人類の未来を守れ!の巻!
海母神さまは世界を見回し、嘆息した。
「今年も命が……」
海母神の目元に涙が光った。今年も多くの命が失われた。
それは新たなる命の誕生をも意味している。今年に入って産まれた命は多い。
病魔がこの惑星に蔓延した時も、その前年に多くの命が失われた。
彼らは死して病魔そのものと戦うために、想念・思念の世界へ向かったのだ。
ならば今年に死した者達の魂も、いずこかへの戦場に向かったのだ。
子どもの未来を守るために。
人類の四百万年(※あるいは五百万年とも)の歴史は、命を守り、未来へつなぐ意思によって紡がれた。
今また死して肉体を捨てた者達が、人類の使命を全うせんとしている……
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あの世では現世を目指す女性達が、川の側を駆けていた。
彼女達は子孫の危機に、死後の安らぎを捨てて現世を目指していたのだ。
外見は少女から妙齢まで―― 彼女達が最も輝いていた姿となり、そして現世を目指す。
女性の愛は無限だ――
「さて、わしらはわしらの仕事だ」
ソンショウという導師風の男は仲間と共に、戦いへ向かおうとする。
彼は病魔が蔓延する前に突如、即身仏の修行を開始し、そして成し遂げた。
彼の真意は彼のみが知る。ソンショウはあの世で病魔を討つために、即身仏となったのだ。
そして今また新たなる脅威へ立ち向かわんとしていた。
「行くか……」
ソンショウは傍らの少女へ微笑みかけ、手を伸ばした。
少女は一度、現世へ戻った後、再びソンショウの導きであの世に舞い戻った。
「がんばらなくちゃね! ひ孫ちゃんのために!」
少女はニッコリ笑った。少女はひ孫のために、あの世で戦う決意をしたのだ。
未来を守るために。
「さあ行くぞ!」
ソンショウは少女と同志を率いて、闇の彼方の悪しき空間へ戦いを挑んだ――