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8話


私、メルル・ルシフォンがまだ祖国であるマーメル国で聖女をしていた時─。


私には国に決められた婚約者が居た──。



マーメル国の第3王子であるディロス・マーメル。彼は私が聖女として神託を受けた直後に婚約者となった人。


聖女となる前は庶民だった私にとっては青天の霹靂であり、まさか王子様が自分に現れるなんて思ってもみなかった。


ディロス様はとても優しくて紳士的で、初めて会った瞬間から恋に落ちていた。


今思えば…私は全く現実が見えていなくて、自分にいきなり降ってきた幸せに盲目になったバカな女だったと思う。


王子様が庶民と恋に落ちるはずは無かったのだ。




聖女の仕事として、戦場に赴き傷ついた兵士に祈りを捧げたり、戦地へ行き荒れた田畑に祈りを捧げたりと、何故か危険な任務ばかりが重なっていた。


3食きちんと出るご飯だけが心の支えだったわ──。


毎日毎日ボロボロになる私を心配する所か、次から次へと危険な仕事を入れてくる王子に恐怖を覚えた頃──


厳しかった戦況は一気に傾き…我が国は負けたのだった──。



「役立たずの聖女でも、最後に役に立ったな─」



戦争相手のセヴォン帝国から、聖女を差し出せば賠償金など免除するとの御達しがあり、私はセヴォン帝国へ送られることになったのだった。



「俺はお前みたいな庶民は大嫌いだ。セヴォン帝国に行ってくれて本当に助かるよ。」



そう言って笑う第3王子に、私の恋心は激しく打ち砕かれたのだった。




「……。黒歴史だわ…──」



改めて思い出しても、本当私の人生って何だろうって感じよね。

その後やっとの思いで辿りついたセヴォン帝国でも追い出されるし。


そう思うと今が一番幸せかもしれないわ…──。



クロさんと出逢って、何気ない1日を過ごして。


傷ついた心が少しずつ癒されていく気がする。


魔力も満ちたからか、異常な空腹も無く過ごせ、本当に穏やかな日が続いている。




でも…、私は知っている。

私に穏やかな日など来ないことを───



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