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前編

 およそ、3年に渡って書いてきたお話ですが、一旦ここでけじめをつけましょう(笑)。

 


 日曜の遅い朝。

 窓から温かい日差しが2人の部屋を包み込む。

 ベッドで横向きに寝ているポランの背中を、抱きしめているのは康治だ。

 彼女は目を覚ます。背中にはあたたかいぬくもり、幸せがじわりと込みあげる。

 ぎゅっと康治の巻きつけた腕を握りしめた。

「ん?」

 まだ、寝ぼけている康治は、その感触に思わず幸せの笑みを浮かべる。

「おはようございます」

「うん・・・おはよう・・・くーぐー」

「ふふふ」

 挨拶返しの後、即寝した彼に、彼女は微笑むと、安心しゆっくりと瞼を閉じた。

 

 心地よい春のある日。

 いつもと変わらない日常。

 ポランが目を覚ますと、もう昼前になっていた。

「いっけない」

 康治にがっちり抱きしめられている、彼女はそっと空いた右手で彼の脇の下をくすぐる。

「ふふふ」

 康治の眠りながらも笑うと、拘束が緩み、ポランはするりと抜け出しベッドから離れる。


 顔を洗って目を覚ますと台所に立つ。

パジャマのままエプロンをつけると、長い後ろ髪を紐で束ねる。

「さてと」

 両手に腰をやり、朝食の思案をするポランだった。

 しばらくすると、いい匂いが漂いはじめる。

「くんくん」

 康治は鼻で美味しい匂いを嗅ぎ分けると、ベッドから飛び起きた。

 食卓に行くと、ポランがフライパンでベーコンエッグを焼いていた。

 こおばしい素敵な香りに彼のお腹は鳴る。

「おはようございます。康治さん」

「おはよう。ポラン。お腹がすいたよ」

「ふふふ、分ってますよ」

 にこりと微笑むポランに、康治は鼻の下を伸ばす。


「いただきます」

 2人は手を合わせ、遅い朝食をとる。

「はい。あーん」

 ポランはフォークでベーコンを刺し、康治の口へ運ぶ。

「あーん」

 康治は大口を開けた。

「おいしいですか」

 やや上目遣いに覗き込むポランの顔が、さらなる食欲をそそるのだった。

「うん」

 康治は満面の笑みを浮かべて言った。

「ふふ、うれしい」

 ポランは彼の顎についたパンの欠片を摘まむとぱくりと自分の口に運ぶ。

「ふふふ」

 思わず笑みがこぼれるポラン。

「可愛い」

 ふいに真顔になる康治。

「いやだ」

 彼の真剣な眼差しに、顔を赤らめそむける彼女。 

「食べちゃうぞ」

 康治はポランを見つめ迫る。

「いやん」

 と、彼女は頬に両手を置く。

「ふーん」(莉子)

「ほうほう」(シャロット)

「実に興味深い」(エマ)

「ですう」(ヒルダ)


「ん?」

 怪しい気配を察知した康治は、部屋を見渡した。

「どうかしました?」

 訝しがるポラン。


 食事の後、康治とポランは手を繋ぎ散歩に出た。

「いや~ニートって最高だな」

 青空の下、彼は呟く。

「?ニートって何ですか?」

 ポランは首を傾げ尋ねる。

「あー、無職・・・仕事をしてない人のことだよ」

「康治さんは、無職じゃありません!勇者さんです!」

 と、真っすぐな瞳で彼女は彼を見る。

「・・・ポラン」

 康治はうるんだポランの目を見つめた。

「康治さん」

 見つめ合う瞳と瞳・・・となると、することはひとつ、キスを・・・。

「むむむ」(エリザ)

「ふむふむ」(ライヤ)

「ですか」(メイヤ)

「ふーん」(アリエル)

「ふーんですね」(エスメラルダ)

「ですね、ですね」(ララ)

「うーん」(ケイ)


「何だ?」

 康治はポラン抱きしめキスしようとするのを止め、辺りを見渡す。

「ん?」

 首を傾げるポラン。


 食卓には、ポランの手作り料理がずらりと並ぶ。

 超大食漢の康治にとって、この時間は至上の喜びでもあるのだ。

「うまーい」

「ふふふ、たんと食べてくださいね」

「うん」

 あっという間にかきこむ彼を、テーブルに両手で頬杖をつえて見守る彼女。

 そして、夕食も終わり。

「ふー」

 康治は幸せの満腹吐息をする。

「康治さん」

 ポランは台所で食器を洗いながら言った。

「ん?」

 彼は振り返る。

「どうします?今日のお風呂」

 普段の何気ない一言に、

「一緒に入るっ!」

 当然とばかりに彼は言った。

「はい」

 と、くすくす微笑む彼女であった。

(どれどれ我も覗きに行くとするか)デュランダル。

(お風呂は命の洗濯)イシュタル。


(みんな、今頃、何しているかな)

 沖縄のアリスはちゅら空を見あげた。


 さて、お楽しみのお風呂シーンである。

 2人が出会った頃は少女であったポランも20歳になり、長い栗色の髪、幼い可愛らしい顔はそのままだが、でるところは、ばいんとでで、お尻もぷりっと、だけど最近たまにキズなのが、康治に付き合って食べているせいか、少しお腹がでてきたことである。

 ポランは浴槽に体操座りで浸かり、康治は浴槽の壁に背をつけて、彼女を抱きしめている。

「康治さん」

 ポランは呟く。

「ん?」

 康治は生返事をする。

「幸せですね」

 彼女はしんみり言った。

「うん」

 彼は頷いた。

(むむむむむむむむむむ~)と、勢揃いの嫁たち。



 ポランは夜中、目を覚ました。

 背中にはあたたかい感触がある。

 康治が彼女の背中を抱き、お腹に両手を回している。

 ポランは幸せな気分となり、再び目を閉じた。

 幸せな2人の日々が続く・・・?

 康治は目を覚ました。

「ん?」

 周りには嫁たちが寝息をたてていた。

(夢だな・・・)

 康治は再び眠りに着こうとするが、次々と囁くみんなの声。

「康治」シャロット。

「ダーリン」エリザ。

「コォジィ様」エスメラルダ。

「コォジィさまっ」アリエメル。

「主」デュラ子。

「コォジィ様」メイヤ。

「コォジィ様」ライヤ

「コォジィ」ケイ。

「コォジィ」ヒルダ。

「コォジィ様」エマ。

「康治」莉子。

「康治さん」アリス。

「旦那様」ララ。

「コォジィ」イシュタル。

「康治様っ」ポラン。

「はうっ!」

 康治のチートなハッピーライフはまだまだ続く・・・。

 後編へ続く。




 後編にれっつらごー(笑)。

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