24話 世知辛い世の中だけどよぉ優しさつうのは確かに一握り存在してるもんだ 2
分割の後半です
校門が見えてくると門の外には大勢の野次馬、そしてパトカーに護送車、救急車まで待機していてその光景は何処かのテレビ局のワイドショーで見かける様な現実味を感じさせないものだった…
だが、そんな光景の中に母親の夜空の姿を見つけ、さらに両親に付き添われ護送車に乗り込む服部一家の姿を見て、やはりこれは現実なんだと改めて感じた…
そんな思いに耽っていると
「ミカちゃーん♥ママは寂しかったのぉ♥」
と猛ダッシュで母親の夜空が抱きついて来た…
「なっなぁ、母ちゃん…絶対に寂しくなかったよね?ダッシュしながらニヤニヤしてさ。完全に辱めてやろうとか思ってましたよね?ねぇねぇ、思ってましたよね?」
「イヤァーン♥蒼ちゃん、ミカちゃんが酷いのぉ」
母親は抱きついたまま泣き真似をしながら悪戯っ子の様にオヤジに甘え、甘えられたオヤジはと言えば、俺の予想通りに
「オラッ!何俺より先に抱きつかれて迷惑そうにしてんだコラッ!喜ぶのが普通だろうが!コラッ離れろや!」
と俺から母親を引きはがしてくれた
俺は「ハァー」と溜息をつきながらも、みんながこんな状況で馬鹿騒ぎしてくれてるのも、俺が考え込んだりしないようにとわざと明るくしてくれているんだと思うと、自分がどれだけ周りの人間に恵まれているのか幸せなのかを再認識させられる…
そんな事を思っていた時、突然背後から…
「この底辺陰キャがぁぁぁ!全部全部お前のせいでぇぇぇ!僕は僕はこんなこんな殊になるはずじゃあなかったんだあぁぁ!」
振り向くとそこには両手に手錠をかけられ、丁度警官に護送車に乗せられようとした風魔光が、警官を振り切り視線に入った俺達…否、俺を見つけ手錠で繋がれた両手を合わせ振り上げながら賭けより、その振り上げた一つに合わせた両拳を振り下ろすように襲いかかってきた…
「おいおい、マジかよ・いくらなんでも諦め悪すぎだろうが」
俺は避けるのが間に合わないと判断して、勢いよく拳の振り下ろされるタイミングに合わせて踏み込み相手の懐に身体を滑り込ませ、周囲の人間にバレないように土産として掌を光りの右肩関節と上腕の付け根に当て吹き飛ばす力を利用しながら肩に掌を打ち込んだ
光はそのまま吹き飛び「肩がぁぁぁぁ痛い痛い痛いよぉぉぉ。アイツにアイツにやられたんだぁ!誰か誰かアイツを逮捕してくれぇぇぇ」と転がりながら叫いていたが、数人の警官に取り押さえられ護送車に押し込まれて行った…
鬼島が三日月に歩み寄り
「ったくお前無理しやがって!まぁあそこまであの坊主も馬鹿だとわな…これでまた一つ罪が追加だな…それにしてもよく殴らなかったな?あそこでお前が殴り倒しても正当防衛が成立しただろうに?最初からお前は反撃は考えてなかったって事になるよな?」
「単純な事だよオッサン…拳を使う価値を感じなかっただけだよ…でもよ、きちんと土産は持たせたけどな」
「お前さんは…」
「ほらほら、みんな帰ろうぜ…リリィさんが待ってるしよ」
俺達は、鬼島のおっさんと校門前で別れリリィさんの店を目指した……
カチャッ。カランッカランッ♪
「あらぁ♥♥待ってたわよーんミカちゃーん♥ほらほら、みんなも早く席についちゃってぇーん♥」
そこからは祭りの後の寂しさを塗り替える様に騒いで騒いで夜が更けていく……
そして………静かに俺は席を立ち上がり周りを見渡し…
「皆様、本当にありがとう…今回は俺自身の個人的事情で動き、しかもココまで事態をデカくしない方法もあったのにも関わらず、俺の考えを信じてくれて、見守るだけではなく協力までしてくれて…改めて俺は、そんなたのもしく、格好良い人達に支えられ導かれていると思うと本当に幸せで仕方ありません…まだまだ未熟な俺ですがこれからもよろしくお願いします…ありがとう…最高のダチ…格好良い大人……」
幕引きの最後の言葉が祭りの終わりを告げる如くただ各々の心に響いていた…