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番外編:従者が俺を溺愛しすぎる

ガイ視点のお話です。

ちょいちょい番外挟む予定です。

ご機嫌いかがか。俺の名前はガイ・ヒェルベック。伯爵家の次男坊でこれから学園に入学する14歳だ。俺には産まれた時から一緒に居る従者がいる。小さな頃、彼は俺の英雄ヒーローだった。意地悪な兄貴達から俺を守り、危ない時には必ず助けてくれる。だからといって過保護ではなく、本当に困った時にだけ手を貸してくれる奴だ。前に池の側の木で遊んでいて池に落ちた時も、危ない遊びはするなとは言わなかった。その後、ちゃんと溺れる俺を必死に助けてくれた。でもその時彼は酷いく寝込んでしまい、俺の英雄が万能でない事を思い知った。彼は体が弱いのに俺の為にすぐ無理をする。彼は俺に尽くす事に喜びを感じるらしく、俺の前ではいつも優しく微笑んでいるし、俺も彼が笑っていると嬉しい。だから俺も彼を止める様な事は強くは言えなかった。そして最近、献身的な彼は俺の夜の相手も務めることになり、今まで知らなかった彼の夜の顔は相当えr・・・・


ゴン

俺は咄嗟に買い物袋から先ほど買った盾を出し頭突きをした。良かった、盾は壊れていない様だ。

セルバートが俺の突然の行動に驚いている。変に思われただろうか。だが、どうしようもない衝動にかられたのだからしょうがないんだ。俺はこの感情の押さえ方がまだ上手くできない。

「ガイ様?突然盾に頭突きをしてどうされたんですか?」

「・・・いや。先ほどから盾の強度が気になって」

「ふふ。そんなにお気に召したんですね。もうせっかちなんですから」

杞憂だった。セルバートは何の疑念も抱かなかった様だ。俺馬鹿なセルバートが俺の奇行に気がつくはずがなかった。少し彼の頭が心配だ。

こじんまりとした通りのカフェテラスに居るのだが、隣の客は新聞越しに俺をチラチラ見ている。ああ、たぶんこちらが正しい反応だろう。カフェで茶を飲んでいたのに突然盾を取り出し頭突きをかます少年を見たのだから。やはりセルバートの頭は大丈夫か。それともセルバートの中の俺はそんなにやばいのか。額に鈍い痛みを感じながら紅茶をすする。くるくる考えていたせいだろう、盾を取り出した時に何か落ちていた事に俺は気がつかなかった。

セルバートが足元に落ちていた小さな箱を拾っていた。

「ガイ様?何か落ちてましたよ」

「ぶふっ!!」

セルバートがテーブルに置いた箱を見て俺は飲んでいた紅茶を噴き出した。すぐにセルバートがハンカチで俺の口元を拭う。隣の席の客が席を立った。さぞや居心地が悪かったろう。申し訳ない。

その小さな箱は先ほど寄った装飾品店で受け取ったものだった。


王都の学園に入る数ヶ月前。俺は母上に呼ばれて応接間に来ていた。何の用かと思って向かったが、用件を聞いてげんなりする。来ていたのは通いの宝石商で、学園に行ってからの俺の装飾品を注文するらしい。女でもないのに光りものを着ける必要性が感じられない。

「いいのよ蜂蜜ちゃん(俺の事らしい)はマネキンしてくれるだけで。買っておけば黒すぐりちゃんが選んで貴方に着けてくれるもの」

確かに、セルバートは俺を着飾るのが好きだ。彼が喜ぶので俺は邪魔にならない程度の装飾品を選ばせて着けている。本当ならセルバートも呼ばれていたのだろうが、今日は体調を崩しているから来れないのだろう。

母上が見本を俺に合わせて見たり、宝石商とどんな宝石をつけるか相談している。興味がない俺は暇だ。宝石商が持ってきたパンフレットでも見るか。ぱらぱらとページをめくり、商品説明を読むがどうにもみんな同じ様に見える。だが後ろの方へ行くと魔道具の特集が組まれているのを見つけた。機能性がある装飾品ならつける気もわく。何か良いものはないだろうか。ふと、商品の1つに目が止まった。

「ペアリング・・?」

「おや、お気になります?」

俺の呟きは小さいものだったが耳が良い宝石商に拾われていた。えらく良い耳だな。

「人気があるロングセラー商品なんですよ。込める魔術で機能がかわりまして、例えば互いの位置が分かるなど。よく恋人やご夫婦が買われたりされるんです。お坊ちゃんも良い方がいるなら是非いかがです?」

「まぁ蜂蜜ちゃんたら!もう良い子がいるの」

母上が無駄に興奮しているがそんな相手は居ない。だが、どんなに断っても母上が買え買えと引き下がらなかった。ただ説明欄に少し気になる機能があっただけなのに。買うならセルバートに買うと言えば母上は残念がるどころか頬を紅潮させ喜んだ。

「まぁ!貴方たちってばもうそんな仲なのね」

違う。母上は絶対に勘違いをしている。重ねて弁明したが聞こえていなさそうだった。俺達は主人と従者で、まだそんな関係ではないのに。


結局その後ペアリングも注文し、出来上がったの物を買い物のついでに取りに行ったのだ。これは元々、母上にごり押しされて買った指輪だ。作ってしまったので勿体無いからセルバートに渡すのだ。たから恥ずかしい事なんてない・・・・・のに。箱を開ける指が震えて舌打ちしそうになる。

「セルバート。これはペアリングの魔道具で念じれば相手のいる方向へ光がさす。またどちらかが体調を崩したり怪我をすると青い石が赤くなる様になっている」

「そうですか。対の魔道具・・・なんと、ガイ様!もうそんな好い仲のお方がっ」

「違う!お前にだ。反論は認めないからな」

「へ?」

セルバートは呆けた顔で気の抜けた声を出した。イライラした。言い出した俺はあんなに恥ずかしかったのにこいつは変な勘違いをするし、俺がお前に贈り物をするのがそんなに驚く事なのか。俺の額に皺が寄る。

「・・お前はいつも我慢する。我慢してもこれでばれるんだ、これからは体調が悪くなったらすぐ言え」

俺の声も荒くなる。ふつふつとイライラが募ってどんどん顔が厳しくなっているに違いない。自分の思った反応が無いからと感情的になって、なんて俺は子供なのかと自分に嫌気がさした。

しかし、睨みつける様に見てしまったセルバートはそんな俺に反応するでもなく今度は口をだらしなく開けたまま固まっていた。いや目元が少し赤い様な、目もだんだんと潤んでいる気がする。俺には分かる。セルバートは今猛烈に感動しているのだろう。あまり表に激しい感情を出さないセルバートだが、それはそれは濃い幸せオーラが出ている気がする。

こんな拙い贈り物でなんでお前はそこまで喜ぶんだ。俺はお前にしてもらった分のいくらも返せていないのに。ああ、イライラする。俺はセルバートの手を無理やりとり指輪をはめた。そのまま彼の手で俺にもはめさせる。セルバートの細い指に繊細な紋様が入った指輪は良く似合っている。俺がセルバートに似合うと思って選んだ紋様だった。俺はこいつの事を誰よりも知ってるから。まるで指輪は俺の所有印みたいだ。そんな勝手な妄想に気分が上がった。

ふとセルバートと目があうと彼の唇が震えた。

「嬉しいです。ありがとうございます」

セルバートはそれは嬉しそうに微笑んだ。彼の指は指輪を大事そうに撫でていた。

俺もお前が嬉しいと嬉しい。だけど何か足りないんだ。お前はいつも俺がする事を見守っていて、いつでも助けようと待っていて。俺が手を伸ばせばお前はいつでも握ってくれるのに、お前は俺に手を伸ばしてこないだろ。誰よりも近くに居るのに俺はお前を遠くに感じる事がある。


もっとお前を素直に喜ばせられる男になりたい。もっとお前が無理をしなくてもいいような強くて頼もしい男になりたい。俺はお前が泣き縋って欲しがるような大人になりたいんだ。

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