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育てた攻略対象が可愛すぎる6

御機嫌よう。私セルバートは17歳に、ガイ様は14歳になりました。私、おかっぱに加え後髪を背中まで伸ばしてまとめ、グレードアップ致しました。おお!作中のセルバートですよ!胡散臭がいい感じで増しましたね!

そんなことはさておき、今年はガイ様が王都の学園に入学されます。この国の学園とは現代日本でいう専門学校と大学を兼ねたような学校です。各自教科を選択し、各教科3年履修する事で単位を取ることができます。13歳以上であれば入学でき、研究などで学園にずっと残る方も居ます。貴族は入学が義務付けられ、平民が入学するには試験に合格するか推薦状が必要になります。貴族ではたいてい成人の18歳までの3年間を学園で過ごします。貴族では家庭教師が居るのは当たり前ですが、思想が偏らない様に学園でも学ぶのだそうです。ついに来ました乙女ゲームの舞台です!

ガイ様の人生にとってはそんな大事な時期に私は伯爵である旦那様に呼び出されました。あまり入ったことのない書斎に招かれ緊張しております。旦那様は武勇に秀でた方で一言で言いますと金髪のゴリ・・・偉丈夫でございます。ガイ様の将来のムキムキは遺伝でございますね。

「大きくなったなセルバート」

「はい旦那様」

旦那様はとても気さくな方で会うたびに私の頭をがしがしと撫でて下さいます。

「旦那様。セルバートももう17なのですから」

やんわりと止めるのは執事をしている私の父上です。私と同じ色の髪を後ろになでつけた厳しそうな渋いおじさまです。

「そうだな。子が大きくなるのは早いな・・・」

旦那様は感慨深そうに頷かれます。深く同意いたします。ガイ様も近頃ずいぶん大人びてきました。

「セルバート。ガイに婚約の話が出ておる。お前はどう思う」

驚きました。ずいぶん急なお話です。しかし、ガイ様もお年頃ですからおかしくはありません。ガイ様のお兄様はとうに婚約しておりますしね。婚姻は家の繋がりでもあり大切な事です。本来なら私など口を挟める事ではないのです。私を呼んであえて聞いて下さった旦那様になんと答えましょうか。

「私はご婚約を待たれた方が良いと思います。学園へ入ればガイ様がご自分でご縁を見つける事もあるでしょう」

「今のうちならいくらでも良い縁談を見繕えるが」

ガイ様は次男ですから良い家に婿入りも出来るでしょう。学園へ入学する前に婚約される方は多くはないので比較的好条件を選べます。

「ガイ様は騎士になられるそうです。未来の領主は好かないでしょう」

剣術の得意なガイ様は学園で頭角を現し、騎士団に入団したいと考えています。相手の家がよく思わなければばその夢が叶わないかもしれません。

「それに、仲の良いご両親の様に愛する方と一緒になって頂きたいのです」

作中、ガイ様には婚約者がおりましたがあまり乗り気ではない様でした。可愛い主人に愛のない生活を送って欲しくはないのが本音です。学園はある意味実家から隔離された世界です。普段貴族という身分から自由が利かない分、学園に居る間だけでも出来るだけ自由にしてさいあげたいのです。

「お前は本当にガイに甘いな」

「申し訳ありません」

「この家よりガイが大切か」

「大切でございます」

父上の視線で切り刻まれそうですが仕方ありません。旦那様はガイ様と同じく心根の良い方ですから嘘はつきたくないのです。この伯爵家が私は好きです。でも、ガイ様は特別なのです。

旦那様がため息をつかれました。呆れられてしまったでしょうか。

「縁談はやめるか。相手の家が儂は好かんしな」

「旦那様。好き嫌いで決める事ではありませんぞ」

「縁談はまだこれからも出るだろう。焦る事はない」

父上は不満そうですが旦那様はもう決められたのでしょう、私に笑いかけてくださいます。旦那様も結局のところガイ様と私に甘いのです。

「ありがとうございます」

「だが、ガイも年頃だ。学園で間違いが起きては困る。お前がついて止めるのだぞ」

「確と承りました」

お年頃の男子が家を離れればそれは勢いづくでしょう。若い男女の集まる場であれば尚更です。しかし、旦那様の言葉で私の学園行きが決まりました。作中セルバートもガイ様と学園に居ましたが、はっきり言い渡されたのはこれが初めてです。目の前に2人が居ますので嬉しいですが脳内で奇声をあげながら躍り狂うににとどめます。

「して夜の世話も任せても良いな」

「はい。お任せ下さい」

先ほどの話が話なので覚悟はできております。実をいえばガイ様も男性として成長され、私がお相手もしております。結局、私の女性性は目覚めず、見た目も一応ガイ様と同性なので子ができる心配もないので適任といえば適任でしょう。父も兄も立場的に同じ様なものですし違和感はあまりありません。乙女ゲームなのに恐ろしきかな中世設定でございます。

旦那様が珍しくすまなそうに父上を見てため息をつかれました。

「すまないなセルバートももらうぞ」

「15年前から覚悟はしておりました」

さすが父上、私の事をわかってらっしゃいます。私のガイ様への献身は異常ですからね。

しかし、父上も少し寂しそうに私を見るので私まで少し哀しくなってきました。先程までガイ様の旅立ちだと思ってましたが、私もだったのですね。

「このセルバート、誠心誠意ガイ様に勤めさせて頂きます」

「息子を末永く頼むぞ」

「もちろんでございます」

死に別れるその時まで存分にお世話をさせて頂きますとも。旦那様の許可も頂きましたし手加減しませんよガイ様!

今週2回目更新です。

出せる時に出しときます。

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