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内政を魔女は解説する

そして、月日は流れた。

といっても数週間ほどだ。

その間、何をしていたかと言うと教師の真似事をして幼女達に勉強を教えていたりしていた。

何か知らないが、何人か外の世界に行きたいとのことで勉強を教えてくれと言われたからだ。

悲しいが、私は自主性を重んじるのである。

反対して泣かれたりしたら、私も悲しい。

なので、ピンチになってから助けてぐへへ、いい感じになる予定である。


朝、ルミーナに起こされて起床する。

私の周りで幼女達がせっせと動き回り、身支度を整える。

これでも貴族、自分で着替えたりしないのだ。

まぁ、魔法でやればいいんだけどね。


その後、幼女達が作ったご飯を食べる。

あんまり美味しくないが、実家のプロと比べてはいけない。

料理は愛情である。


そしてお昼、勉強を教える準備をする。

準備をしていると、手伝いのルミーナがそういえばと思い出したように言う。


「今気付いたんですけど、ここって外から隔離してるじゃないですか」

「そうだな」

「じゃあ、外の様子が分からないですよね」


いやいや、そんな馬鹿な。

定期的に動物が手紙を運んで、あっダメだ死霊に襲われる。

外部と連絡できないわ。


「まぁ、何とかなるさ」

「外で何が起きてるか分からないじゃないですか」

「でも、私困らないしな」


自給自足、部屋でなく土地に引き篭もる隠遁生活、賢者から隠者にジョブチェンジでもしたかな。

実際問題、別に不便じゃないしな。寧ろ、私が管理しているだけあって住みやすい。

魔法で舗装された道路、魔法で管理された畑、魔法で操作された天候、魔法で浄化された排泄物。

そこら辺に排泄物が落ちていて、薄汚い領民が病気を拗らせ、収穫も不安定で、台風などの災害がたまに起きる実家のほうが住み難い気がする。


「まぁ、ローグがそのうち来るだろ」

「前より結界が強化されてるのに?」

「馬鹿、お前アイツの執念気持ち悪いからな。無理でも諦めずになんとかしてくるからな」


そして奴が結界を突破したら、どうやって突破したか聞き出しヴァージョンアップする。

これによっていつしか最強の防御結界が出来るはずなのだ。

まぁ、ちょっと綻びでも作ってやるか。外の事とか幼女達のために聞きたいしな。

別にアイツのためじゃなくて、幼女のためだ、うん。


「あっ、ちょっと何やってるんですか」

「あれだよ、お前、ほら、結界の強度を下げて魔力消費を抑えるとかそんなだよ」

「そんな取って付けた言い訳して、本当は旦那様のこと好きなんじゃないですか?」

「ば、馬鹿!男を好きになるわけないだろ、それより行くぞ!ほら、時間だぞ」


まったくルミーナは頓珍漢なことを言いやがる。

因みに、頓珍漢とは鍛冶士が互いに叩くときの音が噛み合わないときのことを表しているそうである。

下手な奴はトン、チン、カン、と変な音がするらしい。これ、ドワーフから聞いたからマジである。


屋敷を魔法で浮いた状態で移動して、私が作った教室に入る。

講堂のようなそれは前世の知識を元に作った大学の大教室みたいな場所である。

そんな場所にみんな行くからという理由でほぼ全員の子供達が席に座って待っていた。

因みに来てない奴は外でサッカーしてる。玉はアルマジロみたいなモンスターだけどな。

サッカーしようぜ、玉はお前な!という扱いのアルマジロみたいなモンスター、ボールは友達というし強く生きろ。


「よーし、今日はエルフちゃん達の番なので農業の話をします。まず、土について」

「はい、はい、はい!」

「えっと、どうぞ」

「すっぱい土としょっぱい土があります!」


私の解説よりも先に手を上げて答えたのは一人のドワーフだった。

見た目は幼女、実年齢は四十以上、その名もドワーフである。

エターナルロリータな種族なのは分かるけど、混ざっても違和感ないな。

おっと、ちゃんと答えてあげなくてはな。


「大体あってますよ、土には酸性とアルカリ性の二種類があります。まぁ、中性もあるけど置いといて……このことについてはおよそ百年前の錬金術師が証明しています。当時は雑草の植生や味などで判断していましたが、今は魔道具で計測できるようになってます」

「先生、私達の畑はどっちなんですか」


そう問いかけてきたのは畑担当のエルフちゃんだ。

ドワーフ達が鍛冶の為に土に慣れ親しんでるイメージがあるが、実はエルフも同じくらい土に慣れ親しんでる。

何故なら、彼らは昔から農業をしている種族だからである。

しかし、彼らは植物との対話が出来る為にこういった出来ない種族である人間の知識を知らない。

人間は納得させる為に論理的な証明をするが、エルフだと会話できるからみんな何となくで分かってしまうのだ。

だから、物事の因果関係が畑に関することに存在していると凄い食いついて来る。


「いい質問です。この地域は基本的に酸性になります、海のほうはアルカリ性らしいですけどね。ここでやってはいけないことは内陸部で収穫量が落ちたときに灰を撒く行為を、海のほうではしてはいけないということです」

「アルカリ性というのが増えるからですか」

「そうです。土壌改良はそれぞれの土地にあったものがあり、野菜なども土地ごとに育ちやすい環境があるのです。次に肥料です」


続いて肥料の話、内政物でよく出てくる人糞を使った物についての話だ。

私は空中に魔法で文字を描きながら、解説を続ける。


「肥料といえば、窒素、リン、カリウムのことですね。この三要素のバランスが畑に影響しており、どの肥料を入れるかは土地ごとに違います。この三要素については、またまた百年前の錬金術士が原子論を発表していますね。これは拡大魔法による視認で証明されていますが、実際に見れば分かる通り物は小さな丸がくっついて出来ているのです。脱線しましたが、その丸の種類にこの三つが含まれるんです」

「先生、肥料なら何でも一緒じゃないんですか」


そう質問したのは狩猟民族である獣人の子だ。

彼らは狩りや収穫をする文化の歴史は長くても、放牧や農耕の歴史は浅い。

故に、肥料を撒けばどれも一緒と考えているのだろう。


「肥料なら何でも一緒ではありません。土地ごとに合う合わないがあるからです。また、合っていたとしても量なども考えないといけません。牛糞や鶏糞、人糞などを使う場合もあります。しかし、これらを使う際は発酵過程が必要です。それに寄生虫が発生するリスクを考えると、オススメはできません。私達の土地で使うとなれば人糞などは薄めて用いますが、酸性寄りになるので収穫量は落ちていくでしょう」

「なるほど、わかんねーな!」

「わかんないかー」


まぁ難しいかなとは思ったけど、見た目と年齢が一致しない場合が多いからね。

英才教育って奴だよ、多分。


「最後に農法について、ノーフォーク農法と呼ばれる物があります。私達のやっていることは冬穀用・夏穀用・休閑地の3種類のローテーションでの方法、そのノーフォークは冬穀→根菜類→夏穀→牧草とローテーションを組んでの方法、収穫量は今より落ちます」

「えー、意味ないじゃん!」

「そうでもありません。その代わり、家畜達を育てることが出来るからです。収穫量が減る代わりにお肉が手に入るんですね」


まぁ、全部魔法で急激に育てたり出来るから気にしなくて良かったりもするけどね。



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