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第七章 ハンニバル 5



    5



半グレ組織の面々は大混乱。

音矢は更にもう一発を撃つ準備に入る。

ハヤテはユニットで屋上から、敵組織の真っただ中に潜入し、なによりもまず以前半殺しにし、仲間を四人シメてくれたヤツへの報復から始めた。

突如の大口径からの命中と自分の強襲で、他のメンバーは固まったまま動けない。

だが、一人の構成員が「うわぁぁぁぁぁぁぁ~!」と絶叫したのを合図に皆の金縛りが解け、駆け出す。

その刹那、音矢の二発目が非常階段を粉砕する。

下には逃げられない。

だから屋上に逃げた。

ハヤテは敵たちを殲滅することではなく、敵の武器~ナイフや拳銃を壊すことを目的とした。

しかしあまりに急なことで武器を持って屋上に逃げるヤツは三人だけだった。

横のビルとは1メートルも離れていない。

敵連中は我先にと屋上から隣のビルの屋上へ逃げることを目的にしていた。

だが、その隣のビルには家出キッズたちが数十人で待ち構えていた。

半グレ組織の烏合の衆はこの時、20名程だった上に、武器はハヤテに壊されるか・事務所に置き忘れたかなので、その勝敗は直ぐに決した。

彼らを集めて、指揮を執り、今現在動画撮影しているのは砂子である。

粗末な服を着て、瘦せた少年少女が舐められないためにデザイナーズブランドの洋装で着飾ったチャラい男たちを角材やバットで殴っているのである。

屋上のその様は勿論、路上から音矢が開けた大穴とひしゃげた鉄柱のなりおおせた非常階段を撮影するものが後を絶たない。

砂子が撮影した映像は斗美のペントハウスにそのまま送られ、そこで技術スタッフにより、顔ややり過ぎにモザイク加工され、いくつかの動画配信サイトに投稿されていく。

少年少女を喰いものにしていた半グレ組織をその少年少女が駆逐した!

それはカタルシスある美談として拡散された。

元々老朽化が進んでいたその雑居ビルは解体され、エンマコンマ同盟の関連企業がその土地を買い上げることとなった。

更地にしてからの建設なので、そのビルの完成はまだ先だが、完成のあかつきには、1階がカフェ、2階が保育所、3階が診療所、4階がこども食堂、5~7階が家出キッズたちの更生を促す団体の事務所、8階がエンマコンマのサロン、地下1階は秘密、のビルとなる。

竜馬はこの団体の名を〈救国ガーディアンズ〉にしようと提案したが、対外的に露骨過ぎるという反対意見から、マスコミうけを狙い美香が〈青春共和国〉と名付けた。

美香は手始めに、義務教育を終えた者らで、弁が立つ数名を選んで、全員が半グレ組織に直接手を下していないと断って、スポークスマンとして、マスコミの取材を受けたり、動画配信サイトで啓蒙活動を続けた。

その啓蒙とは「おいでよ!青春共和国へ!」というもので、クサっていて学校でも家庭でも居場所がない少年少女を呼び込むためのものだ。

就職を世話することを目的とするが、働く自信がない者は組織の事務仕事や飲食店で接客から入ってもらい、いつでも相談事を聴く環境を整備し、金土日は親睦会と称して、これまでどう生きてきたか・これからどう生きていくかを話し合えるしゃべり場所を提供した。

斗美や熊本が母体となり、人材派遣会社を設立し、若者たちに雇用を与えることを目的としたが、これがどれも正社員限定というものだが、肉体労働や飲食業が大半を占めている。

半グレ組織ややくざがいい顔するワケはないし、やってくる連中には札付きや半グレも多いので、ハヤテが腕っぷしの強い男たちを集めて、牽制のため別働隊を組織した。

竜馬がその組織の運営をやりたいと申してきたが、そもそもこの街に集まるやつらに安心を提供することがハヤテの目的、武闘派の竜馬には関わってもらいたくなく、「それならば救国ガーディアンズと名乗れ。さすれば、手を引く」と言われ、そのようにした。

竜馬はその頃、独自でエンマコンマ化した人材を探していて、ハヤテと音矢と遭遇した時には、山内群馬というユーチューバーを内偵し始めていた。

救国ガーディアンというカタチで兵隊ができたので、エンマコンマ探しを優先させたのだ。

そして伊都寿彦という元ヤクザと豊島亮という同性愛者を発見し、エンマコンマ同盟に誘った。

伊都は竜馬の行動理念に賛同し、天田由紀が竜馬の右大臣であるならば、伊都は左大臣として、エンマコンマ同盟の実行部隊を動かしていく。

この時期、竜馬と熊本が事実上、エンマコンマ同盟を運営していた。

斗美、亜夜子、沙也、みゃーこは運営をチェックするだけだったし、そもそも本職で多忙だった。

だが美香は違った。

そもそも家出キッズを集めて、慈善団体を作ったこと、それは偽善だろうが・宗教っぽいだろうが、どんなことを云われようが、エンマコンマ同盟なんていう絶対に表に出られない組織の代わりに、政治結社にもなる組織が必要と考えたからで、同時にその組織はエンマコンマ同盟というおそらく国内で最強の私兵集団にして企業コングロマリットがバックアップするのだから、夢物語では終わらない、恒常的な組織作りを美香は企んでいた。

年は明け、2022年となる。

青春共和国のビルも完成したし、渋谷の要塞ホテルも竜馬と伊戸により運営されている。

保子や木本といったそんな理念も特にない連中がいる。

斗美も竜馬も、どこかで、ああヤバいかも、と思っていたのだが、往々にしてそのようなことは二人のような切れ者でも起きるまで動かないものだ。

2022.4.21、第一次エンマコンマ内乱はこうして勃発する。

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