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多分次か次の次で第1章が終わりますが、第1章が投稿完了しだい改訂に入ります。

 NORNに乗り込み、誰も死なせたくない為に飛び立つ奏太。


NORNに乗り込み、数分後奏太は自衛隊の交戦位置を見つける。

自衛隊の戦車も多数破壊され、残るは数両となっていた。

ガレキから出た炎で辺りが照らされ、幸か不幸か夜間スコープを使用しなくても戦闘可能な状態となっていた

「決して諦めるなよ! 俺たちがいなくなったら住民たちが犠牲になる。 それだけはさせるな!! 」

隊長が戦車の出入口に飛び出て、部下たちに号令する。

「「了解!! 」」

「隊長さん! 助けに来ました! 」

奏太がNORN内蔵の通信装置を外部にも聞こえるようにして呼びかける。

「坊主! また何の用で…。」

その時戦車の辺りが暗くなる。

夜であるのに、暗くなる。それと同時にNORNのバーニア音が大きくなっていく。

一体何が起きたんだろうか。

そして空を見上げると、黒く塗装されたNORNがいることに気付く。

「…ハハッ… なんてものを持ってきたんだ…。」

「よし、坊主奴らを…。」

そう言いかけようとしたところ、ふと思い直す。

(俺たちは女子供が戦争で亡くならないように…、子供が戦場に立つことがないように…、今まで戦ってきたのではないか? 俺たちにも大事な人がいるのと同じように、

坊主にだって大事な親友や家族がいる。 それに人を殺すということはしてしまった最後、一生悩み続けてしまう。 子供の頃からそんな経験をさせたくない…。

しかし坊主が乗っているNORNを使えば俺たちが生き残る可能性だって高まる…。その助けが無ければ俺たちはおそらく死んでしまうだろう。だが…だが…!)

「隊長さん! どうすればいいですか!?」

(…どっちにしろあの巨人機をなんとかしないとこの戦争は終わらない。この戦争を終わらせるにはあれを量産して対抗しないことには…。ならば…この命は死兵と化そう…。

…坊主たちにも辛いことをさせてしまうな…。すまない…。俺にできるのはこれしかないんだ…。)

そして何かを覚悟した目をして、奏太たちに顔を向ける。

「…坊主…、お前は逃げろ…。」

「なんでです!? 俺にだってまだ…!」

「いいから聞け!! 」

奏太たちを威圧するように、隊長は言う。

「坊主が乗っているものは恐らくこの戦争を終わらせる鍵となるものだ。今のところそれを鹵獲したという情報は上がってない。一機しかない大切なものなんだ。

だからこそ、お前はそれに乗って逃げろ! いつの日かこの国を取り戻し…この戦争を終わらせる為に…。そのために、それを守り抜くんだ。」

「…隊長さん…。」

「俺たちが殿となる。だから坊主は先に逃げろ…。 坊主だってお前の周りにいる親友を守るためにその力を手に入れようとした。そうだろう? 」

「そうですが…、隊長さんだって死ぬかも知れないんですよ? 」

「これが大人の役目だ。坊主たちが先に行け。」

そして追いついてきた友理奈たちにも視線を向ける。

「お前たちも逃げろ! あれに乗ってれば逃げるのだって簡単だろう。 奏太の乗っている奴で港まで連れて行ってもらえ…。」

「でも隊長さんは…。」

友理奈が不安そうな顔をして、尋ねる。

「必ず後で行くから…坊主たちは先に行ってくれ…。」

「…必ずですよ…? 必ず後で来てくださいよ…?」

「ああ…、必ずだ…。」

「では…、先に行ってます。」

友理奈たちが奏太の乗るNORNの元に集まる。

そこで奏太たちから視線を離し、奏太のそばにいた越前をこっそり呼び寄せる。

そして顔を近づけ、奏太たちに聞かれないようにx小さい声で話す。

「越前、お前も付いて行け。ほかのやつに説明する奴も必要だろう…。」

「しかし…、自分だけが逃げるわけには行きません!」

越前は自分だけ逃げるようにここから離れることに不満を感じていた。

「お前はこの部隊の中で一番若い。これは罰ゲームだ。おまえはこの祭りに参加できない。俺たちが先に参加しているからな。」

「戦場を勝手に離れやがって! もう戻ってくんな!!」

「そうだ、そうだ!」

戦車に乗っていた自衛隊の隊員たちの声が戦車の中からする。。

彼らは笑いながら、越前をここから離そうとしていた。

「まさかあの時、それも見込んで…。」

越前はふと奏太の後を追いかけるのに、どうして自分が追いかけることになったのか。その時、全てを察した。

「というわけで部隊員一致で罰ゲームだ。観念するんだな。」

「こんな…こんな…罰ゲームなんてずるいですよ…。」

越前は顔を背け、観念したように言う。目元には若干ではあるが涙が浮かんでいた。

「越前さん? どうしたんですか? 」

「…いや、なんでもないんだ…。」

「じゃあ、行きましょう。 」

「…ああ、そうかもな…。後は…頼んだぞ…。」

「…隊長! 今までありがとうございました!」

「…ああ。 …もう時間だ。越前も離脱しろ。」

そしてNORNが再び上昇を始め、再び友理奈たちと越前も線路を走る。

隊長は奏太たちの背中が見えなくなるまで見送る。

NORNに乗った奏太を見送り、再び10式の中に戻る。

中には、戦場にありながらも、安心した隊員たちがいた。


「…すまんな。勝手にあんなことをしちまって…。」

隊長が再び戦車の中にいる隊員たちに話しかける。

「…私たちも覚悟しています。それに…、越前が生きていればなんとでもなります…。俺たちがここで戦ったことを奴が語り継いでくれれば…、それだけでいいです。」

「それに…、守らないといけないものも増えちまった。皆に迷惑をかけるな…。」

「ここまで来たらやることは変わりません! あの巨人機をぶっ潰すことだけです! 」

「…ははっ…、そうだな。では…、あの巨人機をぶっ潰してやろうじゃないか! 仲間たちの借りも返さないといけないしな!」

戦車の中に隊員たちの笑い声が響く。その中では戦場にいるということを忘れさせてくれた。

「これからは祭りの時間だ! あの巨人機にたっぷりと鉛玉をあびせようじゃないか! 」

「了解!!」

(俺たちは恐らくここで死ぬ。坊主たちにも、迷惑を掛けちまうな…。でも、俺たちにできるのはここまでだ。だから必ず生きてくれよ、お前ら…。)


隊長は再び搭乗口に手を掛け、正面にいるNORNの小隊に目を向ける。

今まで少年たちがいることに気付き、攻撃を控えていたが、自衛隊しかいなくなった状態を確認して、再び戦闘態勢を取る。

そしてNORNは地上に足を下ろし、120mm対戦車砲を構えていた。

NORN側の小隊長が命令したのか、小隊の内の2機が分散して奏太をおいかけようとするが、120mm砲を撃ち、NORNを牽制する。


「ここから先は通行止めだ。超えたいなら俺たちを倒してからにしな!」

わずか数両しかいない戦車。誰が見ても勝敗は明らかであった。

しかし背負う物の大きさが彼らを奮い立たせる。

決して彼らは死ぬその時まで諦めないだろう。

全ては未来という可能性に賭けるために。


(後は…頼んだぞ…。)


その声はどこにでもあるかもしれない声。

しかしこの言葉を話した人たちはどれだけ未来に賭けたのだろう。

多くの者がその声は聞くことは無くても、今この時だけは天に届くように祈る。

より良い未来を見ることはできなくても、誰かに叶えて欲しい。

俺たちがここで死ぬ理由が無意味なものであってはならない。

人は再び繰り返してはならないという教訓をいくつも知っているのだから。

だからこそ、人は前に進めるのだから。

そしてその声を求め、今探すものがいた。




同時刻

 茨城県沖


イグアールの元には刻々と戦況の情報が入り込んでいた。

次々と更新されていく情報をオペレーターが受け、参謀がその情報を整理し、戦況が不利なところに増援を送り込んでいく。

その中でもイグアールとこの艦「ナグルファル」の艦長である荒谷だけは平然と構えていた。

「イグアール様、第一目標・第二目標ともに制圧完了。例の人物も確保済みとのことです。」

オペレーターが表情を変えずに、重要事項を次々と報告していく。

その情報にもイグアールは平然としていた。しかし荒谷は複雑な表情をする。

その様子に気づいたイグアールは荒谷に話しかける。

「やはり日本のことが気にかかるか? 」

その時艦内の空気が冷たくなり、声が無くなる。

荒谷はそれを感じ、そしてできるだけ平静にして答える。

「…いいえと言えば嘘になります。私も若い頃はこの国を信じ、戦ってきたのですから。しかし私はそれと同時にあの国に絶望し、ここに身を置いているのですから。」

「…。」

そして荒谷は今まで貯めていた思いを爆発させまいと冷静に話し始める。

「…日本は長い間眠りすぎました。総理周辺は変えようと奮闘なされていたが、時すでに遅し…、タイムリミットでした…。

世界は徐々に戦争に向けて徐々に変わっています。平和であるというのは尊いことですが、あのままでは国自体が無くなってしまうことだって十分考えられました。

国民だって平和がいつまでも続いてゆくものだと思ってます。そして政治家も賄賂などが横行し、自分たちの都合のいいように法律を変えようとする。

そしてそれが表に出る時というのも派閥争いに負けたものへの追い打ちであったりする…。そして満足に自国民を救えない軍隊…。

果たしてそれが国として正しい状態でしょうか? 国民が平和を維持する努力をしなければ平和は訪れない。国民が一人一人意思を持って政治に協力していたら

こんな事態にはならないはずです…。それらを怠った結果滅びた国なんて歴史上いくらでもあります。

だからこそ私はあなたの所にいる。日本が再び正しい道を歩くために。そして、どう足掻いても戦争が起きるというのなら…、

そしてこの戦争と変革のための傷が最小限に抑えられるのであれば…、私はあなたに協力しましょう。たとえそれが悪魔の取引だったとしても。」

荒谷が寂しげに話したのを感じたイグアールは再び問いかける。

「…これからもっと辛いことが起きるぞ…。それに荒谷、これから行うことはお前を一生苦しめるぞ。もう満足な死に方もできない。家族にだって

悲しませることになる。本当にいいんだな? 」

「もう覚悟はできています…。それにあなたもここで止まるわけにはいけない。そうでしょう? 」

「…そうだな。」

「しかし覚悟したことであるけれど…、やっぱり自分の愛した国を壊すということはとても辛いことですね…。」

荒谷はそう寂しげに呟く。その場にいる誰にもその言葉は突き刺さる。

潜水艦のソナー音と電子音、機材の排熱音だけが室内に鳴り響く。

幾ばくかの時間が流れる。

そしてイグアールは再び話しかける。

「…皆同じだよ。だからこそみんな悩んでいるんだよ。別にお前だけじゃないさ。」

「そう言っていただくと幸いです。…私はあなたの方法でしかあの国を変えることができないと考えています。だからこそ必ずこの作戦を成功させましょう。」

「…そうか。」

「では…、全部隊に連絡。作戦は第三段階に移行。第二陣も発進準備だ。

それと第一陣は第二陣が到着次第、こちらに戻せ。集合ポイントはPC、千葉県沖だ。」

イグアールの命令を受け、次々とオペレーターたちが命令を伝達していく。

「全舞台に伝達…」

「荒谷、私も出るぞ。後は任せる。」

その様子を見たイグアールは荒谷に伝える。

「了解です。」

荒谷は平然と受け、再び館長の役目に戻る。


イグアールは格納庫に移動していく。

格納庫には第二陣で待機していたパイロットが多く待機していた。

「お、イグアール様も出撃ですか?」

そう話しかけてきたのは20代の青年のグループであった。

「そんなところだ。お前たち死ぬなよ…。」

「戦場は昔から慣れてますから…。」

黒人の男がそう答える。

彼らのメンバーは全員いわゆる黒人であった。

彼らに別れを告げ、格納庫の最奥を目指す。

格納庫は2段式になっており、上下それぞれにNORNが格納され、エンジニアが最後の確認を行っている最中だ。

今も技術長の大声が格納庫の中を暴れまわっていた。

「元気そうだな。」

NORNの整備監督をしている40代の男に話しかける。

体型は若干太りぎみで、顔も丸い。関西出身らしいが、実際に誰もそれを聞いた人はいない。

なぜなら彼らは整備の虫なのである。寝食以外は全て整備に当てており、集中して行っているので話かけられないのである。

しかし、彼らが来てから不良率が大きく減った立役者である。

「これはイグアール様。私らに一体どんな御用で?」

「格納庫の一番奥にある私の機体の整備状況はどうなっている?」

「今弟が最終確認でさぁ。もうすぐ終了するはずで…。」

「整備ならもう終わったで。異常なしや。」

格納庫の奥からもう一人の男が現れる。30代の男で顔は黒く日焼けしており、やせ型の男である。

「どうやら終わったでさぁ。これでいつでも大丈夫でさぁ。」

「いつもお前たち兄弟のの整備が行き届いているから戦場でも安心して戦える。部下たちを代表して感謝する。」

「いつものことでさぁ…。…こっちも準備完了でさぁ。いつでも行けそうじゃ。」

「…そうか。では私も急ごうか。」

イグアールは二人に別れを告げ、格納庫の一番奥に向けて移動する。

格納庫の隔壁を開けて進むと、赤と黒に塗装されたNORNが鎮座していた。

装備は量産機と変わるところはない。

慣れた手つきでNORNをよじ登り、ほかの装備は何も付けることもなく、操縦席に乗り込む。

そして電源を入れ、前方のボタンを押し、操縦席の搭乗口を閉めていく。

操縦席に徐々に電源が入り、網膜明細と指紋確認をし、全ての機能を解除する。

「自分の愛した国を壊すのは辛いこと…か…。だがもう止まれない。俺にだって悪魔と取引してでも叶えたい願いがあり、俺をしんじてくれるひとたちだっているのだから…。」

独り言を呟くが本人以外の所にはその声は聞こえない。声がコクピットの中で反射し、そのなかに消えていく。

「やっとここまで来た…。あのときから忘れることがなかった約束をこれから果たす。俺を信じてくれる人だっている。そのためにも! 」

上部の発射口が開き、夜空に星星の映る空が見える。

両脇のカタパルトに足を固定し、発射装置であるレールが伸びきるのを待つ。

「俺はまだ死ねない! 」

そう言うとバーニアを吹かし、上空に飛び立つ。

向かうは東京。

そして作戦は最終段階まで進もうとしていた。




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