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18話 親の心子知らずなんっつう言葉があるもんだが親も子も人間なんだから全てがうまくいくわけねぇって忘れちゃあいけねえよ 幕間風魔小太郎の憂鬱と寅ジィの正体

拙く力量の及ばない作品に、アドバイスや暖かなコメント、誤字報告など本当にありがとうございます。


読者様方が、物語を読み色んな想像を広げて頂けるのは嬉しい限りです。


作者としては子供の頃のように、頭を空ニしてついつい楽しくて読みすすめてしまい、難しい事を考えなくて良い単純な作品を目指して努力し精進し最終話を目指したいと思います。

✳ 風魔 小太郎の憂鬱


今、私は自分の息子が通う学校の特別棟と言われる建物内のある部屋の扉の前に居る…


私だけが居るのではなく、先ほどまでこの扉の向こうで行われていた、高校生がおこなっていたとは考えたくないような行為…大乱交パーティーに参加していると思われる保護者、そしてこのメンバーを集めた柳生 三日月くんの関係者の人たち…


中でも一番驚いたのは、現在も私の隣に立つ鬼龍院きりゅういん 寅鉄こてつ様だ

なぜこのお方が?このお方は…

財閥貴族のご子息であった寅鉄氏。戦中時から日本を政治家としてアメリカからの完全植民地化を防ぐために交渉と経済を駆使して尽力し、戦後日本では、江戸時代以前から続く侠客や博賭をまとめ上げ裏社会を牛耳り。政治家引退後表社会を相談役として操り、実家の財閥を動かし経済界を発展させ日本を短期間で経済大国に押し上げた日本の首領ドンと呼ばれた男である。


現在は隠居をし息子達や部下達に全てを任し何処かへフラッと出て行ってしまったと言う都市伝説的な噂を聞いた事があったがまさかこんな出来事でお会いする事になるとは…


私は、そんな大物とお会いできたと言うのに、こんな状況とは。


事情を、柳生さんから聞いた時は正直言って頭の中が真っ白になってしまった。


妻と後輩部下の浮気、息子の学校での横暴…私は何を間違えたのだろうか…仕事は頑張った、官僚で役職が上がれば上がるほどなかなか帰宅できなくなる事が多くなったが、その分家庭サービスや息子にも勉強やテストの話ばかりをするのではなく遊んだり話を沢山したりして寄り添っていたつもりだったのに…


柳生さんから持たされた話は衝撃的過ぎた…妻と息子は私の金と私の官僚としての地位により得られるステータスにしか魅力も興味もなかったと言う事実に…


私はこの騒動の中心にいる息子に親として引導を渡さなければならないそれが私の役目だから…


私はその第一歩として、扉前に集まる関係者全てに謝罪をする事から始めていく事を決めた…


「皆様私の息子がご子息様達を巻き込みこのような事態に発展するまで親として気づけずご迷惑おかけして申し訳ありません」


小太郎の謝罪に他の保護者から罵声が飛ぶ、それでも小太郎は反論せずに誠心誠意謝罪を繰り返した


そんな身勝手な保護者達の姿に我慢のならなくなった蒼月が声を発しようとしたその瞬間、地の底から響いてくるような威圧たっぷりの寅鉄の一喝がその場に響いた

「醜い奴等じゃ!ココに来て自らの失態は受け入れず小太郎に全ての責任をなすり付け、自分たちへの免罪符にしようとしてるのじゃから!お主等にしても我が子の小さな変化を見落としてるからこんな事態を招いとるんじゃろうが!中には、お主等自身が不貞をしとる奴等がいるのも、部下や蒼月の坊主からの話でワシの耳に入っとるのじゃぞ」


「不貞なんぞして色惚けなんぞしてる暇があるんじゃったらその分をもっと子供に遣う努力でもせい」


その寅鉄の一喝に、寅鉄の正体を知らない保護者達は寅鉄に矛先を変える


「親方様、有り難いお言葉ですが、彼らからの責めは私が受けるべきものです。彼らの言い分はどうあれ自分の息子が中心に動き、巻き込んだのは事実ですし、中には息子に傷つけられた女子生徒さんの家庭もあるのですから」


今の小太郎の親方様と言う言葉で、さすがに富裕層の家族の集まりだけあり数人が寅鉄の正体に気付き保護者達に一気に伝わっていく、そして保護者達は寅鉄に向けた罵声を後悔し顔面を蒼白にしながら謝罪をはじめる


しかし寅鉄は一切それを受ける気はないようであった


「ジジィもたまには、善いこと言うじゃあねぇか」


と蒼月は機嫌良く寅鉄を揶揄う。そんな姿を見ながら小太郎は疑問を蒼月に問いかける


「あの、…柳生さんと親方様はどう言ったご関係なんでしょうか?」


「たいした関係じゃあないですよ。若い頃に色々ありましてたまたまですよ知り合ったのもね。そこからの腐れ縁っつうやつなだけですよ」


「やんちゃ坊主が言うようになったのぉ、じゃが、縁と言うのは不思議じゃ、この坊主の息子とも縁が繋がるとはワシも思っとらんかったからの…親子揃って大の付く馬鹿者じゃがそれ以上に大のつくお人好しでお節介なのはやはり血なのかのぅ」


「まぁ、じゃから蒼月の坊主の言うように親子揃って腐れ縁っつうやつじゃ。ふふふ。それに、ミカにはワシも借りがあるからのぅ…本人は全く気にもとめていないようじゃが」


「そ、そうなんですか。。とにかく私に出来る償いはいくらでもしますので」


そんな、会話に背後から声が掛けられた


「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。確保した校長に報告を受けた内容など聞き取りをしていまして」


そう声をかけてきたのは理事長であった…


「まずは皆様、この校長の不正に気付かずにこの事態を招き申し訳ありませんでした」


「理事長としての責任はこの件が片付き次第とらせて頂きます」


と理事長は深々と周囲に頭を下げ謝罪をし、小太郎もまた理事長とともに謝罪を続けた…


「ほらほら、理事長も小太郎も、お主の実直で誠実なのは美徳じゃがそれは後じゃ、この件を終わらしてからでよかろう。なぁ?それでみなも良いな?」

そして私は、理事長に睨まれ震え黙り込んでいる校長に話しかけた


「校長、何故息子の横暴に加担をした?君も一応は教育者の端くれだろうに」

「話はだいたい聞いているが、君は息子を優遇でもすれば私が何か君に対して便宜を図るとでも本当に思っていたのかね?」


そう言うと校長は、ビクンッと身体を跳ねさせた後に口を開き「でも、ご子息の光くんは、父さんは僕を可愛がり将来有望だと認めているから、僕が上手に校長の優秀さを話せば信じるし、上手くいけば会えるかもよと…」


私は呆れて一瞬言葉を失った。欲に溺れた大人は子供の戯言を真に受けてここまで愚かになれるなんてと…


「君、父親として良く出来れば褒める、悪いことをすれば叱る、夢があるなら見守り応援する、それは家族として普通だと私は思うのだが?そして息子を信じると言うより家族を信じるのも盲目的にではないがきちんと向き合い信じる事を諦めない努力をするのも普通だと私は思っている。そう…そこに愛情があれば成り立つはずだと信じていたんだが…まさか…いや…今はこの事は関係ないな…息子と対峙して私がケリを付けなくてはいけないのだから…」


「とにかくだ、、君も息子も、自分たちの都合の良い解釈をしているだけで、、私と言う人間を地位や権力の道具としてしか見ていないと言うことだ!私は仕事に誇りを持って行っている!私的な欲や権力の為に動く事はない。それにこの責任を取り仕事も辞職するつもりだ」


「君も、寄付金などの横領や各方面への賄賂など余罪がかなりあるようだね。ココには親方様だけでなく、三日月くんの弁護士であるお父様やお知り合いの警察の鬼島さんと言う方も外で待機していられるらしいしね。勿論お二人が調べ上げた詳細な情報と証拠はもう理事長を通し警察の鬼島さんに提出されているだろう。君も残りの人生をかけて罪を償うしか道はないと思いたまえ」


校長は膝から崩れ落ち虚ろな目で何もない宙を見つめ放心状態になっていた…


私も、しっかりとケリをつけ、残りの人生を掛けて私が背負うべき罪を償わないと…そう小太郎は静かに心の中で改めて決意を固めるのであった

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