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入国して魔女は誤解される

もう十五歳になった。

色々あったが、今は快適な数年間を過ごしている。

幼女達の成長も凄い物で、あっという間に大きくなる。

獣人は人より成長が早く、ドワーフは変わらず、エルフは遅い。

種族ごとに成長率が違うのは中々面白い。


この数年間で、大小様々な国が落ちた。

魔王軍がどんどん攻めてきているのだ。

西から東へ、お前はアレクサンドロス3世かよ。

しかしパソコンは各国に輸出され、人類の連携は強固な物となっていた。

魔王との戦いの最中に情報戦を展開するとか、内輪揉めをしているけどな。

足の引っ張り合い、人間らしいね。


実験の傍ら、ネットで情報を得る。

誰が考えたのかいつの間にかSNSやら動画サイトやら色々発展していたので娯楽が無い世界では唯一の楽しみとなっている。

最近なんか魔王が襲撃予告とかするし、劇場型の愉快犯かもしれない。

魔王がスレ立てする時代がやってきたか。


「セレス様、クローン個体17号の心拍数が上昇」

「失敗か、17以降は?確か20は増産したよね」

「19号だけ安定。移植する?」


私がネットをやっている傍らではルミーナが私と瓜二つの存在から眼球を摘出している。

魔法使いと言えば、魔眼。

人工的な魔眼を考えてみた。

私の思考が乱された時、魔法は使えなくなる。

なので自立思考するもう一つの脳を身体に埋め込むことを考えた。


「転移魔法の応用で……痛っ、よし接続完了。アクセス」

『音声認証によりマスターと同一個体と認識、おはようございますセレスティーナ様』

「声は同じだが、別個体なんだがまぁそんなもんか。命令、専守防衛に努めること」

『了解しました』


よし、これで精神系の魔法を喰らってレジスト失敗しても問題はなさそうだ。

どうしてこんなことをしているかというと、実は久しぶりに外を出るのだ。

巧妙な罠付きでネットに募集広告がバラ撒かれた。

最初は沢山の魔法陣、魔法陣に精通している奴なら抜けている文字に気付く。

繋ぎ合わせた言葉は指示となっており、従うと今度は発狂する呪いのページ。

呪いを無効化して次の指示を見つけると、今度は抜けているところを保管する問題。

まぁ、こう言った様々な魔法に関する問題を解いていくと最終的にあるページに行き着く。

勇者召喚計画、救世主を使って魔王を倒す計画だ。


知らなかったが、いつの間にか連合軍なんて物が出来ており、そこが優秀な魔法使いを募集しているらしい。

ウチの国は別に連合軍に参加してないらしいが、まぁ王様に聞いてみたら構わないとのことらしい。

ただ、ウチの国に被害が出そうなら未然に止めてきてとのこと。

何故か王様が下手に出ていたんだけど、アレ私恐れられている?

まぁ、許可は貰ったので出かけようということで準備していたのだ。


「それじゃあ、みんな元気にしているんだよ」

「行きますよセレス様」


ルミーナはいつもどおりメイド服、背中には天使と悪魔の羽みたいな物が付いている。

私はヒラヒラの赤いゴスロリに魔女っ娘が使うデカイトンガリ帽子、空は寒いからローブを付けて、別にいらないけど大きな銀の杖を手に持っている。

いや、一応女の子だからね可愛い服装ぐらいするよ。

ちなみにに全部、私監修のゴスロリである。この世界にはゴスロリ服はないからね、ドレスはあるけど。

ゴスロリとドレスの違いはスカートの長さくらいなんだけどね、この世界じゃ破廉恥なドレスって認識らしいよ。

時代が私に追いつかない。


「魔法陣、浮かんで飛んで、私を運ぶ」


銀の杖を何度か地面に軽く叩きつける。

すると、私の足元に花弁が広がる如く魔法陣が出来上がる。

そして、それはゆっくりと私を乗せて空へと上昇した。

これで、下からスカートの中は覗けない。

後は立っているだけで、移動は出来る。


「では行きましょうか」


ルミーナは天使と悪魔に似た翼を浮かして鳥のように羽ばたきながら私に付いて来る。

さぁ、遠い国まで空の旅行だ。



数時間後、何故か私達は空中魔法陣の上でお茶を飲んでいた。

異空間から用意したテーブルとソファーでまったりしている。

いや、予定より時間掛かりすぎた。

試算だと六時間ぐらいだったんだが、意外と長かった。


「まぁ、普通半年以上は掛かるから速いほうか」

「セレス様、おかわり」

「あのさぁ、何で私がお前に注いでる訳?」


いや、まぁ淹れてやるけどさ。

さて、私達の目的地となっているのは魔王軍にもうすぐ攻められると割りと前線近めの聖教国インゴールブル。

宗教と政治が結びついた国で、要するに教皇がいてその下に王様がいると思えばいい。

特徴としては、神の奇跡とか大歓迎、魔法は異端なので死ねな国。

そんな国がいよいよになって頼る相手が魔女とは皮肉だね。

ちなみに、神の奇跡とか言ってるけど、アレも魔法である。

まぁ、そこら辺は宗教を始めた昔の教皇が奇跡と魔法を分類して勝手に考えたんだと思う。

回復魔法と死霊魔法なら、善と悪、光と闇みたいなイメージ付きそうだしね。昔の教皇中二病かよ。


「見えてきた」


巨大な山脈と巨大な河川に挟まれる形で城塞都市があった。

小国だからか、建物には宗教色が目立ちその影響力が窺える。

まぁ、国教ってだけあるのか外側は赤い色、真ん中が青い色、中心が白い色と屋根の色が綺麗に分けられている。

中心にある白亜の城、そこが私達の目的地だ。


中世、この世界はそれに近いこともあって民主主義とかない。

一応元老院っていうのもあるけど、アレは貴族ばっかりだから民主主義って何だって感じ。

専制君主だったり、絶対王政だったり、封建制国家だったり、帝国主義だったり、色んな国があるけど要は上だけが違うと覚えていればいい。

この世界はたまに神様が現れて、それが嘘かどうか証明できないから王権神授説も否定できなくてややこしかったりするからね。


でもってこの時代、この世界、宗教と政治は仲良し。

宗教分離とかないからね、どこの国も国教がある。

面白いことに色に拘ったりもして、平民はこの色禁止、白とか赤は王族だけなんだからね。

とか俺様ルールがあったりする。

長さも貴族は長い服、平民は動きやすい短い服とか。

後は一生に何回も着れない服は高級品、服の多さはステータスみたいな価値観もある。

恐らく、この町の色はそういう文化で階級ごとに色を分けたりしてるのかも。


もしユニ○ロが異世界転移してきたら焼き討ち確定である。

でも、その代わりファッション界に革命が起きるかもね。

ちなみに私も服の色で王様にお願いとかした。

単色とか純粋で鮮やかな色は王様の許可がないと使えないのよ、ウチの国。

っていうか、本当そう考えると私の国での立ち居地ってなんだろう。

公爵より偉いのか?謎過ぎる。

ちなみに第三王子には月一で宿題出してるから、役職は王族教育係だよ。


ちょうどよく、バルコニーがあったので其処に降り立つ。

さて、一応連絡しといたから大丈夫だと思うけどどうかな?

分かりやすく、見えるように空から入ってきたんだけど。

と、思っていたら迎えにでも来たのか足音が沢山聞こえてきた。

そして、その足音は部屋の扉の前で止まると、一気に扉が開け放たれた。

私の視線の先、そこにいるのは武器を持った兵士の方々。

なるほど、要人警護かVIP待遇じゃないか。


「出迎えご苦労」

「囲め!侵入者を捕らえよ!」

「はっ?」


えっ、どういうこと。










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