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第十二章 平岩砂子 3



     3



レーザー・カッター・アタッチメントはレーザーをそのまま柄からレーザーの光を放出しているのではない。

糸鋸の同じで鉄で出来た刃渡り分に沿ってレーザーが発生しているのである。

多くのエンマコンマは武器としての装備でこのレーザー・カッター系を用いるが、今伊都が装備しているのはクローという大きな鉤爪でこれは対レーザー・カッターとして巨大だが手の延長で使えることから、小回りが利くことから、ハヤテらとの戦いを想定して装備したものだった。

だが伊都が意外にも押されている。

―事前情報だと普通の高校生と聞いていたのだが。

伊都は元ヤクザ・元レスラーである。

だから洋二を舐めていたトコはあったが、両手のクローを巧くかわし、何度も伊都自体のボディに肉薄するような太刀捌きを見せる。

「伊都さん、代われよう」

胡桃沢翔のコードネームはドリル。

その名の通り、両手に回転するドリルで洋二に迫る。

この玩具のような装備を舐めたのは洋二であった。

射程はレーザー・カッターやクローより圧倒的に狭く、攻撃のバリエーションも限られるが、ドリルに糸鋸が触れるということは、折れる、のだ。

「やっぱ、素人だよ」

胡桃沢自体、普通のサラリーマンだったのだがデイヴィドソン・エプスタインもそうだが、このように改造エンマコンマになってから、やたら凄味と強味を身に着けている。

これも存在が意識を既定する、なのであろうか。

クローとドリルに挟まれる洋二だったが、空から落ちてくるキットにいちばん最初に気づいたのは洋二であった。

そのキットのレーザー・カッターの付いた方の腕を空中で掴み、クロー伊都にぶつける。

キットが墜落したということは近くに先程別れた音矢がいるハズだ。

『いるよ。未だ7体に追われているがな』と音矢からの脳内通話。

『合流しよう。ハヤテも拾おう。これはもう撤退するしかない!』と洋二が返す。

ジャミングをかけられたようにこのエンマコンマの脳内通信も実は女性エンマコンマ3人から傍受されている。

その傍受の度に、位置も判るし、思考すら読まれているのだ。

そこで山内群馬にすぐさま敵二人の合流予定を伝え、屋上の二人にも指示が出された。

音矢は洋二を目視できたので、レーザー・ビーム・キャノン・ユニットの高度を下げる。

―あの自動人形どもが動きが鈍い、うん?

音矢は上空からドリル胡桃沢とクロー伊都も見つけた。

但し、二人が何かの連絡を受けるかのように、その場で立ち止まる。

―キットが追ってこなくなる上にこの二人の反応!?

洋二がレーザー・ビーム・キャノン・ユニットの着地部であるスキッドに手を伸ばす。

「鮎川!逃げろ!」

そのスキッド部を振ることで、洋二をはねのける!

そしてライフル豊島の弾丸が、ビームエプスタインのレーザーが音矢の乗るユニットを貫く。

合流の瞬間に二人まとめて、狙撃手コンビのマトにする予定だったというワケだが、音矢の機転で生きながらえることができた。

地面に落下するも例の三点着地が決まると音矢は微笑した。

「おっ!かっこいい!」

洋二が駆け寄る。

「判っている。それよりどう逃げるか」と音矢。

「あの空飛ぶ砲台が無いとそうとう難問だな」

「いや、実を云うとレーザー・ビーム砲のおまけで飛べるユニットだから、あと3分も飛べなかったんだ。あ!話す時は脳内伝達でなく、直にな。どうも通信が聴かれているっぽい」

「さっきから野原を呼んでも応答ないのはそれのせいか?」と洋二。

『野原はここだ』とこれは織豊竜馬からの通信。『この通信を辿って来い。仲間の首はねるよ』

そもそも竜馬たちには三人を無力化するという目的があったが、洋二たち三人は成り行きで戦闘になったため、勝利条件が無いに等しいので分が悪い。

だが、ここで初めて、三人共帰還するという目的ができた。

故に躊躇はなかった。

エンマコンマの脚力はかなり早い。

通信元は芝生で囲まれた広場。

周囲に誰か待ち伏せはあるだろうが、両腕共にレーザー・カッターを直付け装備した竜馬と近くに地面に座り込むのはハヤテだが、両腕が対照的に両肩から無い。

「多分さ、あの自動人形が隠れているよな」

音矢が走りながら同意を求める。

「ああ、あのドリルとクローはオレたちの後方だから、未だタイムラグがある」

洋二も走りながら応答する。

「でもさ、ライフルとレーザー・ビームは狙っているよな」

「だなぁ」

「あのさ、鮎川、オレ、妹好きじゃん?」

「なんだよ、急に。気持ち悪いよ」

「オレも気持ち悪いと思っていた。だから妹とは別に早くカノジョ作ろうとして、学校中のイケそうな女子を口説いた。そうしたら、女子たちに頼まれたのか、見かねたのか、男子有志の10人くらいに囲まれた」

「身から出た錆、だな」

「ああ、その時にただボコられるのは癪。ではどうすればいいのか、と考えたら、クラスのリーダー的存在で、オレがキスをした女子に片思いしている野球部のエースがいた。どうせヤらる・どうせ勝てないならば、そいつにだけ攻撃を集中し、傷の一つも負わせるというコンセプトに落ち着いた」

「で、結果は?」

「キチガイだ!コイツ!とドン引きされて思っていた半分のケガで済んだ!」

音矢は笑う、走りながら。

「じゃあ、今回の作戦も、それだ!」

洋二もこのセリフと笑顔で答える。

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