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虚無戦史  作者: MIROKU
守護者(ガーディアン)編
21/143

魔を斬る剣!の巻!

「なんだよ、来年は悪徳ロリータかよ!」


 海母神に仕える武神の一人、シンは戦乙女プリピュアの次回予告を見ていた。


 トロピカルな戦乙女プリピュアたちの活躍は終わった。


 彼女達にとっては、戦いも人生の一ページでしかない。


 その先にあるものを目指すために「今、一番大事なこと」に取り組んできたトロピカルな戦乙女プリピュア


 その行動こそ真実だ――


「ペネロープを思い出しちまう……」


 シンはつぶやく。彼は人間であった五百年前、吸血鬼ペネロープと戦った。


 ペネロープは吸血鬼の王「不死王」と人間の間に産まれたダンピールだった。


 外見年齢は十二歳前後だったペネロープと、どうして恋をするようになったのか?


 今ではシンに思い出す事もできない……


「――味方になるんじゃないか?」


 シンの傍らには眉目秀麗の青年がいた。


 元「吸血鬼ハンター」のランバーだ。彼もまたペネロープと戦っている。


 もっとも、ランバーはシンより五十歳ほど年下で、彼が戦ったペネロープは外見年齢十八歳前後だった。


 それがどうして恋人になったのか――


「ぬぎぎぎ……」


 シンは歯ぎしりして悔しがる。彼はペネロープの「恋」の相手だった。


 対するランバーは「愛」の対象であった。


 二人は共に海母神に仕え、幾多の戦いを制した武神だが、それは互いに恋敵ライバルと認識していたからか。


 それはあたかも、ら○まにおける早乙女○馬と響○牙のようなものだ。


「……ち、とにかく俺達は俺達の務めを果たそうぜ。混沌カオスを撃退するんだ!」



   **



 関ヶ原の戦を経た頃、江戸。


 世間は、徳川と豊臣の戦に注目していた。


 勝った方が間違いなく日本の覇者となり、負けた方は間違いなく滅ぼされると。


 世を圧迫するような緊張は、この時代にもあった――


「――何者だ?」


 柳生宗矩は城から屋敷への帰り道、何者かに遭遇した。


 すでに黄昏時だ。この時間は「この世」と「あの世」がつながる時間帯なのだ。


 この夕闇の中で出会う者が、全てこの世の者とは限らない。


“ふふふ……”


 それは女の姿をしていた。


 宗矩が見たのは刺客ではなく、人知を越えた魔性の姿だ。


 眼前の魔性を見据え、宗矩は刀を抜いた。


 白刃を八相に構え、不動の態を取る。


 その様子は、魔を降伏する不動明王の如しだ。


「――参る」


 宗矩は踏みこんだ。


 一陣の風が吹く如く、宗矩の剣が空を斬り裂く。


 宗矩は刹那の間に三間あまりも踏みこんでいた。


 同時に魔性の首は宙を舞っていた。


“はっはっはっはっ……”


 地に落ちた魔性の首は――


 美しい女の生首は最後に呪いの言葉をつぶやいた。


“汝らは戦火を避け―― 世の闇を知らずに生きてきた。この世は魔天の”


 言いかけた魔性の首に、宗矩の投げつけた刀が突き刺さった。


「ほざけ」


 宗矩は言う。すでに魔性の姿はなかった。全ては夕闇の中で宗矩が見た幻だったのか。


「いやあ、お見事ー!」


 その時、物陰から現れたシンが拍手した。


「なかなかのお手前……」


 シンの隣に立つランバーもまた、宗矩の剣に感服したようだった。


「な、なんだお主ら」


 宗矩は戸惑う。混沌カオスと戦う同志の出会いは、どこか滑稽だ。

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