12話
それは一瞬だった─…。
気が付くと、クロさんの闇に捕えられたロブ・ロードがガタガタと震えていた。
「ひっ…!!魔法が使えない…っ!支配されたのか…?まさか…、この俺が…!!」
「僕が指を鳴らせば、あんたを一瞬で消すこともできるけど…、ねぇ、どうしたい?」
こちらまで凍りつきそうな怒気を含んだ声でクロさんはロブ・ロードを威圧する。
「ひぃぃぃぃぃ!!解除するよ!!彼女の首輪を!!」
震えながらロブ・ロードが何かを唱えると、カチリと音を立てて首輪が外れる。
い…息ができた!!生き延びたわ─!!!
「メルル!!大丈夫!?」
クロさんが駆け寄ってきて、私を抱きしめる。
首輪は無いのに…胸がぎゅーとなって息がしにくくなる。
「く…クロさん…苦しい…」
「あ、ごめんね、良かった。君が無事で」
心底ほっとしたような声でクロさんが言うから、瞳から涙がぽろっと零れ落ちてしまう。
やっぱり、クロさんの隣は落ち着く。
クロさんが…好き──。
例え…ペットの白豚でも…
クロさんの傍に居たい──
「メルル…!」
クロさんが何か言おうとした
次の瞬間─…
「油断したな…黒猫ぉぉぉぉぉ!!!」
ロブ・ロードが行き成り目の前に現れ、その手にはナイフが握られていた──。
「クロさん危ない!!!」
咄嗟にクロさんの前に庇うように飛び出る──
あ…
これ…──
駄目なやつだわ──…!!!
ナイフはそのまま私に振り下ろされた──




