誰に殺されたい? 出会い
仕事が終わりアキくんの家に行く。
そういえば仕事仲間で飲みにいったりするのでは行ったことあるけど1人でいくのは初めてだななんて考えているとアキくんの住むアパートが見えてくる。
チャイムを鳴らすとガチャリという音と共に黒髪の男性がでてくる。
アキくんは茶髪だから突然の出来事に
驚いているとその人は微笑みわたしを中へ案内した。
「それじゃあ俺は行く。またな。」
わたしと、入れ違いに出て行った人の顔。どこかでみたような。どこだっけ?
あれ?
「来てくれたんだ。ありがと。」
考え事を遮断するかのように弱々しいアキくんの声が奥から聞こえる。
慌てて玄関を閉めておくの部屋にはいるとお昼休み程ではないが苦しそうにベッドに横たわるアキくんがいた。
「うん。はい、これ。飲む?」
買ってきた飲み物や食べ物を机に置く。
「飲む。ありがと。」
ゆっくりと起き上がるアキくんの
背中を支える。やっぱり熱くてまた心配になる。
「お医者さんいった??」
「ねえ、咲。」
「ん?」
久々に名前を呼ばれたなんて考えているとゆっくりと頬に手を伸ばされる。
熱い手にびくりと肩が上がる。
「アキくん?どうした
の。」
グッ
急にアキくんが寝ていたところに
押し倒され首をグッと閉められる。
え。なに。
頭で今起こっていることを整理しようとしても目の前で起こっていることがあまりにも現実離れしすぎてなにも考えられない。
「っ、アキくん」
必死の思いで発した声にハッとしたようにアキくんは手を離す。
「ケホッ、っっ」
うまく咳き込むことができず変に苦しい。アキくんは自分がやったことが信じられないのか両手を見つめて固まっている。
「俺っ、ごめん。咲。ごめん」
必死に謝るアキくんにさっきの恐怖は少し薄れて行く。さっきのは気のせいだ。
高熱でおかしくなっちゃったに違いない。そう思い込み謝り続けるアキくんの背中をさする。
「大丈夫。アキくん。大丈夫だよ。」
どうしてこんなことしたの?
なにかあったの?さっきの黒髪の人は?
いろいろ疑問に思ったがいまはアキくんを冷静にすることが先決なので背中をさすり続けた。
「さっきは、ほんとにごめん。
苦しかったよね」
冷静になったアキくんはバツが悪そうなかおでわたしの首を見る。
「もう大丈夫だよ。アキくん、なにかあった?」
「...ううん。ごめんね。
ごめん。ほんとに。俺はあいつと一緒だね。馬鹿みたいだ。」
なにを言ってるのかわからないが自嘲気味に笑うアキくんを見つめる。
「..あいつって?」
少しの沈黙のあとアキくんがわたしの方に向き直りこちらを見つめる。
「ううん、なんでもない。」
「そう?」