわよ!?」
全国の権三郎さんに謝れ。
「じゃあ改めてボクのターン。ドロー」
山札の上から1枚引くと、いきなりエナジーエリアに灰色無地のカードが出現した。
A4用紙の書き方からするにこれを横に寝かせてコストを払うようだが、これがRBのコストで裏返せない無色カードなのだろうか。確か先ほど確認したお互いのデッキにも無色の生き物が3種入っていた為、この流れだとそれもひっくり返せないのだろう。
「なんか勝手に湧いたね」
「最初の1ターンは手札から埋める必要がないようですわね」
「まあさっき確認した通り、1コストのカードはないからターンエンドだよ」
「では私のターン、ドロー」
ターンが渡った為手札を確認する。
2ターン目の動きは決まっている。おそらく持っていればお嬢も同じ行動をするだろう。
このまま膠着した試合状況が続くのだろうか。
「何もすることがありませんわね、ターンエンドですわ」
「よし、ボクのターン」
ドローカードは『グリーン・スライム』。
手札的に3ターン目が動けず浮き位置になっていたので、これはかなり助かるドローだ。
「あれ、2ターン目エナジー生まれないんだけど」
ターン開始時に先ほど増えていた、手元のエナジーエリアのカードが増えていない。
手札を温存する気だったのだが、ここからは強制的に置いていくのだろうか。
「えーっと何々...2ターン目からは手札から置くか、ゲーム外から置くか選べるらしいですわ」
「え、いったいどこにそんなことが?」
お嬢がテーブルをトントン、と指差す。
自分側の対角部分を見て見ると、「サルでもわかる簡単な進行説明」というものがある。
...確認すると、確かにそこに同じ記載があった。タイトル舐めとんのか。
「はえーすっごい。じゃあ今回は手札からセット」
「あら、手札を温存しなくてよろしいの?」
「ま、ね。では2コストで『臆病なゴブリン』をプレイ!」
「あぁ、なるほど?」
エナジーエリアのカードを2枚寝かせ、手札からバトルエリアへ出す。
あー...なんかユニットが出てくる感じじゃないのか。
ちょっと期待していたのだが、まあテストプレイだししょうがない。
なんせこのカードたちイラストが無いからね。
流石にイラストがない、0から3Dモデル化するのは難しかったか。
「登場時効果で手札が5枚以下なので1枚ドローするね」
「先攻ドローがあるからこそ、ここで減らす必要があるのですわね」
「そゆことー。じゃあこのままアタックフェイズ」
メインフェイズのあとはアタックフェイズ。
出したばかりのゴブリンで狙いを定めようとするが、
「残念ながらこのカードゲーム、出たターンには攻撃できませんわ」
「知ってた。覚えてなかったらからかおうと思っただけ」
「いきなり盤外戦術絡め出すのやめていただけますこと!?」
U-knightではいわゆる召喚酔いが発生しているため、ユニットは出たターンに攻撃宣言ができない。
一応〈疾駆〉と〈突撃〉持ちは出たターンに殴れるらしいが...まあ今はいいだろう。
「よし、これでターンエンド」
「私のターン、ドロー」
臆病なゴブリンという名前から、イラストがあれば可愛らしいファンタジーな見れたのかなと悔やまれる。
イラスト...もしも次があったらついてないかなあ。
「私も手札をエナジーにセットして、2コストで『臆病なゴブリン』をプレイ」
「真似っこですか?」
「汎用パーツがあるのだから、多少プレイングが似ても仕方ないでしょう!?1枚ドローしてターンエンドですわ」
お互い手札を調整してからゴブリンでエンド。このターンは予想通り同じ行動をしてきた。
お嬢の言う通り汎用パーツが12枚入っているので、お互い動きが変わってくるのはこのターンからだろう。
「ボクのターン、ドロー!」
引いたカードは...なるほど、ここで切り札を引き込むか。
出すにはまだ時間が必要だから、足場を整えていこう。
「ゲーム外からセットして、3コスト。『グリーン・スライム』をプレイ!」
「あら可愛い...と言おうとしたけれど、やはりイラストはありませんのね」
「コスト削減だと思う(メタ発言)」
「また風情もない!!」
冗談だと思いたいけど、多分テストプレイ1回1回にイラスト用意するの大変なんだろうなあ。
と脳裏で考えながら、登場時の効果処理で公開したカードは『グリーン・ラビット』。
「ではユニットカードだったので、そのままエナジーエリアに置くね」
「スライムシリーズは各色の要素を担っているようですわね」
「確かに」
ラビットをエナジーエリアに置きながら返答し、そのまま前のターンに召喚したゴブリンに手をかける。
確かアタックするときは、そのカードを寝かせてから攻撃対象を宣言する...であってたはず。
「じゃあアタックフェイズ。改めてゴブリンでお嬢にダイレクトアタック」
「ダイレクトアタックはやめなさい」
「なんでよ」
「なぜか特に問題は無いと思いますが、版権的に何かありそうですわ」
お嬢の危機管理はともかく、ATK2000のゴブリンはお嬢のゴブリンでも相打ちになる。
だが、ここで盤面を減らすだろうか。
「ここは...ブロックできますが、ブロックの宣言はしませんわ」
「んじゃあ...これは普通に通るのかな?」
「恐らく...通りますわね、こちらからのQuickもありませんし」
Quickとは、相手のユニットがアタックしたときに使える効果。
まあコストはもちろん払うので、そもそもお嬢が使うQuickは無いと思うが...
「あ痛っ」
「え!?」
お嬢が声をあげながら軽くのけぞる。
「大丈夫?」
「ええ、びっくりして声が出てしまいましたわ...」
どうやらダメージを受けると、軽くプレイヤー側にもフィードバックがあるようだ。
お嬢が言うには「軽くデコピンを食らった程度の痛み」と言っていたが、意識してないと流石にボクもビビりそうだ。
というか、この空間あまりにも不思議なこと多い...
「あ、通りましたわね。デスク上の数字が1つ減りましたわ」
「ああ、ゴブリンのHITが1だからその分減ったんだね」
「しっかりとシステムは動いているようですわね」
ここでお嬢と目が合う。
お互い、言いたいことは同じだろう。
「...ところでこれ、勝敗つくまでやる感じ?」
「...特に空間に変化があるわけでもないし、やりきらないとダメみたいですわね」
「大まかなルールは分かるとはいえ、手探りで続けるのはしんどいなあ...」
ボクとお嬢はため息をつくと、置いた手札をもう一度持ち直す。
仕方ない、続けるためにもここはお嬢にターンを返すとしよう。
「そうだお嬢。無色の『アッシュ・フェアリー』いるじゃん?」
「ええ、確かいましたわね」
「あの子、地味にスカートの中身見えてるんだよね」
「え!?どこですの!?...ってイラスト無いから見えませんわよ!」
あとがき:今回のユニット
『臆病なゴブリン』 色:無色
種族:モンスター ATK:2000 HIT:1
・登場時、手札が5枚以下なら1枚ドローする。
『グリーン・ラビット』 色:緑
種族:ビースト ATK:2000 HIT:1
・登場時、このユニットを破壊してもよい。そうしたとき山札の上から1枚をレストでエナジーエリアに置く。
『グリーン・スライム』 色:緑
種族:モンスター ATK:3000 HIT:2
・登場時、山札の上から1枚を公開する。ユニットであればそのカードをエナジーエリアにおいてもよい。