8
「おい、本当なんだろうな」
※
ここは、宿屋。なにやら5人が、決して人には聞かれたくはない話を、こそこそとしている。
それでも聞けるのは、読者の特権。
「よかったね。読者の皆様!」
※
『モンク』の『タロ』は口は悪いが、腕は確かだ。大食いはなかなか直りそうにもない。スキンヘッドがチャームポイントだ。
「ああ。その筋の仲間から聞いた。間違いない。今、オリハルコン山には、奴隷たちが、オリハルコンを求めて、採掘してるって話だ。もちろんギルドに話なんか通してない。違法の巣窟さ 」
ライップは淡々と言う。ジャニーズ顔立ちの彼は、メンバーからの信頼は厚い。
「なるほど。そこを突こうって寸法なのね」
魔法使いの『シャリア』が言った。エルフの彼女は、ロングヘアーのよく似合う端正な顔立ちの女性だ。
「その通り。いずれ採掘するうちに、ドラゴンの巣窟にぶち当たるだろう。山はドラゴンの炎で噴火。暴れた振動で大地震」
「読めたわ」
『エリーナ』は、獣人族である。猫耳とホットパンツのお尻から出ているしっぽがチャームポイント。かわい!毛並みもふさふさ。ボーイッシュな服装で男の子に間違われやすいが、れっきとした女性である。スカートにすればなびく男もざらにいるはずだ。
「ドラゴンによって戦場になったオリハルコン山のどさくさに紛れ込んで、オリハルコンを奪うって算段ね」
「イエス イッツ ア パーフェクト」
ライップ、あんた英語も堪能だったのね、と一同感心するものの、言葉には出さない。なぜならそれは、彼を増長させることにほかならない。それは各メンバーにとってウザいこと。だから思っても言わない。
不敵とも嫌な笑いともとれる笑いを盛大にしたあとで、アロンは シャリアとエリーの顔を交互に見た。
アロンは密かに二人に淡い恋心を抱いている。無論他のパーティーメンバーには内緒であるが。