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第十章 織豊竜馬 2



    2



「そりゃあ、規模の大きい学級委員選びじゃないか」

発言者は伊戸寿彦。

高校中退した後、元々の素行不良から暴力団組織で舎弟をしていたのだが、同期が先に若頭補佐になったことから、23の時に逃げるように引退し、その後はローカルな格闘技団体を渡り歩いていた。

試合中に相手のレスラーからくらった延髄蹴りが見事に入り、担架で運ばれる中、エンマコンマ化。

ガタイはそれほど大きくないが、圧縮したような体躯がむしろ圧を醸し出す角刈り。

話し相手は織豊竜馬。

今の会見を新宿の青春共和国ビルで観ていたのだ。

「渋谷の要塞ビルの連中も大半がそう見ているしな」

木本たちは美香のしでかすことに興味がない。

そして世間も23全区長選を令和に蘇った真剣10代しゃべり場くらいにしか思っていなかった。

だが奇特な若者の集まりの背後には軍隊は付いている、エンマコンマという。

そもそもが歴史本や思想書を読む竜馬は、エンマコンマの戦略的意義は当初から考えていた。

実際、エンマコンマ搭載AI、パンターは警察のサイバー対策を丸腰にしてしまう。

ジャミングをジャミングとして認識すらさせない。

二度の激しいエンマコンマによる出入りも、まさか等身大ヒト型ロボット複数名の犯行となど、夢に思っておらず、暴力団や半グレ組織の内部抗争や海外マフィアの跋扈の二つの線で捜査は進められている。

「私は都知事以上の権力を、当選半年以内に奪取しますよ」とは美香が斗美や熊本、竜馬の前で云った発言だ。

そう、エンマコンマが背後にいることを誰も知らないのだ。

そしてエンマコンマたちは自分たちの過ごし易い環境を求めている。

どう転んでも受け入れられない存在、なれば合法的に人知れず溶け込む。

「要塞ホテル、最近オレが来ても、どうもいい顔しないんですよ」

伊戸がそう云う実例としては、京本や向井が自分と木本が話していても、木本には敬語だが自分にはタメ口、木本が飲む紅茶にだけブランデーとかそういうことで、他愛ないものだが、どうやらこれは先に組織に加入した先輩・後輩云々出なく、遠回しの嫌がらせだと気づいた。

その度に伊戸は竜馬に報告をしていたし、今もその話を蒸し返していた。

「それだけじゃあないんだ。あいつら、自分らの暗躍をほのめかしている。SNSや酒場でな」

先にも紅茶のブランデーと書いたが、エンマコンマが酔うことは、ない。

ましてや、女性の接客がつく酒場に行く必要など、生殖能力がない彼らに行く発想自体がそもそもないハズなのである。

食欲や性欲が無くても欲望はある。

むしろその二大欲求がないからこそ、承認欲求が高まるのかもしれない。

斗美や亜夜子は社会的地位もあることからか、自己防衛本能という欲が強いので、エンマコンマの能力をそっちに振り分ける発想なのだが、木本たちは捨て鉢に生きていくことがむしろ生きがいになっているようなとこがある。

保子は時代遅れの潜伏過激派、戸泉は30代の今まで仕送られ続けられているニート、杉多なんて性犯罪で前科がある。

そして木本は中卒で自衛隊に入った後、もう4回会社を潰している自称青年実業家だった。

正直、竜馬もこの件に関しては危機感を募らせていた。

竜馬は同じ武闘派であるこの伊戸とエンマコンマ前から信頼関係にある有紀を参謀にしていた。

その配下に女好きのフリーター・犬澤、韓国からの女子留学生・璃音、ユダヤ人のエプスタイン、芸人兼ユーチューバーの山内、そして同性愛者の豊島、である。

彼らはこの青春共和国ビルのエンマコンマ専用フロアにいることが多い。

それは要塞ビルには先程の木本や保子以外にも元引きこもりの綾瀬や新興宗教ジプシーである神無月等、ヤバいヤツらが自然と集まり、弱いマイノリティである彼らは強い竜馬と伊戸に庇護を求めるようにこのビルに集まっている構図が出来上がっていた。

「竜馬さん、ヤバいですよ」

「そうだな。それはそうなんだ」

表面上、実行部隊の隊長として要塞ビルの連中も竜馬には忠誠を誓う態度は取っているので、伊戸は求めているであろう、因縁付けるようなマネはしたくなかった。

それに同じ境遇のエンマコンマとして、大きな作戦を2回、今現在も有償無償の暗躍を続けてきた仲間である。

―できれば、要塞派とうまくやっていきたい。

竜馬はそう考えたのだが、おそらくその危惧は斗美や亜夜子も思っているだろうが、それを話の話題に出したことはなかった。

だから間者を出すにとどめた竜馬であった。

「竜馬さん!要塞ビルの研修から胡桃沢翔も清墨リイナも、もう三日戻って来ていません!」

竜馬の追想を破ったのは部屋に入ってきた豊島であった。

伊戸も竜馬もそういえば戻ってこないなぁ、くらいには思っていたが、なればひと言はあって然るべきであろう。

そのような内容の返答を竜馬に代わり、伊戸がした。

「そうですよ!胡桃沢翔はただの会社員で、リイナちゃんは現役高校生アイドル。あっちのカラーじゃないでしょうよ」

複数のエンマコンマは、洋二が云うところのポインターとホッパーの併用でエンマコンマになった者を探していた中、最近組織に保護された二人であった。

「よし!判った!要塞ホテル行こうぜ」

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