育てた攻略対象が可愛すぎる7
御機嫌よう。私セルバートとガイ様は学園に入学するため王都に来ています。さきほど馬車で王都に入ったところです。ガイ様はほとんど領地に居たので都会に慣れていないのですね、目に映るもの全てが気になる様です。お年頃のせいか声をあげてはしゃいだりはしませんが目が楽しそうに外をみています。ふと私の視線に気づかれこちらに向き直りました。
「何にやにやしてるんだ」
「王都の街並みに驚いておりました」
「嘘つけ・・俺から視線外さないくせに。どうせ田舎者くさいと見てたんだろ」
鼻を鳴らして不機嫌そうにまた外を向かれます。
おっと、鋭いガイ様です。私が外の街並みに目もやらずガイ様をガン見していたのに気がついていましたか。都会に慣れてない初心な主人、とても可愛らしいのです。ご機嫌ななめになると口を尖らせたって可愛くしか見えないんですからね。
「お家を離れても元気そうで安心したのですよ。私も見て回りたいですし、落ち着いたら街に出かけましょう」
「ああ」
ガイ様は頷きまた視線を外へ向けます。昔は一緒にお出かけとなれば喜んで抱きついてきたものですが、大人になられたのかとてもクールなガイ様です。もっと喜んでもよろしいんですよ?セルバートは少し寂しいです。
そんな私の気持ちが伝わったのでしょうか。その後向かった商店街でガイ様が指輪を買って下さいました。綺麗な青い石が埋め込まれたシンプルな指輪です。なんでも相手の位置を知ることができ、体調を崩すと指輪の石が赤くなるのだとか。
ガイ様が厳しいお顔で説明して下さいました。装着について拒否権はないそうです。
「お前はいつも我慢する。我慢してもこれでばれるんだ、これからは体調が悪くなったらすぐ言え」
GPSとヘルスケア機能つきの魔道具とは。箱に欠けた林檎の模様が有りましたがそこは見なかった事に致しましょう。何故なら私、大変感動しているのです。ついこの間まで子供だったのに、私の体をこんなに思いやって下さる程大人になっていたなんて。例えるなら、祖父母が孫の修学旅行に遊ぶ為のお小遣いを持たせたら八ツ橋買って帰ってきた時の感動でしょうか。そんな八ツ橋食べれないです!冷凍して永久保存です!でもこれ指輪だから神棚に飾りますか!そんな事を考えている内にガイ様に指輪をはめられていました。ガイ様に手を取られ、私もガイ様の指に指輪をはめさせられます。そうでしたガイ様とお揃いです。前言撤回、肌身離さず持ちましょう。
「嬉しいです。ありがとうございます」
私がそう言うとガイ様は少し頬を赤らめ満足そうに微笑まれました。
「俺との約束だ。守れよ」
ガイ様は学園にはすぐ慣れました。物静かで厳つい見た目から怖そうに見られがちなガイ様ですが、真面目で正義感が強い事が知れて他の生徒に慕われる様になりました。知り合いの従者に聞いたところ、入学早々に家柄が格下の生徒をいじめていた上級生を止めたのだとか。殴りかかってきた自分より大きな上級生をガイ様は返り討ちにしたそうです。素晴らしい、幼き頃より兄君にこてんぱんにされた成果がここで発揮されましたね。私感動いたしましてその日は特別豪華な手料理をお出ししました。そんなこんなしたるうちにガイ様は風紀院という生徒の団体にスカウトされました。名のままに生徒自身による風紀の取り締まりと自警団的な意味を持つ団体です。作中ではガイ様は3年生で風紀院長をされます。
他には各学年で選抜された生徒による学院と言われます団体があります。生徒による学園自治と集会や催し物を運営します。選挙で選ばれるため、良家の方や人気の高い方がなられる事が多いです。例えばガイ様の学年では王子様や宰相子息、名門商家子息がいらっます。もちろん皆さん攻略対象です。
そして学校といえばアレですアレなくして青春といえますでしょうか!
サロン(ぶかつどう)でございます!!