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虚無戦史  作者: MIROKU
守護者(ガーディアン)編
11/143

意外な再会!の巻!

 夜の闇に佇む影は、妖艶な女の姿だ。


「し、師匠、その姿は……」


 シンは刮目して人影を見据えた。


 かつて師事した東方無敗が今、目の前に――


 眠らない町・帝都の人気もないビルの間の路地裏に現れるとは。


「久しいな、シン」


 その美しい顔と声は、正しく東方無敗であった。


 しかし東方無敗の艶姿には、シンも面食らった。


 一言で現すならばそれはサキュバスだ。


 淫らな魔であるサキュバスの肉体を得て東方無敗は復活したのだ。


 去勢と引き換えに強大なる力を得る秘術を、己に施した東方無敗。


 男でも女でもなくなった東方無敗は、秘術の反動なのか、女性も嫉妬する美しさを得るに到った。


 それがまさか、数百年を経て帝都の夜に出没するとは。


「お前と戦うためだ、シン」


 東方無敗の静かな瞳――


 長く滑らかな黒髪に、透き通るような白い肌。


 身にまとう扇情的な艶姿に、すでにシンはめまいを感じている……


「ま、まいった! 隙がない!」


 シンは疾風の速さで土下座した。すでに鼻血が流れ落ちている。


 死した後に海母神――生命を司る女神の一柱――によって魂を拾い上げられ、世を乱す「悪」を討つための武神の一人としてよみがえったシン。


 過去数百年の死闘の中で、シンが早々と降伏したのは、これが初めてであった。


「お、お前な……」


 東方無敗はため息をついた。背の翼も、臀部から生えた尾も、力なくうなだれた。


 しかし、それならば別の手段がある。


「まあいい―― シンよ、朝まで楽しもう……」


 東方無敗は一瞬でシンとの間合いを詰め、土下座している彼の耳元へ熱い吐息を吹きかけた。


 ひょっとしたら東方無敗の真の目的は、弟子と熱い一夜を過ごす事だったかもしれない。


「うわあお……」


 シンは耳まで真っ赤にして、顔を持ち上げた。


 下から東方無敗の艶かしい肢体を見上げる姿勢になったシン。彼はサキュバス東方無敗の誘惑に早々と屈しようとしていた。


 が、


「シン!」


 そこへ現れたのは黒衣の精悍なる美男子だ。白銀の鎖を手にしたこの男は、シンと同じく海母神に仕えるランバーだ。


「助けに来たわよ!」


 ランバーと共にやってきたのは、ペネロープだ。


 真紅のバッスルドレスに身を包んだ彼女は、吸血鬼と人間のハーフであるダンピールだ。


 ペネロープは帝都でメイド喫茶を経営しているが、人知を越えた超越の者を察知する力を持つ。


「あらあ、まあ」


 そんなペネロープはサキュバス東方無敗を見つめて、頬を赤らめた。


 彼女は百合属性だ。女の子が大好きだ。


 ピンチの時でもペネロープのガールハント魂は健在だ。


「話がややこしくなったな……」


 東方無敗は再度ため息をついた。


 帝都の夜の中で、秩序コスモ混沌カオスの戦いが始まろうとしていた。

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