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1話



「お前が聖女だと!!?俺を馬鹿にしているのか!!醜い白豚め!!即刻目の前から消えるがよい!!」



遥か海を越えて数か月も旅をしてやっと辿りついたと思ったら──


聖女であるメルル・ルシフォンはセヴォン帝国の皇帝であるルイセル・セヴォンの怒りに触れ、宮中の外へ投げ出されていた──



「ああ…。お腹すいたわ…。」



巨体を揺らし、街の中をとぼとぼと歩く。


ああ、あれはいつの日だったか…、生まれ育ったマーメル国で聖女の神託を受け、民の為に祈りながら暮らしていた。


海を渡った先のセヴォン帝国との戦争にあっさり負け、その戦利品として聖女を希望され、はるばる海を渡ってやってきたのだ。



慣れない旅路と、異国で暮らしていかなければいけない不安…ストレスが重なりに重なり、それは過食として発散された。


儚げな聖女と言われていた自分は、数か月の旅路の中で…体重は倍に膨らみ…見事な白豚聖女が誕生したのだ。



「これからどうしましょう…」



途方に暮れるとはこのことだ。少しの路銀は持っているが、この先暮らしていくとなると心許ない。


どうしようかと途方に暮れていると、後ろから声を掛けられる。



「お美しい御嬢さん、こちらでご飯でもいかがでしょうか?」



妖しい髭の親父であるが、背に腹は変えられない。



「はい!!頂きます!!」



全く疑うことなく付いていったのが悪かったのか─…。

気が付くと全く知らない森の中に居た─…。



「ふぇっ!!?どうして!!?ご飯は!!?」



よく見ると身ぐるみ剥され、金品は盗られ、粗末な着物しか身に着けていなかった。


こんなのあんまりだ。異国に連れてこられて、追放された挙句に攫われて森に捨てられるなんて!!!


ご飯くれるって言ってたじゃない!!せめてご飯食べたかったわ!!


空腹は誤魔化せず、その場に蹲る。ああ、せめて何か食べてから死にたかったわ…。

地響きのような腹の音が響き渡る─…



「え、豚ですか?人ですか?」



いきなり男の声が頭上から聞こえた──。

顔を上げると、真っ黒な猫のお面を被った長身の男が立っていた。



「ひ…ひと…です…。何か…食べ物持ってませんか…?」


「あー、人ですね!了解です。これでよかったらどうぞ!」



そう言って黒猫面の男がパンを1個差し出してくれる。

ああ、天の助けだわ!!



「ありがとうございます!!頂きます!!」



必死にパンに貪りつく。ああ、美味しいわ。

飢えが無くなったことで、少し幸せな気持ちになる。



「どこのどなたか分かりませんが、ご親切にありがとございました。」


「いいえー。お姉さん、こんな山奥でどうしたの?」


「人攫いにあいまして…。自分でもどうしてここに居るのかわかりません。」



あの髭親父の顔が頭にちらつき、自分の馬鹿さ加減に少し落ち込んでしまう。

黒猫面の男は不憫に思ったのか、少し私に近付き顔を覗き込む。



「ああ、それは可哀想に…。じゃあ、僕のお嫁さんになりませんか?」





新連載スタートしました!

メルルと黒猫さんとの恋、応援していただけたら嬉しいです!!


もしよろしければ、ご感想、評価、レビュー頂ければ作者の励みになります!

よろしくお願いいたします。

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