50話 逸脱2
新しい小説を書きました。
SF推理モノ、ループ脱出モノになります。
よろしくお願いします。
https://ncode.syosetu.com/n5087fv/
『4時間4部屋4人の罪咎』
「あれぇ?あの時の娘っ子じゃねぇだか?」
その声に反応して振り向けば、先発隊に居た覚えのある冒険者が立っていた。杵を振り回して影魔物達の頭をピンポイントで消し飛ばしており、端から見るとちょっとしたホラーだ。
「精が出るな冒険者の。…面白い武器だな」
「これかぁ?使い勝手が良いから使ってるだけだぁ。おらは剣士さんみたいには成れないかんなぁ」
そう言いながら突進してきた影竜の眉間が唐突に消し飛ぶ。妾の知っている剣士よりもおかしな技術なのだが…、と鬼姫は若干の呆れと切望を抱いた。技術は時間を掛ければどうにでも成るが、身体能力はここまで上げられないだろう。
もし転生したのが、無双系ゲームのキャラクターであればと考えないでもないが詮ないことだ。持てる手札で戦うしか無い。
「じゃ、おらは行くだよ。首が無くなっちまうだ」
「そ、そうか」
影の女王に殺到する冒険者達。それを見て鬼姫は闘争心がしなしなと萎んでいくのを感じていた。一対多ならいざ知らず、この数の冒険者に囲まれては『勝負』は成立していない。既に勝敗は喫している今、手出ししなくとも単純な能力であるが故に、逆転の目もなく女王は倒れるだろう。
ただし女王は必死である。ようやく自我を得たのにもう沈みそうなのだ。足掻いているのか知らないが、爆発反応装甲のように、攻撃を受けた箇所から爆発的に配下を生産させてカウンターを狙っている。
しかし悲しきかな。囲んでいる者は上級冒険者ばかりで、様々な工夫も真正面から叩き潰される。一番凶悪な"質量"という武器を失った影の女王は多少素早いというだけであった。
「オラァッ!トドメだッ!」
二刀流を操る冒険者が女王の首を切り落とす。配下は既に打ち止めで、回復もままならなかった女王はヘドロのように形を失う。身体が溶け、腕が崩れている。そして最後に
──我ガ、野望ヨ…
という断末魔を吐いて事切れた。
泡立ったヘドロはやがて小さくなり、消える。
その場に残ったのは、暗い黒色のドレスだ。
「影の女王!このクラムが討ち取ったぞッ!」
──王都中を巻き込んだ動乱の幕切れは、実に呆気ないものであった。
戦利品である黒色のドレスの所有権はトドメを刺した冒険者が得り、研究の為に冒険者ギルドが買い取る形となった。
最後の最後で怪我人や死人が出てしまったが、キャメロットの尽力によって被害は最小限に抑えられたと言って良いだろう。そうして冒険者達は王都へ戻ることになった。英雄達の凱旋である。
主人公が活躍しにくいですね…




