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リトが去ってから

作者: ミユー

宇宙船の製造に関連した会社の支社で働く女性、ササの職場にはおもしろい話しをしてみんなを笑わせてくれる男性、リトがいた。

リトは別の星から会社に派遣されている人で、いくつかの支社をまわり、ササの職場へ来た。

リトの奥さんと子供もいっしょに地球に滞在している。

ササはまだ支社に入って半年の新人で、仕事で煮詰まっているときや、忙しくて余裕がないときに、リトがちょっとした冗談を言ってくれるので、そのたび元気が出てたすかった。


その職場ではお昼、部屋でみんなで食事をとるのだが、食事中もリトがおもしろい話しをしてくれるので、上司も同僚もお昼を楽しみにしていた。

普通嫌がる残業もリトがいると、楽しくてはかどるので、リトが残業するときはみんな率先して残業していた。

ササは休日の土日よりも仕事の平日のほうが楽しみで、日曜日になると明日、リトの話しが聞けると思うとうきうきした。



ササが入社してから一年たった。

ササはすっかり仕事に慣れ、日々楽しく過ごしていた。

その頃、リトの転勤が決まった。

リトのおもしろい人柄がまわりの人の士気をあげ、リトがどこかの支社へ行くとその支社の成績が右肩上がりになるので、リトはどの支社からもひっぱりだこなのだ。

ササはリトの転勤の話しを聞き、もうリトの話しが聞けないのかと思うと、胸がえぐられる思いがした。


リトの転勤が決まってから、ササは気落ちし、食欲もなくなった。

リトの話しを聞いて笑ったあと、もうこの話しを聞けるのもあとわずかと思うと、さみしさがこみあげてきた。


みんなに惜しまれリトが転勤したあと、ササは仕事がつまらないものに思え、平日が楽しくなくなった。

そこで、友人のひとりにリトのことで相談した。

その友人はネガティブな性格をポジティブな性格に変える薬を別の星へ行って購入し、見事ポジティブな性格になり、その星の男性と恋人同士になった女性だ。


ササが友人に相談すると、友人は


「だめよ~。そんなに落ち込んでちゃ~。毎日楽しく生きなきゃ~。リトさんが転勤してから元気がでないんで、一度会ってもらえませんか?って、リトさんに連絡すればいいじゃな~い。奥さんがいたって、食事くらいならだいじょうぶよ~」


と言った。




ササは友人のアドバイスどおり、リトの新しい職場に連絡して、自分の気持ちを言って、会ってもらうことにした。



約束の日、仕事を終えると、ササはリトとの待ち合わせ場所へドキドキしながら向かった。

ササはリトを一目見るなり明るい気持ちになった。

食事をしながらリトはいつものように冗談を言って、ササを笑わせてくれた。

ササはリトと話しているあいだ、わたしはこの人が好きなんだ、と相手に恋愛感情を持っていることに気付いた。

けれど、奥さんのいる男性に告白するなどできない。

ササはリトと会ってから、また違った意味で気分が落ち込むことになった。



しばらくして、ササの部署に新入社員の男性、トモヒロが入ってきた。

ササは新人だったとき自分がたいへんだったことを思い出し、トモヒロを気にかけ、仕事を丁寧に教えてあげたり、たいへんそうにしていると励ましたりした。

トモヒロはそのたび救われる思いがして、ササが女神のように見えた。

ササは日々、トモヒロと関わることで、ササの気になる相手はリトからトモヒロに変わっていった。

トモヒロはササのことをしだいに好きになり、ササに告白した。

ササもトモヒロのことを好きになっていたので、トモヒロの恋人になることにした。


ササとトモヒロは恋愛の新しいページをめくることになり、ササはリトのことで相談した友人とリトに恋人ができたことを報告した。

友人は


「よかったじゃな~い。今度、ダブルデートしようよ~」


と言って喜んでくれた。


リトは


「今度、食事をしにトモヒロさんとうちに来なよ」


と言って、ササとトモヒロを祝福してくれた。



End





スター・システムの手法を使い、アルファポリスに載せている小説「ポジティブになれる薬」の女主人公をササの友人として登場させました^^

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