気付けば魔女の元にメイドが来る
気付いたら七歳になっていた。
早い物であっという間に一年が経過したとは、時間の流れを感じない私としては驚きである。
いや、部屋から出ないから時間間隔が狂ってるんだもん。
最近の私と言えば、殆どの魔法を習得したので未開拓な分野に挑戦している。
未開拓な分野と言うのは、私が過程をまったく想像できない魔法だ。
炎や氷は分子運動がうんたらかんたらと、何となく原理が分かっている魔法は比較的に習得しやすかった。
しかし、精神を操るとか魂を支配するとか精霊を使役するなんて、意味不明な物は習得し難かったので後回しにしていたのだ。
まぁ、そこにある物を操っているのだから不可能ではないので、習得できるけどね。
見えるか見えないかの違いである。
さて、今日の修行は記憶を再生する魔法だ。
記憶、私の前世の記憶、肉体が滅んだのに持ち越されたそれはどこに保存されていたのだろうか。
きっとそれは魂に染み付いていたんだと思う、強欲すぎて持ちこんじまったのかもしれない。
いや、私の前世はホムンクルスではないけどね。
さて、魂に何とか干渉して記憶を紐解けばうろ覚えな前世の記憶をはっきり思い出せると思うのだ。
それだけでなく、今まで暗記したいなと思った事を簡単に出来るはずだ。
十万三千冊の魔道書を丸暗記も夢ではないんだよ!
そしてなにより、漫画やラノベの内容を思い出せるのだ。
大筋は覚えていてもコマ全てを覚えている訳ではない。
ラノベなら文字全てを覚えている訳ではない。
しかし、もし前世の記憶を詳細に精細に思い出せたなら、投影魔術によって読み返すことが出来るようになるのだ。
「でも、魂に干渉するって危険かもな」
魂にダメージを与えてしまったら目も当てられない。
いや、もしかしたら七分割したら不死身になれるかもだけどさ。
別に闇の帝王とか目指してないし、安全な方法がいいよね。
「そうだ、ヘルマンとこの奴隷貰おう」
そうと決まれば早速移動しよう。
しかし、動くのは面倒だ。
と言う訳で動かないで移動する。
「結界よし、処理よし、設定よし、ほい!」
次男ヘルマンの部屋を魔法で覗き込み、部屋の真ん中の人がいない場所に結界を張り、結界内の物体を根こそぎ消滅させて、そして私は座標を移動した。
そう、転移魔法である。
「うわぁぁぁぁ!」
「あっ、気にせずどうぞ」
転移した私は自分に異常がないか確認していた。
結界を張って処理してたけど、万が一があるからね。
蠅と合体した人間の映画、メッチャ恐かったもんプルプル。
まぁ、転移による事故は無かったみたいである。
「お前どっから来たんだよ!魔法か、魔法なんだな!」
「ねぇ、要らない奴隷頂戴」
「聞けよ!兄貴に向かってなんだその態度は!」
「うるさいよ、粗末な物をぶら下げて威厳もないだろうに……それより奴隷」
ヘルマンは何か怒っていた。
まぁ、ベッドの上で自分よりも小さい女の子とやらしい事をしている最中だったから不機嫌なんだろう。
八歳で幼女にやらしいことをするなんて……クズだな最低だな女の敵だな。
しかし、蟲の中にツッコまれたくらい幼女の目に光がない。
ハイライトがないとか病んでるぜこれ、いつか刺されないかなコイツ。
「奴隷なんかいねぇよ……こないだ没収された」
「使えないな、じゃあその子頂戴よ」
「コイツは奴隷じゃねぇよ!俺が見つけて来た物だからな!」
えー、もしかして村から奪って来たって事かよ。
拉致監禁強姦とか八歳のやっていいことじゃないよ。
そんなんだから、一揆が起こるんだよ。
儂らは畑と水田だけで良いんじゃってな。
「募兵しまくってないのに一揆が起きるのは貴様のせいだな」
「お前は何を言ってるんだ?」
「ステータス低そうなお前は処断するね、私なら」
「お前は何を言ってるんだ!?」
しかし、せっかく来たのに無駄足なのはムカつくので私も拉致しよう。
貴様のようなゴミには勿体無いからな、幼女は大事にするべきだ。
前世の記憶が真っ赤に吠える、幼女を守れと轟き叫ぶ、イエスロリータノータッチ!
「と言う訳で貰うわ。私の部屋に来たら焼き殺すから」
「どういう訳だ!?あと、焼き殺すって!?」
「はいはい、転移転移」
幼女と転移で部屋に戻った私は幼女を綺麗にすることにした。
何て言うかイカ臭くて白い液体だらけなんだもん。
流石の私も引くわ、超引くわー。我が愚兄ながら最低である。
しかし私は心を鬼にして同じような酷い事をするのだ。
無抵抗な幼女を風呂場に連れ込み、お湯攻め。
充分お湯をかけた後は、人体実験も兼ねて自作の薬品を体中に塗りたくり魔法で泡だらけにする。
薬品で体中が汚染された事を確認し、再びお湯攻め。
お湯攻めの後は全身を魔法でくまなく熱風に晒す。
その後、私の食べなかった朝食を食わせる。
そして、とてもじゃないが飲めない苦い栄養剤を飲ませる。
もちろん、理論上効果はあるけど副作用があるか分からない奴だ。
その後は、全身に異常がないか魔法で調べる。
もう少しやろうと思ったが、今日は魔法を使い過ぎて眠くなったので幼女を放置した。
ぐったりとした私はベッドの中にダイブして、幼女を藁を敷いただけの質素な入れ物に放り込み 就寝した。
幼女を奪って三日が経過した。
私の調合した薬品を投与しまくった結果、だいぶ効いているようだ。
時たま痙攣してビクンビクンしてるけど魔法で治すから問題ない。
最近なんて、私を見つけてはもうやめてと声を漏らすようになった。
無反応だったのに、心が治った証拠だな。
覚悟しろよ!これからも実験は続けていくぜ。
いよいよ魂に関する魔法を使おうと、試したい魔法を書いた羊皮紙を持ってくる。
すると、幼女は逃げるタイミングを狙っていたのか窓に向かってダッシュしていた。
しかし窓に幼女が手をかけると、足元に魔法が纏わり付いて捕まえてしまう。
防犯用だったのだが、内側から外に出ようとしても発動するのか、直しておこう。
幼女は捕まり、頭に電流が流れ気絶してしまい、逃亡を阻止された。
しかし逃亡者にはお仕置きが必要だ。
私は魔法の見えない腕で幼女を掴み、頭に水をぶっかけて無理矢理起こす。
何でこんなことするのと泣き喚いているが止めない。
これは幼女の為だからだ。
貴方の為だから、という言葉を魔法で録音して一週間耳元で再生し続けたら、何故か発狂してしまった。
まぁ、精神安定の魔法の検証に使ったら元に戻ったので大丈夫である。
頭を掴んでいよいよ魔法を試していく。
私の魔法に関する記憶をインストールしてみたり、そこら辺のゴーストの戦闘経験を追体験させたり、精霊を身体の中に詰め込んだり、悪魔や天使の肉体を植え付けたり色々試してみた。
途中、最初の目的である記憶を思い出す魔法を試したら何故かリンクしてしまい、実の兄貴に犯される経験をして死にたくなった。
余程、辛かったのだろう。
私は凄い勢いで魔法を解除した。
この時、偶然魔法を無効化する魔法を習得する。
幼女を拉致して半年、実験はすべて終了した。
試したいことが無くなったのである。
と言う訳で解放してやることにしたのだが……
「メイドになりました」
「なんで!?」
「今更帰るとかダルい」
何故か私のメイドになった。