異世界魔法ライフ<1> Ⅱなんだか異世界は報酬多め
異世界二日目。俺は早速、商業ギルドに行ってみることにした。
「ここが商業ギルドか、、、」
結構大きい。五階建てだ。なんだか市役所みたいだ。
中に入ってみると、ロビーの奥にカウンターみたいなのがあった。
「すみません。日雇いの仕事探してるんですけど、なんかありますかね。」
「えっと、今日でしたら、、、二件ありますね。広場の清掃と、王宮で行われる、他国との交流パーティーの準備ですかね。」
は?王宮?
「王宮って、城の中ですよね?そ、そんなところに一般人が入っていいんですかね、、、」
「はい、全然いいです。龍王様は国民との関わりを大切に思っていらっしゃるので、準備を手伝ってほしいとのことでして。」
ここの国の王様は慕われていそうだ。暴君じゃなくてよかった。王宮にも興味はあるし、行ってみるか。
「じゃあ、パーティーの準備の方で。あ、でも服装とかこれでいいですかね。」
「はい。目立った汚れはないので、そのままでよろしいかと。・・・」
カウンターの人が不思議そうにカイトの服を見た。カイトは普通のジーパンとTシャツを着ている。だが、この世界では普通ではない。
「まあ、多分大丈夫だと思いますよ、、、」
「はあ、、、それで、いつ行けばいいんですかね。」
「時間は昼の一時からですね。準備が終わり次第終了となっています。この紙を持って行ってください。これがないと王宮に入れないので。」
そう言って出してきたのは、印が押された許可書みたいなものだった。
「はい。分かりました。ついでに聞きたいんですけど、この辺に魔法が使える人っていますかね。」
「魔法、ですか?面白い人ですね。そんなのおとぎ話ですよ。」
笑われてしまった。やっぱり、魔法がないのか。さよなら俺の魔法ライフ。
「でも、昔魔法は使われていたというので、遺跡に行ってみると珍しいものが見れるかもしれませんよ。」
遺跡?ダンジョンか。まだ、行けそうにないな。
「いろいろありがとうございました。」
「はい、仕事があ終わればまたお越しください。給料をお払いいたしますので。」
僕は商業ギルドを出た。そういえば、この世界には時間という概念があり、時計もあるみたいだ。
僕はラビスお婆さんの家に帰った。もう十二時になろうとしていた。俺はそのままお昼ご飯を頂いた後、王宮を目指した。お城みたいのなのは見えてるけど、一応広場の地図を見ていくことにした。あの、この世界に飛ばされた場所だ。ラビスお婆さんの家から少し距離があるが、俺は一度来た場所は忘れたことがない。それに土地勘はいい。俺は迷わず広場に着いた。
広場は今日もにぎわっていた。
「えっと、地図は~っと。あ。あった。」
広場を抜けてそのまままっすぐ行けば王宮か。これは迷わず行けそうだ。王宮に続く道は商店街みたいになっていて、広場よりもにぎわっていた。それに、道幅もかなり広かった。やっぱり、この世界に来て魔法使ってる姿とか見ないなとか考えていると、あっという間に王宮に着いた。
さすが王宮というだけあって、正面の門の警備はしっかりしている。すでにパーティーの準備を始めているのか、門はたくさんの馬が出入りしていた。って、ば、馬車じゃねえ!トカゲ?竜?そんな感じの生き物が車を引いていた。初めて、異世界にいますって感じがした。
「すみません。パーティーの準備の日雇いできたんですけど。」
俺は商業ギルドでもらったあの、許可証みたいなのを見せた。警備員は最初、変な服装をした俺に警戒気味だったが、許可証を見せると、通してくれた。そして、他の警備員が集合場所に案内してくれた。
集合場所には、五十人ぐらい人がいた。それと、王宮の役人らしき人がいる。日雇いの人だけでは足りないのだろう。しばらくすると一人の役人が出てきた。
「よし、揃ったようだし移動してもらおう。途中でどこか行くと迷子になって帰ってこれなくなってしまうから、くれぐれもはぐれないように。」
王宮は、廊下から部屋まで全部広かった。特に、会場は広かった。シンデレラの舞踏会の会場と言ったらわかりやすいだろうか。
「早速、準備に入ってもらう。他の国からの来客もある。会場がダメだと、龍王様の威厳にも関わってくる。しかっり、抜け目なく準備するように。いいな!」
『おおうぅぅ!!』
・・・俺は龍王様なんて見たことないけどね。
あれから三時間。準備は特に何か事件があるわけでもなく、手際よく進んだ。でも、作業量も半端なく、日雇い五十人弱と、役人総出で何とか終わった感じだ。これから食べ物の準備があるらしいが、それは厨房班が総出でやるそうなので、日雇いの仕事はここまでだ。帰りに領収書が入った封筒をもらい、ギルドに向かった。
ギルドに行き、領収書をカウンターの人に渡した。
「はい。お疲れさまでした。報酬が、、、じゅ、15万リルになりますね。」
リル?お金の単位か?なんか驚いてない?
「15万リルあったら、どんなものが買えます?」
「これだけあったら、二十日近くはもちますね。」
え?結構高くない?儲けた?
「こちら、報酬の15万リルになります。」
レジ替わりのような箱からお金を出してきた。どうやら、1万リルまでは金貨でできているらしい。それより上はお札。金貨五枚とお札一枚。物足りない感じはするけど、これで二十日近くは食ってけるのか。とりあえず、財布にでも入れとくか。報酬をもらって俺はラビスお婆さんの家に帰ることにした。帰りながら、無償で止めてもらってるわけだし、家を出るってなったら宿代でも払おうかとか考えていた。