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俺、ヲタクでイジメられてたけど、異世界で魔王に転生したので、クラスメイト全員に復讐します!  作者: JKL
第3章 イジメられてた俺、転生したのでクズ野郎どもに復讐します
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第17話 盟主への復讐1

 すみません。

 戦闘シーンが長くなって(余計なこと? を書きすぎですかね)、本当の復讐シーンにまでたどりつけませんでした。

「やぁ、よくきたな。待ちくたびれたよ」

「……お前が魔王、か」

 軍事同盟の首都ジラフを包囲したアイェウェ軍の前に、盟主タック=セナケ=ハオーが単身現れた。

 完全武装……というには軽装だが、鎧のようにまとっている筋肉で押しこんでくるタイプなことは、先日のアヤとの一騎打ちで確認済みなので、特に驚きはない。

「呼ばれたとはいえ、一人で来るなんて、勇気があるというか……無謀というか……万が一にも罠だとか考えなかったのか?」

 リナなら、バカなの? とか言いそうな無謀さだ。

 モンゴルの大軍勢に、対馬の戦力だけで本気で戦おうとするくらいの無鉄砲さと言えるだろう。

 だが。

「お前は……姫の仇だからな! 必ず、この手で、殺してやるっ」

 タックは、憤懣やる方ないといった感じで叫んだ。

「あぁいいな。ヤル気出たか?」

 呼び出し状を日本語で書き、最後に署名で石村だと記しておいたのが効いている。

 どうせ、あのエヒトのヤツが岡田のこともなにかあおっているにちがいないのだ。

 であるなら、怒らせておちょくった方が、復讐の醍醐味を味わえるというもの。

 だが、怒りの理由が雅人の想定とは異なっていることに気づいた。

「貴様……どうして姫を殺した?」

 目が座っていて、前世なら腰が引けてしまっただろう表情でにらまれる。

(姫……? 川野和花のことか?)

 文脈的に、この世界の本物の姫君について話してるわけじゃなさそうだ。

 ここまで怒り狂われるような、軍事同盟にかかわる姫君にちょっかいを出した覚えはない。

 ないったら無い。

 となれば身に覚えがまったくない。

「俺じゃない。信じないだろうけど」

 一応、弁明しておくが。

「んなわけあるかっ! 神様がお前が犯人だと言ったんだぞ」

 案の定、ルドラサウムが焚きつけていた。

「ッチ……ったくあの野郎……まさか全員にか?」

 雅人のつぶやきは、岡田に無視された。

「細かいことはどーでもいい。俺はお前を殺すために生まれ変わったんだよっ!」

「細かいことはどうでもいいってことだけは同じ意見だな」

 洋平じゃないが、口げんかしにきたわけじゃないもんな、おしゃべり君。

「魔王、貴様を殺して、姫の仇を討つ。同時に、負け犬のオーガ=ヴァーク=アデシュじゃなく、俺こそが四天王にふさわしい男だと証明する。我が名は猛将タック=セナケ=ハオー。(推して)(参る)

「オー、グレイトな名乗りだな」

 長口上に拍手してやろうかと一瞬思うが、そんな馴れ合いがしたいわけじゃないと思い直す。

「……ところでちょっと待て。……留年してたっけ?」

「は?」

 どうにも聞き流せないセリフに、つい反応してしまう。

「いや、二留した、ダブリインパクト岡田って名前の野郎だったかと思って」

「……わけわかんねぇところは相変わらずだな」

 相変わらず?

 こんなにヲタネタを混ぜこんでしゃべるようになったのは、転生してからだけどな。

 どうも、ターニャのように存在Xが精神に干渉してネタまみれの会話をさせようとしてるのではないかと、雅人は推測していた。

 まぁ、だからといってこの程度なら実害はないのでかまわない。

「クソヲタクのお前を、みんなで真人間にしてやろうと、可愛がってやった恩を忘れやがって……」

 まなじりを上げて怒り狂っているが、その言葉は雅人の逆鱗に触れていることに気づかないらしい。

「……可愛がる? 相撲的な意味で?」

 どうせ違うだろうと確信しながらも、一応聞いてやる。

 返答次第では、岡田の処遇を考え直す必要がありそうだ。

「あぁ? 文字どおりの意味だよ」

 ふー。

 落ち着け、俺。

 順平だって言われたじゃないか。

 いじめてた奴らと仲良かったよなぁ、って。

 加害者や、側から見てる奴らには、被害者の苦しみなんてわからねぇんだよ!

「そうか。殺して正解だったよ」

「あ?」

 声のトーンを落としてつぶやく。

「あの(クソ女)を殺してやって、正解だったって言ってんだよ」

 自分がやったわけじゃない。

 それでも、そう思いこんでるならそれを利用するまで。

「っていうか、岡田。姫に惚れてたのか? 親友の重田があんなにお熱な女に、横恋慕かよ。いい趣味してんな」

「殺す」

 岡田が殺気を爆発させる。

「さっきから何度も聞いてるよ。おしゃべりしてないで、とっととかかってこいよ」

 手のひらを上にして、指で来い来いと挑発する。

「クソがっ、死ねっ」

 わかりやすく激昂した岡田は、靴を脱ぎ捨てる。

「喰らえ……爆裂脚」

 足の裏から炎が吹き出し、目にも止まらぬ早さで突撃してくる。

「ったく……悪魔顔の特殊消防隊員かよっ」

 とっさに張った防御障壁に激突して、ドゴンッと重い音が響く。

「さすがは筋肉バカだな」

 軽口を叩くが、恵まれた体格を生かした膂力で押しこんでくる力強さに、内心では舌を巻いていた。

 とはいえ、守ってばかりでは復讐にならない。

 一瞬で展開させたので、せいぜいが「桜」シリーズの障壁程度の防御力だ。

 つまりは……岡田の攻撃程度ではびくともしない。

(それじゃあ、つまらないからな)

 障壁ごと押し返して、岡田との距離が空いた瞬間に障壁を解除する。

「うぉぉぉっ! 死ねぇっ」

 岡田は、こちらが防御することを諦めたと都合の良いように受け取ったのか、着地と同時に足に着火させ、飛び蹴りを放ってきた。

「まるで、コンロン村の村長だなっ」

 威力的には、軽く人を殺せる一撃だ。

 たとえ雅人が、教室の謎爆発事件を引き起こした犯人だったとしても、ソウ簡単に喰らってやれる攻撃ではない。

 両手を狙われている顔の前で重ね、飛んできた膝蹴りを受け止める。

 辛うじてノックバックは避けられたが、あまりの衝撃に雅人が立った地面の周辺がえぐれる。

 雅人の手も瞬間的にしびれたほどだ。

「で、アルカ」

「まだまだっ」

 攻撃が防がれたと理解した岡田は、膝で雅人の手を押して跳ね返ると、空中の何もないところを蹴って反転し、上から足の甲で蹴りつけてくる。

(うおっ。高杉パパのオーバーヘッドキックかよ)

 連続無失点記録を破るような、意表をついた攻撃に感嘆の叫びを心中であげながら、辛うじて横にずれてかわす。

 たがすぐにまた、空中で方向転換しての蹴りが飛んできた。

「ったく……爪熊に食われたウサギかよっ」

 蹴り足は森羅ばりの炎で加速してくるので、避けた耳元でビュンビュンと風を切る音を響かせており、気が抜けない。

「って言うか……砲丸投げのくせに、足癖悪すぎだろ」

 横なぎに放たれた蹴りを、立てた腕で防ぐ。

 ミシミシッと互いの骨がきしむ音がする。

 だが、失敗した攻撃にこだわるタイプでは無いらしい。

 岡田はすぐにガシッと雅人の腕を踏み台にして、空中に跳ね上がる。

 雅人の身長よりも高く飛び上がったあと、空中を蹴ってさらに高い位置まで浮かび上がった。

(お前は蜘蛛かハジメか、雪代弟かよ)

 アンカーを打ちこむ必要がない分、空中機動はリヴァイよりも動きが読めない。

 位置エネルギーという概念があるくらい、高所というのは攻撃にプラスアルファの威力を載せやすい。

 それを体現するように、重力を上乗せしたかかと落としが迫ってきた。

(アンディ•フグばりだなっ)

 とっさに腕を上げて受け止める。

 龍槌閃並みの威力に、膝を曲げてなんとか衝撃を逃した。

「ふん。お前みたいな卑劣なヤツは、そうやって膝を突いてるのがお似合いだな」

 かかと落としも防がれたのを見た岡田は、流川か哀川もかくやというボディバランスで、フワリと後ろ向きに飛ぶと、静かに着地した。

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