「プロローグ -ある少年の夢の顛末ー」
「プロローグ -ある少年の夢の顛末ー」
ああ、またこの夢か。
それが最初の感想だった。
深夜の風の吹きすさぶ高層ビル、その屋上に設置された特設ステージの上。
そこで、自分はフードを被った小さな少年と対峙していた。
小学生ほどのその少年は、フードの中から不敵な笑みを覗かせる。
それは深夜の暗闇の中にあってもハッキリと見えた。
何故なら、その背後には周囲を照らす程に眩い光を放つ、
――――巨大な"炎の鳥"が飛んでいたのだから。
向かい合う自分の横にも、従者たる"仮面をつけた道化師"の姿があった。
だが、巨大な"炎の鳥"を前にしては、それは小さく、心許なかった。
何度、この光景を夢で見たのだろう。
今回もまた、この光景を前に同じ感情に支配される。
絶望、怒り、悲しみ、後悔、………そして恐怖。
それらがグルグルと胸の中に渦巻く。
やがて、少年の指示が下され"炎の鳥"は夜空を舞う。
美しいとさえ感じるそれは、彼とその従者を包む。
灼熱が全てを燃やし尽くしていく。
仮面の従者も、ライフも、夢も、希望も、大切な誓いさえも。
………ここで……負けるわけ…には……
…………………………
ああ、夢は覚め、今日も現実が始まる。