最終話 同じ色も形もなけりゃあ人生つうのも様々あってよでも一つだけ言えるのは笑って生きていたいもんだよな
本文はこのお話で最終話となります。
残りはやはり物語のヒール主人公としての服部百華の後日談を書いて完結としたいと思っています
あの悲しくも騒がしかった祭りから数ヶ月が経った……
学校はと言うと……
前代未聞の映像配信の上、校長をはじめ教員達の逮捕、そして富裕層一部生徒による脱法ドラッグ使用や性加害、恐喝etc...による逮捕者続出による影響は、大きな社会問題を巻き起こし、TVやネットにて連日トップニュースとして報道やネットでの各方面の大炎上により未だその熱は静まる事なく広がりを見せていた……
勿論原因はこの学校なのだから影響は一番大きい……現在、在学する生徒は事件前の半数まで減少、受験希望者は絶望的と推測されている。
あの日、理事長が予測していた事が現実となっているわけだ…その理事長と言えば、事件後は常に自らメディアや学校の生徒の親などの矢面に立ち最前線で誠心誠意を込めた対応をしながら、各種機関や団体などにも謝罪や改善プランを持ち込み説明廻りなど忙しそうだが精力的に動いているらしい…
理事長を退任し自らが校長として学校の建て直しを発言した際は、かなりの反対やバッシングを世間から受けたが理事長はそれらを全て受け止めながらも今期強く説明し、自らの今後の姿勢を見せていく事や個人資産をなげうって被害生徒への賠償をする姿勢を見せる事で、新たな校長として奮闘中だ…
勿論、俺の父親である、柳生蒼月は元理事長をサポートする為に顧問弁護士として他の仕事も受けたりしながらも就任…困ってる人間を放っておけない性分のオヤジらしいやり方だと思う……
虎ジィは、宣言通り学校の運営費や理事長が生活に困らない様に金銭の援助でのサポートをしているらしい…オヤジと虎ジィが、ウチで飲んでいた時にこんなエピソードを話していた…
保証の為に理事長は済んでいた豪邸などを土地を含めて売却、勿論家財道具なども売れるものは売却処分した事を報告を受けた虎ジィは、理事長に小さいが誠実に暮らせば充分なマンションの一室を購入し住まわせようと話を持ちかけたらしいのだが、理事長はそれを断り、自分は虎ジィと同じ町営住宅で初心に立ち戻り地道に生活をしていきたいと言われたらしい…
今では、二人はご近所さんでまぁなんとか理事長もそれなりに幸せに楽しく暮らせているみたいだ…
鬼龍院虎鉄…虎ジィ本人はあまり話したがらないが、周囲の反応や話からかなりの影響力、財力を持つ所謂日本のドン的な人間なんじゃあないかと俺は推測するが、まぁ本人が言いたくないなら俺は聞かねぇだろうし、町営住宅になんぞ住みたがるって事はそうした権力や金みたいなもんに執着もない自由人な変わり者のジィさんであり、俺にとっては何処までいってもただの虎ジィでしかないってテメェの心の中で虎ジィの正体を結論づけた…
そうそう、そう言えば光の元父親である風魔小太郎は、虎ジィの下で働いているらしい。官僚を退職し、今まで積み上げてきた人柄と実力で得た人脈を活用して虎ジィ指示の下影ながら元理事長の為に学校再建のサポートに奔走しているらしい………やはり小太郎も、資産のほとんどを元息子の性加害にあった生徒への賠償に当てるため処分したらしく現在は自ら安いアパートで一人慎ましく生活をおくっているらしい…
母親の柳生夜空は、相変わらず明るく俺やオヤジをからかいながら毎日を忙しそうに過ごしているが本当に楽しそうなんだが、どうやら最近は、後輩の霧隠滴と連んでリリィさんのお店に遊びに行ったりしているみたいなのだが何か企んでいなければよいのだが……
可愛そうなのは、たまに滴の双子の弟である霧隠龍二を二人で捕獲しリリィさんのお店に連行しているようなのだが、龍二よ新しい扉を開いてしまわない事を切に願う…南無ウ…
鬼島のオッサンもたまに顔を出しては今回の事件で忙しくて、彼女を作る機会が遠ざかって行くと愚痴を吐きに顔を出し最後には、「お前さんのせいだからな!リア重爆発しろ」と暴言を吐いて八つ当たりをしてくる始末…リア重って俺だってあれから彼女無しなのに解せぬ……なんだったら母ちゃんに相談して合コンでも開いて貰えばいいのにと一度言ったのだが、「馬鹿野郎!夜空ちゃんに話したらオメェのオヤジにバレて散々弄り倒してくるだろうが」なんて言っていた……
まだまだ日常とはほど遠いかも知れねぇがそれぞれが日常を取り戻せるように笑いながら一生懸命同じ毎日の繰り返しを生きてるのを感じる……俺もその中の一人になれて居るんだろうか?……
そして…事件現況の風魔光は、余罪などが見つかり、年少期間終了後務所へ移動となる様で、10代と言う大切な時間を自ら壊す結末を迎える事になるようだ…自らが父親である小太郎さんを裏切った代償は大きく、唯一の光の血の繋がった母親は、長年の浮気相手の男に逆恨みされあっさりと捨てられ、実家を頼ろうとしたが拒絶され、生活保護を受ける必要のある人間を支援する施設に現在はまかりしているらしい…
なんとか水商売や熟女専門の風俗で働こうともしたらしいのだが、浮気相手のキレイだの若いだのの嘘の言葉にプライドが肥大して、年齢や容姿を面接で見下されると、そんなはずはないトップレベルで稼げるなどと店側と言い争いになり結局はどの店でも不採用だったようだ…ママカツの様な事もしていたようだが、贅沢な暮らしをしていたせいで直ぐに金は使ってしまいそんな生活も続かなかったようだ…まぁ、こんな母親が息子に弁護士なんてつけられる訳もなく光は一人断罪を受け入れるしかないのだが…
全く同情せんが。ただ、小太郎さんは可愛そうだと思う…間男からの慰謝料は回収できたようだが、元妻からは難しいだろうな…一応、現在は詐欺での刑事告訴もしたみたいだけど…まぁ、追い出されてからの生活聞いても反省なんて感じねぇし、小太郎さんがトドメ差しに行くのも理解できるけどな…
そんな風に空を見上げながら考え事をしていると、ガチャッと屋上の扉が開く音がして誰かが入って来たらしい…足音からすると3人くらいか?
「ミカ先輩、また一人でこんな所でサボって喫煙タイムですかぁ?」
「一服するなら誘って下さいっすよミカ先輩」
「ヒョす!ミカシェンヒャイ」
入って来たのは霧隠姉弟と中学の制服を着た女子の三人だった
「おぅ!人聞き悪ぃぞその言い方!一服はしてたけどよ俺だって真面目に考え事くらいすんだよバァーカ!でっその娘は?見た覚えある気がすんだよなぁ…」
「三好葵ですよ!手伝ってくれた三代目ですよ」
「おぉ!思い出した!NTRされ真っ最中の俺にご褒美はデートでって言った奴か!」
「ヒャイ、ごめんなしゃい」
「アハハそっかそっかで今日はその報酬回収にでも来たのか?」
「違うんっすよミカ先輩。葵この学校受験するんで今日は学校見学に来たって訳なんすよ」
「それでついでなので、この子をミカ先輩に逢わせてあげたくて…手伝ってもらいましたしね」
「そっか、葵は俺の後輩になるんだなぁ。ほら、まずは緊張してるみてぇだから一本どうだ?ブラックストーンのチェリーってのだから甘いんだけどよければホラよ」
「あ、あ、あ、ありがとうございます…それと葵だって…」
「ずるいっす!ずるいですぅ!×2」
「ほら、わかった、わかったから二人とも。」
「そう言えば先輩はもう大丈夫ですか?話し耳に入ってきたりしてるんですよね?」
「滴、変な気使わねぇでいいんだぞ…俺はとっくになんともねぇからよ。まぁよ、滴の言うとおり話は耳に入ってきちまうのは仕方ねぇさ…アイツの人生なんだしよ、ご苦労さんとしか言いようがねえわな」
「ってかよ、そんな事より葵?デートでもすっか?ご褒美まだだったしな!」
「はい♥」
「私も行きますぅ」
!なら俺も!」
「駄目ですよぉ先輩方が来たらデートじゃないじゃないですかぁー!」
「アハハアハハいい後輩持って俺は幸せモンだ」
こうして騒がしい日常が繰り返されてまたいつかの平凡な毎日になって行くんだろうねぇ…俺は俺のままで…コイツらと一緒に…