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6# お風呂はどうしたらいい?

 「一緒にお風呂に入ろうよ。ナナくん」

 「嫌だ……」


 お風呂の誘いをしてみたけど、やっぱりあっさりと断られた。


 実は『弟と一緒にお風呂に入る』ということも弟ができたらやってみたいことの一つなのに。


 「昔いつも一緒に入ってたんじゃないか」

 「でも、今こんな体だから」

 「あたしは気にしないよ」

 「だが、あた……いや、オレは気にする!」


 今本当に『オレ』って言ってるね。まだちょっと慣れていなくて変な感じだけど。


 「もしかして、付いているあれのことが恥ずかしいの?」

 「……」

 「恥ずかしがらなくて、見せてもいいのに」

 「いいわけないだろう!」


 ナナくんは恥ずかしがりながら怒った顔をした。そんな表情もなんか可愛いけど。


 「そんなに怒らなくても……」

 「この馬鹿姉貴!」


 『馬鹿』だなんて心外だよね。まあ、七李(ななり)お姉ちゃんだった頃から口悪いからあたしもよく『馬鹿』とか罵倒の言葉に慣れているからいいけど。


 それと、やっぱりあたしに対する呼び方は『姉貴』で定着してるね。『お姉ちゃん』って呼んでくれないのはちょっと残念だけど。まあいいか。


 「そんな……。ちょっとくらいいいじゃん。元女同士(・・・)だし」

 「なんでこういう時だけは『女同士』だよ」

 「あはは、それはそうね」


 これってなんか、女性化した友達に男友達が『元男同士だから胸見せて』って言っているようなことだよね。そう考えてしまうと、あたしっていけない女かもね。


 「てか、ナナくんは男の子の体はどうやって洗うかわかるの?」

 「それは……まだよくわからないけど」


 ほら、やっぱりね。


 「じゃ、どうするつもり?」

 「それは……わからない」


 ナナくんは困った顔をしている。


 「だったらやっぱりあたしが手伝おう」

 「手伝ってどうする? お前もわからないじゃないか……」

 「あはは、その通り」


 そう言われるとあたしも答えに詰まって、こうやって苦笑いしかできない。


 あたしと七李お姉ちゃんは、兄も弟もいなかったから、当然そんなことわからない。


 「だ、大丈夫よ。何とかなるよ。多分……」

 「そう言われるとむしろ嫌な予感しかない! 姉貴は何もしなくていいから。オレはお父さんに相談する」

 「またお父さんか……」


 もうナナくんと一緒にお風呂に入る言い訳が思いつかないので本当残念。


 とりあえず、今回あたしなんかは頼りにならないから、結局お風呂のことはまたお父さんに任せることになった。


 また男2人で何をする? しかも裸だよね? やばい、また変な妄想が……。いけないよね、あたし。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 「姉貴、なんでここにいるのよ?」


 ナナくんがお風呂から出て自分の部屋へ戻ったら、ここであたしが待っている。そんなあたしを見てナナくんは呆れそうな顔をした。


 「ナナくん、お風呂はどうだったの?」

 「どうって?」

 「結局どうやって洗うの?」

 「別に普通だよ……」

 「あのとこは?」

 「しつこい! うるさい! 馬鹿姉貴!」


 やっぱりナナくん反抗期だ。そんな反応も期待通りだけど。


 「こんなくだらないことを訊くために入ってきたの?」

 「いや、そうじゃないよ。ただこの部屋のことを考えている」

 「何のこと?」

 「この部屋はやっぱりまだ今までそのままね」


 今ナナくんの部屋は七李お姉ちゃんだった頃と同じ部屋で、何もほとんど変わっていない。だからどう見ても女の子の部屋って感じ。


 「別にこのままでいいじゃん」

 「でも男の子になったから、やっぱりこれだとちょっと変かもね。少しでも荷物の整理とかしておいた方がいいと思う」

 「そんなこと必要があるのか?」

 「それは……やっぱりナナくんはまだ七李お姉ちゃんに戻りたい?」

 「そんなの当たり前だよ。でも今更あり得ないとはわかってるから、このまま男の子として生きていくしかないよね」

 「そうよね」


 ナナくん、強いよね。まだ2日しか経っていないのに、なんかすでに十分納得してこの状況を受け入れたみたい。


 「だからやっぱりこの部屋も男の子っぽい部屋にした方がいいと思うよ」

 「そうかもしれないけど……」

 「もしかして七李お姉ちゃんの荷持はこのままにしておきたいのか?」


 もしそう考えているのなら、やっぱりしばらくこのままでいいかも。だっていきなり荷物を持ち出すなんて昔の自分の存在を否定するみたいで、納得いかないのも当然。


 「そんなことない……と思う。わかったよ。確かにもう必要ないものが多いから、片付けておいた方がいいよね」

 「そうね。女の子の方が必要なもが多いから」

 「もう要らないものが全部姉貴にあげるから、手伝ってくれ……」


 あ、なるほど。つまり、自分の部屋が片付けられるのが嫌ってわけではなく、ただ自分でやるのは面倒くさいと思っているだけね。やっぱり面倒くさがり屋の七李お姉ちゃんのままだ。


 ちなみに、そもそもお姉ちゃんの部屋はもっと散らかっているはずだったけど、お姉ちゃんがいなかったこの2日間あたしがちょっと片付けてあげたからよくなってきた。


 「わかった。ちゃんと男の子の部屋にしてあげるね〜」

 「お前、なんか楽しそうだね」

 「ナナくんだって自分でやるのが嫌だからあたしに手伝って欲しいと思っているくせに」

 「それは……まあね」


 否定はしないんだ。やっぱり思った通りね。ナナくんわかりやすい。


 「つまり、ウィンウィンね」

 「じゃ、任せるよ」

 「うん、任せて〜」


 でもどうやったらいいかの? 正直あたしもまだよくわからない。男の子なら適当でいいとは聞いたけど。やっぱりこれもお父さんに相談してもいいかも。


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