19話 祭りの後っつうのは物悲しくて名残惜しいが後の祭りっつうのは味わいたくねぇもんだよな5 叱ってくれる人間がいるっつうのはありがてぇって事どんだけの人間が気づけんだかな
一応、ここまでは書き終わっていたので投稿だけしておきます
扉が開いた瞬間扉の向こうの光景を見た者達は絶句しフロアーは静寂に包まれた…
フロアー内に次々と流れ込み響く保護者達の足音…
そんな中、先頭に居た、オヤジと虎ジィそして光の父親である風魔 小太郎が近づいてきた…
小太郎は真剣な顔で真っ直な目で三日月を見つめ深々と頭を下げそして三日月の横を通り抜け光の下へ歩を進めた…
二人の擦れ違いざま短いがやりとりがあった
「三日月くん本当にすまない」
「その謝罪は後で、…」
「ありがとう」
こんな短いものだが…今の二人にはそれで十分であった。
三日月は、父親の蒼月と虎ジィの居る所へ向かい風魔親子の結末を一緒に見守る事にした。
「お疲れじゃったの。そう言えば服部の娘の方はケリはつけたのか?」
「イヤまだだよ。光を片付けてからと思って。それに今は、あっちも親子で話しているみてぇだし」
「そういやぁ二人とも色々とありがとう。俺の馬鹿に付き合ってくれて…」
「馬鹿じゃのう、子供が大人に迷惑掛けるのもそれを受け止め叱るのも手助けしてやるのも仕事みたいなもんじゃて」
「おぅよそうだぞミカ」
そう言いながら蒼月は三日月の頭を小さな子にするようにクシャクシャと撫でた…
一方、光の下に向かった小太郎は駄々を捏ねる光に声を掛けた
「光…」
「なんでなんで…父さんが……」
「話は全て聞いた、お前がおこなってきた事全てだ!」
「今日の事も一部始終見させて貰った。父親としてこれ程悲しくそして家族であったお前が醜悪に見えるなんて思わなかったよ……」
小太郎は、何とも言えない顔で光を見つめた
「何を言ってるの父さん?僕は何も悪いことはしていない!父さんの息子で、将来は父さんの息子としてエリートになる選ばれた存在なんだよ!」
「父さんだって、僕が父さんみたいに官僚になって絶対に父さんより偉くなるんだって言ったら喜んでいたじゃないか!お前が頑張れば私を抜けるって言ったじゃないか!」
「光、いい加減にしろ!」
「お前は、私の仕事を何だと思っているんだ!官僚とはな国に尽くし国民のために身を粉にして働く立派な仕事だ!偉いとかエリートだとかは関係ない!」
怒鳴られた光は身体を縮こませただ震えている
「それと私が、お前の不始末を揉み消し三日月くんを陥れる手伝いを本当にするとでも思っていたのか!」
「でも、でも、僕は父さんの愛する息子でしょ?助けてくれるのが当たり前じゃないか!父さんだってこんな事がバレたらキャリアに傷が付いて今の地位と権力を失うんだよ」
「ふざけるな!さっき話した事も理解できないのかお前は!」
「私は、地位も権力もそんなものは興味もなければどうでもいい!私は私の仕事に誇りを持ってこの日本にすむみんなが少しでも笑顔になれる社会になる手伝いができれさえすればいいのだからな」
「う、う、嘘だろ……そんなくだらない事しか考えてないなんて……父さんは馬鹿じゃないのか……」
次の瞬間ガンッと鈍い音がフロアー内に響いた
それは、小太郎が光の顔面を拳で殴った音であった…
「ここまで愚かだとは…私は悔しい…馬鹿はお前だ!」
光は、父親に初めて殴られた……父親に叱られた事がないわけではない……いつも父親は根気強く何故それが悪いことなのかしてはいけないのかを言葉にして伝え諭していた…
思春期手前になると光自身父親のその姿勢は、道徳の眠たい時間やうるさい小言にしか聞こえてこなくなっていた…
母親も、家に父が居ないときはよく悪口や家庭内では役立たずなどと馬鹿にしていた…
ある時、家で母が知らない男とsexをしていた…その時も母親と男は父親を馬鹿にしていた。
光自身もうそうした行為や母と男の関係がどんなものかをわかる年齢だったので、そうかと納得してしまった…
それからは、多分母親と同じように心の何処かでずっと父親を仕事しか能が無い、NTRされる間抜けな父親、価値は稼いで納めてくれる給料そして裕福な生活、父の持つ肩書きと権力しかない父親だと馬鹿にしていたのだと思う。
だが初めて怒りを露わにする父親に殴られた…痛い、怖い…
そんな顔面を押さえ震える光に対して小太郎は言葉を止めない
「お前は、この先の人生犯した罪を背負い生きるしかもう選択肢はない!この部屋で薄らと香る匂い、海外から手に入れた媚薬の香だな?これはな海外でも合法とされている場所もあるが、何度も連続で多用すると依存性が表れる事がわかり、危険視され日本では脱法ドラックと同じ扱いで使用を禁止しているものだ!知らなかったじゃ済まない。他にもマリファナなども使用をしているのももう分かっている逃げる事はできないぞ光」
「警察も外で待機しているしな…もう手遅れだ」
「た、た、助けてよ父さん、家族でしょ…」
光は情けなく父親に未だ助けをこうが小太郎はそれを振り払い
「お前は本当に最後の最後まで母親と同じ行動をするんだな…」
「えっ?母さんが何だって言うんだよ?」
「母さんとは離婚になる!俺は寝取られた馬鹿な男だからな」
「母さんとその男には慰謝料請求、財産分与などもない、一文無しになって貰ったよ」
「じゃぁ、僕は父さんと暮らすんだね」
「残念だがお前が母親の様に心の根っこが腐っている人間でなければ、私が一緒に罪を背負い生きても構わないというくらいには、息子を愛していたよ。」
「だが、光お前はやはりあの母親の息子だった…腐り切っていた…父親としての最後の責任だ…」
「光、どうやらお前は私の実の息子ではない。母親の浮気を知ってから色々と悩み…DNA鑑定に踏み切った結果だ。俺は結局最初からあの女に騙されて家族ごっこをしていただけのようだ」
「俺は、今日ここに来るまでお前の根っこが腐りきっておらず立ち直る可能性があるなら、さっきも言ったが生涯をかけて罪を一緒に背負い共に罪を償っていく覚悟をしていた。それが血の繋がっていなかった息子であってもな」
「だがそれすら打ち砕かれた…お前は母親と共に無一文からのスタートだ」
「レイプに近い被害にあったご家族への賠償は私がする。被害で傷ついた心はお金で解決できるものではないが、形としてだけでもきちんとしたいからな」
「その他にもお前は賠償請求などを受けるだろうが母親と二人否、あの男も一緒かわからんが頑張るんだな」
その父親の言葉と現実の苛酷さに光は項垂れ糸の切れた操り人形のようにベットの上で動かなくなっていた…