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第四章 早田斗美 2



    2



早田斗美はこの物語の中核を担う人物で、くせ者が多いの本作のキャラクターを引っ張っていく偉丈夫なのだが、この時の彼女は実家を自ら捨て、進学した大学に友達もなく、未だ十代なので生活費を自分で稼ぐというプレッシャーはかなりキツかったのだ。

だが彼女は俗にいう(本人は気づいていないが)ド天然なので、その重みをいつもの試練の一つだとしか思わず、それは自分の心の中に澱のようにたまったいったのだ。

だから、年上の男性と遊園地に行くという月並みで凡庸な幸せが心地よかった。

東京生れの店長は面白いところに詳しくよく一緒に出かけ、そのうち斗美の部屋にも来るようになっていた。

兄には疎んじられていたが、それとは別に、斗美には大人に好かれない面があった。

高校の担任はアニメ好きで、子どもみたいなひとだから、斗美と話も気も合ったから、憎まれていたワケだはないが両親はそもそも長女を苦手と思っていた。

歌は子どもの時には誰もが好むものだが、斗美は童謡から直ぐに歌謡曲に行き、気づけば、洋楽を聴いていて、英語の歌詞を素晴らしい発音で唄った。

親によれば、親バカが高じレッスンさせよう、末はシンガーとか思ったのだろうが、斗美の両親はそういう子どもを気持ち悪いと思うタイプだった。

思えば、兄がまさにそんな子ども子どもした子どもだったので、全部兄に親の関心がいき、親の庇護下でスポイルされたのだから、ある意味、悪いことをしたと後に斗美は思う。

この頃は、店長という甘える存在が初めてできて、自分が女の子である歓びを甘受していたが、同僚のコたちからの会話で、店長が妻子持ちと判り、斗美は直ぐに詰め寄った。

平謝りをされたが、その場で別れと退職を言い渡した。

自分がその女性と子どもにとって、絶対的な悪でいたことが斗美には許せなかったからだ。

そして初交際の後に冷静になると色々なことに気づいた。

店長は自称30と言っていたが、同僚たちから聴くと37で、そのウソには未だ可愛げを感じたくらいだが、かなりの大人だと思っていたし、グループ企業の中でいち店舗任されているので更に社会人としても立派と思っていたが、冷静になると依存度が高く、子どもっぽい男だと気づいた。

そして、店長から店の金回りやシフトの話を聴いて、その時には信用されているとしか思わなかったが、原価や労務費に対しての定価や一人あたりの客単価のブレが小娘の斗美にもおかしいと気付かせた。

そしてシフトこそ、女の子従業員たちのいちばんのケンカの種だったが、皆の話を聴けば、上手く回せるとは以前から思っていたものだ。

おそらく店長は店のコをヤリ捨てとかできるタイプではなかったようだ。

一切の着信拒否した後、最後の給料が振り込まれているとTMに行くと、同時に店長のポケットマネーであろう20万円も振り込まれていた。

ヨリを戻すなんてことは1ミリも想起しなかった斗美だったが、相手の人間の核だけは見誤っていなかったことに少し感動すら覚えた。

一人の男性と付き合った経験からか、斗美は少しラフになり、美大の皆の輪の中に入るようになり、幾人かとは友人とかカレシと言われるような関係を気づいた。

その中にあり、皆は夢を語る。

どこに就職し、ある程度の実績と経験ができたらフリーになる・転職する・起業する、と。

―いや、今やればいいじゃん。

斗美にはそのことがフシギでたまらなかったので、実際自分でやろうと思った。

店長からの20万円があり、賛同する仲間も多少は集まった。

その前に斗美が思ったのは、何をして、儲けるか?だった。

ファッションや店舗を考えたが、美大なんかにいるともっと凄い人がいるので、気が引けるし、レッドオーシャンでなく、ブルーオーシャン~開拓されていない市場を見つけようとしてゲームを選んだ。

ゲーム、それは斗美の大好きなものだが、若い女のゲーム人口は多いハズなのにあまり注目されない。

ブラウザゲームやゲームアプリでなく、本格的なヤツで行こうと思った。

斗美が子ども頃、男性向けのエロゲーが流行り、それがおたく文化を席巻していたが、アレはあくまで男性向けだった。

だがあのループや分岐をSFとして扱う手法は女の子だってハマるだろうと思っていた。

しかもコピーされないように、商品にはいくつもの特典がつき、それがいちいち面白いので、そのトータルを製品化し、女性ユーザーに絞れば、かなり面白いものができるのではないか、と考えた。

つまり斗美は小学校高学年の時に、その評判を聞きつけ、年齢を偽り、エロゲーを購入して、プレイしていたのである。

そりゃあ、確かにお父さんとお母さんからは疎まれる娘であろう。

デザイン、シナリオ、レイアウト含むゲームシステム、キャラクターデザイン、音楽、どれもこういうのが大好きで、プロも裸足で逃げ出すヤツらがここには大勢いる。

BLは女子にも苦手な人がいるのでハズし、でもヒロインのことを登場するイケメンキャラ全員がは愛しているのと、画は白泉社系少女漫画にして、まずはコミケで体験版で売ったのだが、持って行った500のうち半分は売れた。

そして、実際にその年の冬、ネット販売すると、完成版は即日完売した。

7年後も現在、この体験版はプレ値、40万円ついている。

かくして斗美の会社「カドリール」は起業された。

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