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育てた攻略対象が可愛すぎる2


「ぐへぇっ」

御機嫌よう。私、セルバートは6歳になりました。しょっぱなから聞き苦しい声を上げ申し訳ございません。ちょうど今ちゃんばらごっこをしておりまして、主人を背に守りながら悪漢もとい伯爵家ご長男とその子分の我が兄上にやられたところでございます。木剣を交えたところでタックルとはお貴族にしてはなかなかワイルドな戦法なのです。

「せうぅ!」

我が天使・・御歳3歳のガイ様の鈴を鳴らす様な可愛らしい悲鳴が聞こえます。ああこの方を守って倒れるなら本望でございます。倒れる私にすがるガイ様の可愛いことセルバート今まさに昇天しそうでございます。

「せうのかたき!」

小さな手に飾りの様なおもちゃの木剣を持ち、悪漢に向かう主人の背のなんと頼もしい事でしょう。

「きゃぁ」

もちろん瞬殺される主人を地面で受け止めます。痛いです。でも柔らかい!なんですか私を悶え殺す気でございますかガイ様!なんて恐ろしい幼児でしょう。

「ふん。愚弟共が」

ガイ様のお兄様であるゴイル様が私共を見もせず踵を返されます。さすが未来の伯爵の貫禄です。というか、このお宅子供にゴツい名前つけすぎではないですか。

「身の程しらずとはこの事ですね」

冷ややかな眼差しをこちらに向けるのは私の兄上です。糸目をなんとか回避した兄上はそれは鋭い眼差しになりました。将来さぞや素晴らしいドS執事になることでしょう。

兄達に気を取られているとぎゅっと腕を握られました。ぐずぐずと鼻をすする音もします。そういえば腕の中に天使が居たのでした。

「せう。せうをまもれるようにおれつよくなるから」

ガイ様がお顔をぐしゃぐしゃにして真っ直ぐ私を見ております。泣きたいのを一生懸命我慢していらっしゃるのでしょう。

叫ばなかった私を褒めてください。鼻血も出しませんでしたよ。感激のあまり涙が出ましたが。なんとお優しい子でしょうか。最近つんつんしだした髪の毛を撫で撫で致します。いつの間にか体も心も成長していらっしゃるのですね。

「がいざまぁぁあなんとおやさじいいぃうう」

だめです私、やっぱり泣き叫ぶのを我慢出来ませんでした。

「うぇーーんせううううーん」

つられてガイ様が泣き出しました。このお年頃ってもらい泣きしてしまいますよね。あぁ、泣くお姿も可愛いので撫でておきましょう。

そこに優しい奥様のお声が聞こえます。

「皆んなーお茶の時間ですよ〜」

「「「「はーい!」」」」

子供達の元気な声が重なります。所詮ごっこですが、私達なかなか迫真の演技ではなかったでしょうか。

私さっと立ち上がり、服についた葉っぱを落とします。転がっているガイ様を立たせ、ぽんぽんと服を叩いて差し上げます。仕上げはぐしゅぐしゅのお顔をハンカチで拭きます。

「はい。ガイ様お鼻ちーんですよ」

「ちーん!」

小さなお手をとり、お茶の用意がされたテラスへ向かおうとしますがガイ様が動きません。

「せう。ちゅー」

天使が天使過ぎます。しゃがんで目を閉じますと小さくて柔らかなものが唇に触れました。

「せう。おれまもるのほんとだからな!」

ガイ様は真剣な表情でおっしゃるので、つい私も頷いてしまいました。

「はい。約束ですね」

主人を守るのも従者の務めですから逆はちょっと違うかなぁとは思いますが、主人がそれで満足するなら良いのです。

「今日のお菓子は何でしょうね」

「いちごのけーきがいい!」

はぁ!今日も主人が可愛いです。


次の日から剣術の稽古を始めたガイ様。あれ、私もしやガイ様ムキムキフラグを立てたのでは。ムキムキ待って下さい!もうちょっと可愛いままでいましょうよ!

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