13話 道を間違えてもよ、踏み外さなきゃあやり直せんだぜ人間だもの 幕間 百華の父
読者様のご意見を参考にさせて頂き、百華の父親の話を書いてみました
それと、何度も書かせていただきますが、あくまで物語なので、あり得ない展開や行動などの表現はご了承下さい
リアリティ重視に作品をかくのではなく、80年代のアニメや漫画や特撮や時代劇そして不良漫画のような、何でもあり、スカッとするそんな自由な表現を軸に執筆させて頂いている事をご了承お願い致します
✳ 服部家の光景
私は何を間違えたのだろうか…
百華が、彼氏である柳生 三日月…
そう三日月くんを家に連れてきて、初めて挨拶をした時に彼にあんな偉そうな事を言った癖に…
百華から、三日月くんと話し合った内容を聞いて驚いた…
第一印象は、髪の毛も長く前髪で目が隠れている上に百華同様の黒縁眼鏡…お世辞にも頼りがいがある少年とは思えなかった…
だが、話合いの内容は大人のようにしっかりと地に足を付けた考え方であった
私が彼と同じ歳の頃は、とにかくイキがっていた。
子供の頃から体格に恵まれていた事もあり、上級生にも喧嘩で負けた事がなく、高校時代には学校で先輩を差し置いて頂点にいた…勿論童貞も中学で卒業し、付き合った相手とは必ずそうした男女の仲になっていた…
だからと言って、浮気や女性遊びなどをする事は一切なかった…
時代だったのもある…憧れの男は喧嘩が強いだけでなく、女に一途で人望がある奴が格好良いとされていたし、逆に女も一途である事が不良と呼ばれる女子でも憧れの対象だったし…
その頃の俺に比べたらどれだけ彼が誠実で大人な考えを持っている人間か分かっていたはずなのに…
6月辺りから少しずつ百華の様子は確かにおかしかった
仕事が忙しく残業も続き、会社では新人の教育も並行してこなさなくてはいけなく疲れていたのかも知れない…
妻からは、眼鏡からコンタクトに変えたとか、服装が最近の流行りに変わったとか、髪を明るく染めたなど仕事から帰り一人食事を摂っている時に何度か聞かされた覚えがある…
でも俺は、17歳ならおしゃれに目覚めて当たり前なんじゃあないかとか軽く応えていたり、私立なので校則も緩く、生徒の個性を大切にと自主性に任せているので髪を明るく染めたなども注意を受けていないなら許される範囲なんだろうと思い、妻には、学力がおしゃれなどにばかりに呆けて落ちるようなら元に戻すよう私からも注意をすると言った覚えもある。
しかし、私はどこかで、百華の彼である三日月くんがきちんと側にいるから大丈夫だろうと、無意識に彼に親が注意する役目を期待していたのかも知れない
それが私の心を曇らせ、最近帰りが遅くなった百華、前より派手な服装、何か親をバカにすると言うか見下した様な受け答えに苛立ちがあったのかも知れない…
昔の私なら躊躇なく百華をビンタをしても叱りつけていたはずなのに…
三日月くんは何をしているんだ!三日月くんが連れ回しているのか?約束はどうした?
今考えると本当に恥ずかしい親のすべき事を娘の彼に押しつけ、そして自分の情けなさを責任転換して三日月くんに怒りを向けるなんて…
柳生家のご両親が話し合いに訪れて下さった時もそうだ、曇った心のまま彼の父親に暴力で威嚇などして…
あの後分かった事だが彼の父親は私が高校時代、年下なのに県外まで名前が響く逸材の有名人だった事を古い友人から聞いた…
あの親にしてあの子供…納得がいく話だ
偉そうな事を言って父親風を吹かしてこの体たらく
柳生夫婦は多分信頼ができないと厳しい事を言ってくれたが、私たち夫婦に気づく為の最後のチャンスをくれたのだと私は勝手に思っている…
なら、それに報いなければ…
私と妻は、家で流れるリアルタイムの自分たちの娘の堕ちた姿を見つめながら二人で決意をし、愚かな娘の待つ高校へと向かう決断をした…
血を分けた家族を一人失おうとも強い決意を妻と抱きながら