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引き篭もって魔女は幽体離脱する

わーい、ここは天国じゃーい!

念願のマイホーム、夢の奴隷達、生活はちょっと不便だけど思い残すことはない。


「あぁ、そこそこ~」

「うんしょ、うんしょ!」


子供のエルフが私の背中に騎乗して一生懸命背中を押す。

プニプニでちっちゃくて可愛いな、えへへ。


「なんという、見せられないよな顔」

「うるさいわよ、あぁ~」


良いんだよ、私が自宅で何しようとな。

私の家では基本的に奴隷は放し飼いにしている。

と言うのも、魔法で脳を弄って奴隷産まれで帰る家がないという記憶を植え付けたからだ。

行く宛てないし、ここにいれば普通の貴族より厚待遇、たぶん逃げない。


ちゃんと私は仕事を与えてるし、彼女達も生きている実感があるはずだ。

例えばドワーフ達はお酒作り、エルフ達は農業、獣人達は畜産など自主的にやりたいことをやらせている。


「そういえばセレス様、面会予約がいくつか」

「パス」

「買い出し行ってきまーす」

「はーい、気を付けて行くのよ~」


来るならテメェで来いよと言ったが、実際に来られても困る。

スローライフ、これからは内政だけしていくつもりだからだ。

そう、国取りは部下に委任して内政だけする。

そういうことがしたいんだ。


「まず、収穫量が減ったとかそういう話を村長がしたかったらしいですよ」

「どこのだよ、領地に村長多過ぎてわかんねーよ。村長でどこの村か分かるか!」


ルミーナと私が話していると遊んでいた奴隷の一人が駆け寄ってくる。


「セレス様おこなの?いいこいいこする?」

「怒ってないよ、ありがとうね~」


はぁ、私は幼女に頭ナデナデされて穏やかに生きていくんだ。

素人に内政チート出来るか、小説読んでたけどノーフォークとかやり方覚えてないし。

火薬とか魔法で十分だし、肥料だって土地ごとに調整しないといけないんだぞ。

私はどこぞの歌って耕せるアイドルじゃないんだ、異世界を開拓なんて出来ない。


「それが畑の様子みたら、うるさくて」

「アレはエルフが植物と喋れるから出来るの、やりたきゃ喋れよ」

「んな無茶な……」


税金取ってないんだから大丈夫だろ。

税金取ってた頃の方がキツイだろうが。

どうせ、税金取られないし働かないぞとかそんな感じだったんだろ。

知らねーよ、都会から地方に来たセカンドライフ希望者かよ。

農業なめんなー!


「あとはアルトリウス様から交易したいとか、何でも魔道具を売ってくれと」

「ぼったくっといて」

「最後にカーマイン様が仕官したいと」

「冒険者になるって家飛び出してから身内に頼んなよな」


コネとかないです。

幼女になって出直しな。


「もうお知らせすることはありません。強いて言えば魔王が誕生したとか」

「ふーん、あるある」


そっか、魔王が誕生したのか……


「お前、大事件じゃないか!」

「家から出ないので安全ですよ」

「そっかならいいか」


実害がないなら別にいい気もしてきた。

魔王の近くに住む地域の人は死活問題だろうけど、私関係ないじゃん。

まぁ、どんな感じかはネットを通して調べるから良いけどね。


「クソが、ウイルスなんか作った奴がいるな。ウチの国の機密情報漏れてないだろうな、私に迷惑掛からなければいいが」

「スーパーハカーの仕業ですね」

「ハカーじゃねぇよ、ハッカーだろ常考」


大規模な軍隊同士の衝突があったとな。

それで人類側が劣勢か。

テレビニュースより先にネット記事が出来たことに文明の発展を感じるな。

まぁ、オーク一人倒すのも大人数人が必要なのだ。

それが束になって攻めてきたら、そりゃ勝てないよ。

モンスターにキングが現れると対処できないのと一緒だ。


魔王って言うのも全種族に対応したキングって事だな。

それにしても、宣戦布告してくるとは好戦的だな。

モンスターに人権をとか言ってるの?なにそれウケる。

まぁ、世の中のことは放置で良いだろ。


「そんなことより実験だ」


さて、本日の実験は幽体離脱である。

この間、死霊魔術に苦戦したからそっちの分野を開拓しようと思ったのだ。

魔法使いと言えば精神体で他の天体に行くとか基本だしね。


「じゃよろしく」

「分かった」


ベッドに横になり、意識を集中する。

身体が浮いていくイメージ、あっ本当に浮いてる。

これじゃないです、中身だけです。

あっ、来ました。あぁ、いいすね~。


気付けば、ベッドで眠る私の姿があった。

あぁ、どうやら上手く逝ったみたいだ。


「よし、顔に卑猥な単語落書きしよう」

『おいやめろ、あれ?あれれ?』


反論しながらルミーナの頭を叩こうとするが、私の手はルミーナの頭を透過するだけで何も起きない。

どうやら精神体では物理干渉できないようである。

あぁ、なんて恥ずかしいことを畜生。

もう諦めて外の様子でも見てみることにする。


フワフワと思っただけで移動できるので、そのまま壁を透過して外を見る。

外には私の買った幼女奴隷達が好き勝手動いていた。

庭先にいるエルフ達は何やら集まって、野菜を取り囲んでいる。


「そうなの?」

『そうなのよ、最近窒素が足りてないって言うか。肌のハリっていうか、落ちてきてる感じ?』

「じゃあ、肥料追加しとくね」


き、聞こえる。

野菜の声が聞こえるぞ、意外とハスキーボイスなんだな。

精神体だから、空気の振動じゃなくて念が声として伝わっているとか?

まぁ良く分からんけど、あの大根オネェみたいな感じだったのは分かった。

よし、次行こう。


次は、ドワーフ達の研究所である。

因みにドワーフの奴隷達は子供だと思ったら、みんな成人していた。

ドワーフの女は永遠の幼女だったらしい、女でもヒゲが生えるのかと思ってた。

男はヒゲもじゃだが、女は幼女、そういう種族なのでよく人攫い子供と間違えられるらしい。

そんな彼女達がしていることはお酒造りである。


「出来たです」

「豆から作った?」

「これはなんとも」

「没だ」

「没とは失敗と言うことだ」


真剣な顔で幼女達がワイングラスを傾けている。

中には透明な液体が入っているが、豆ってそれ私がみんなで食べなって渡したえだ豆。

つまみにして食べると思ったら、酒にしてるってどういうことよ。

すごいね、枝豆ってお酒になるんだね。


最後は牧場、獣人達が家畜を追いかけていた以上。

凄いな、ずっと追っかけてるよ。

私が見始めて結構な時間が経つけど飽きないのかな。

寧ろ家畜のほうが息切れして倒れてるんだけど、ストレス大丈夫?


「立てよ!いい赤身になれないぞ、霜降りになりたいのか!」

「モォォォォ!」

「行ける行ける、諦めるな立て!立ち上がれ、夢見る明日へ!」


いや、運動させないで霜降りにしようよ。

筋肉質な肉とか固いだけだよ。

もう見るのなくなったな、村の方まで行ってみようかな。


「戦争が始まるそうだぞ」

「そうなのか?なんも聞いてねぇぞ」

「隣の領地じゃ強制徴兵されたそうだ」

「そうか、まぁウチは関係ないだろ」


村の方に行くと若者達が集まって何やら話し合いをしていた。

お前ら働けよ、なんでお前らは雑談していて子供が働いてるんだよ。

良く見たら、農奴のようである。

可愛そうに、生まれる時代を間違えたな。農奴じゃ普通の暮らしは出来ない。

農奴から平民になることは滅多に出来ないし、それを簡単に成し遂げられる制度がこの時代にはない。

いや、そもそも農奴と言う制度自体がこの時代しかないのか。


まぁ色々、家から外の様子が見れて楽しかった。

次は冥界とか天界、あとは死後の世界なんかも覗いてみよう。


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