百八の魔星!の巻!
予言があった。
1999年の世紀末、世界は未曾有の危機に見舞われると。
核戦争、宇宙人の侵略、神と悪魔の最終戦争……
様々な憶測が飛び交い、人心を乱し、そして――
何も起きなかった。
この世界の終焉、人生の最期を漠然と覚悟していた者達には、拍子抜けな展開だった。
「なーんだ、つまんねえ……」
そんな風に思いながらも、漠然とでも人生の最期を覚悟していた者達は未来へ向かって戦った。
戦った者には報酬が(たとえ僅かであろうとも)、戦わぬ者には何もなかった。
人生の最期を予感し、世紀末に向けて必死に頑張っていた者達には、未来へ進む勇気があった。
「一体ここは……」
ゴヨウは戸惑った。彼は新宿へ来たはずが、ネオン街はなかった。
いや街すらなかった。
あったのは広大な闇と、無数の紅い輝き――
闇に蠢く魔性がゴヨウの周囲に現れていた。
「混沌!」
ゴヨウは叫んで右手に宝剣を出現させようとした。
だが、それよりも早く、彼の後方に現れた何者かが、黄金の剣を振るったのだ。
「覚悟しろ!」
男の振るった黄金の剣からほとばしる大いなる光の帯が、魔性の群れを消滅させていく。
「ゴヨウ、ここが我らの決戦の場だ。気張れ」
現れた長ランの人物は「百八の魔星」の守護神、チョウガイだ。
そしてゴヨウとは百八の魔星の一人……
天機星「知多星」ゴヨウである。
チョウガイとゴヨウの二人は、宇宙の彼方の混沌を討つために、地球から旅立った。
三千大世界、十億の世界の先を目指していたはずが、彼らはいつの間にか1999年の東京に来ていた。
これはいかなる事なのか。
「不動明王の力を振るうのみ」
チョウガイの持つ黄金の剣は、不動明王の持つ降魔の利剣に等しい。
「我に知恵を……」
ゴヨウは虚空蔵菩薩から無限の知恵を授かっている。
だが、彼の知恵を以てしても、敵の姿は見えてこない。
それでもチョウガイとゴヨウは戦う。
それが百八の魔星の使命だからだ。