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自然を操り魔女は魔王軍を追い返す

城のバルコニーから身を投げ出す。

私の着ているゴスロリとローブが魔法による翼のように広がり、謎の浮力を発生させホバリングを可能とする。

ふはは、今日からキャスターと呼んでも良くってよ。

さて、移動に数時間掛かるわけだがその間に準備をする。

後方に魔法陣を投影していく。

一個投影する度に、また新しいのを投影していく。

魔法陣の効果は雷の槍を飛ばすものだ。


前線が見えてくると、小さい砦を中心に人が戦っている。

四角い列が、縦横数個集まっている。

おぉ、陣形だな。モンスターの癖に陣形を使っているのか。

これは乱戦のせいか責めにくいな。


「んっ?おっと!?」


ヒュッと私の横を極太の矢が掠める。

なんだよおい、竜狩りか?竜狩りの矢か?

どうやら狙ったのは獣臭い服の男だった。

なんだ、あの継ぎ接ぎだらけのモンスターの皮で作った服を着ているのは?

あれか、冒険者か!ハンターの癖にフレンドリィファイアーか!


「やられたらやり返す、連帯責任だ」


要するに避けられない奴が悪いのだろう。

二射目を行なおうとしてるってことはそういうことだろ!


「ガンド!おら、ガンド!ガンドだガンド!」


指から暗闇を束ねたような呪いの弾丸をハンターの野郎にぶつける。

ざまぁないね。これで腹痛に悩まされることだろう。


「拡声発動」

『了解しました』

「皆の者、撤退しなさい。これから一気に殲滅する」

『皆の者、撤退しなさい。これから一気に殲滅する』


戦場に、私の声が届き渡る。

剣戟の音が一瞬だけ止み、上空からは撤退する動きが見て取れる。

撤退戦に移行しているのか、動きは遅めだ。

すぐにやめられる物でもないというところか。


「ギャギャギャギャ!」

「あぁ~まぁこれ見よがしだもんな」


上空の見渡す場所、全てに魔法陣が投影されていたら人間だけでなくモンスターも気付くのは当たり前。

結果、何かされる前にと空中を飛ぶモンスターを差し向けられた。

痩せ細った骨と皮の人のような外見、黒い肌にコウモリのような翼、三本指で頭部はブロッコリーみたいに肥大化している。

低級の悪魔、もしくはガーゴイルである。

見た目が生物っぽいので悪魔が妥当な線だろう。


「言語も喋れず人に化けれない低級に私が倒せると思ってるのかしら?」

「ギャギャギャ!ギャース!」

「ギャギャギャ!ギャース!」

「ギャギャギャ!ギャース!」

「ギャギャギャ!ギャース!」

「ギャギャギャ!ギャース!」


一体だけだと思ったら、遠くからまた一体、また一体と集まってきやがった。

さらに後方にはカラスの群れのように敵影が見える。


「か、数だけ揃えたってダメだかんな!本当だかんなー!」

『警告、雷属性の攻撃が接近、防壁展開します』

「うわっ!ちょ、槍は飛ばす物じゃない!てか、先にやんなし!」


それは一瞬だった。

まるで、目の前に白い壁が出来たかと思うほどに大量の雷の槍が投擲されたのだ。

先にネタを潰されたようでムカつくが、致し方ない。

私も対抗して、雷の槍を発射する。

ただし、私のほうがレベルが上なので攻撃の速度が違う。

魔法陣から飛び出すそれは直線的な光の束。

低級悪魔どもめ、魔法のレベルを上げてから出直せ。


「レールガンだ!」


弾はないけど、イメージ的にはそんな感じ。

別にコインを飛ばしている訳ではないが、近い感じで光は雷の槍を飲み込んで空の一角を黒く染める悪魔達をなぎ払う。

見よ、弾幕は力だ!


「チッ、無駄な出費だ。節約しなくては……」


眼下へと攻撃する魔力分を先ほど消費してしまった私は、地面を利用することにする。

無から有を生む行為より、元からあるものを利用したほうが魔力消費が抑えられるからだ。

魔力が切れて墜落なんてことにならないために、砦のほうへと降りていく。

今度は私に攻撃するような馬鹿はいない。


私が着地する頃には、着地点の周りをタワーシールドで守る兵士達の姿があった。

おいおい、砦のほうに侵入されてるのかよ。

でも、なんか出迎えてもらうとかちょっと特別扱いで照れる。


「魔女だ!魔女殿が来てくれたぞ!」

「援軍に来た、指揮官は誰か!」

「ハッ、自分は魔王討伐軍ブレタ少尉であります!援軍、感謝いたします」

「フン、別に貴様らを助けた訳ではない」

「ハッ、それでもデビル達からの投下攻撃を阻止して頂きありがとうございます」

「う、うん……」


あっ、そうなんだ。

低級悪魔達の攻撃は元々砦にするつもりだったのか。

門は閉じられてるのに内側にモンスターがいるってことから、もしかしたらモンスターを投下した後だったのかな。

魔王軍の癖にパラシュート部隊がいるのかよ、そりゃ勝てないわ。


「今から戦線を押し上げます。味方は大丈夫ですか」

「大部分の味方は砦に帰還。残りは殿であります。犠牲はやむ得ないかと」

「分かりました。一瞬で終わらせます」


いつの間にか引かせてたみたいなので遠慮なくやらしてもらう。

イメージするのは地面に巨大な手を突っ込んでひっぺ返すイメージ。

プレートを捲るイメージである。


「大隆起!」


爆音と同時に砦の前に一線の亀裂が走る。

すると、亀裂の端が独りでに動き出し魔王軍の方へと捲れるように曲がっていく。

まるで津波のように、巨大な岩が敵へと押し寄せる。


「地震!」


この世界じゃ経験したこと無いが、前世の記憶から地面が揺れる様を思い出す。

すると、地面が左右に揺れて逃げ出すモンスター達の動きを遅くさせる。


「液状化!」


さらに、地面の下に水圧を掛けることで液状化する。

これは砂粒子の間に水が入ることで、圧力に対して収縮がとか専門的な説明あるのだが分かりやすくいうと、砂の中に水をぶち込むと、ギュッとされて地盤が凹むのだ。

地面の砂を極小サイズに変更して砂地盤にすることがコツである。

私の前世の記憶だが、忘れかけてるのでダイレイタンシーとか過剰間隙水圧とか分からない。

取り合えず、異世界で理系の知識が行かせたって事である。


「な、何が起きているのでしょうか……」

「地面が泥になって足を取られてるだけだよ」

「すごい、こんなことが出来るなんて」


私がやったことと言えば、地面を剥がして揺らして砂に変えて水浸しにしただけなのだがドヤ顔していく。

これで、大量の雑魚は始末したのでしばらくは侵攻されないだろう。


「どうやって攻めましょうか」

「あっ……」


砦の前面にちょっとした土砂の山脈が出来てしまったけどバリケードみたいな物だよ。

だったら、掘ればいいだろ!

もう、ちょっとしか残ってないので誰かやってください。


「諸君らの検討を祈る!」

「魔女殿、どちらに!魔女殿!」


そそくさ逃げた私は、砦の中に穴を掘って温泉を湧かせた後に入浴してから一番偉い人の部屋だろうところを強奪して寝るのだった。

ちなみに、覗こうとしたり夜這いしようとしたり部屋を返せとか言った人は結界のせいで何も出来なかったのであった。

それにしても、いい素材使ってるな。戦場でベッドとかけしからんよ。


「わー、ちょっと加齢臭?浄化、浄化、浄化!」

「…………」

「あれ、静かになった?」


まぁいいや、私は死ぬほど疲れてる寝かしてくれ。

翌朝、レールガンをブッパしてから城に帰るのだった。


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