1-1
西暦2034年
世界は混迷の時に差し掛かりつつあった。中国では数年前に中国国内で燻っていた不満の種が爆発し、
共産党政権は瓦解した。その結果内戦状態になり、3600万人という多大な犠牲を生み出した。
またそれに伴い各地の軍閥が独立し、元共産党中央部VS市民勢力VS地方軍閥という三つ巴の状態になりつつあった。
その結果内戦状態になり、3600万人という多大な犠牲を生み出した。政権を握ったのは市民勢力である。
中東では、元中国軍から横流しされた兵器で武装した中東諸国間や過激テロ組織との軋轢が大きくなりつつあった。
アメリカ軍が撤退した今、どちらも決定打を打ち出せず、にらみ合いの状態が続いている。
イスラエルでは、各地のパレスチナ人に対する迫害が拡大。パレスチナ人は国外に追放されるか
死ぬかの二択を迫られていた。またパレスチナ人を受け入れている周辺諸国とも関係が悪化。
イスラエルはアメリカの支援なしには自国を守れない状態になりつつあった。
ロシアでは、大統領制が廃止され、多くの権力を握るプーチン氏による院政が開始された。
これには国内外からの強い反対があったものの、プーチン側が勝利した。
ロシアは強い権限により大軍備を実行し、戦争に備えつつあった。
アメリカは、自国のシェールガスや原油の精製により、経済が安定した。
その結果海外向けの活動を縮小し、再びモンロー主義に突入しつつあった。
EUは東欧諸国の加盟を受け、東欧諸国に対し経済支援を行っていたが、各地の混迷具合を鑑み、一部の
経済支援を軍備拡張に回しつつあった。それにより、仮想敵国であるロシアの隣接国に多くの部隊を設置し、
ロシアとEU間の関係は悪化しつつあった。
世界に第三次世界大戦の影がちらつく中、日本は政治リーダーがたびたび変わり、
中国や韓国、アメリカの工作員が暗躍し、足の引っ張り合いが続いていた。
だが、自衛隊は国防軍に改名。憲法9条の範囲で国防やPKOを行っていた。しかしその裏で
極秘裏に情報処理部隊や特殊部隊など有事の事態に備えつつあった。
そして、そこに一つの矢が放たれる。
2034年12月24日 PM5:30
日本 東京近郊のとあるマンション前
「約束は6時からだけど、早くに行っても大丈夫だよな?」
そこには一人の男がスマホの時計を見ながら確認していた。
彼は鹿中奏太。175cm、65㎏の黒髪の少年である。
外見はどこにでもいそうな黒髪の少年である。
性格は熱血漢であり、争いごとがあると突っ込んでしまう。
それが知っている人だとなおさらである。
そこにまた一人の少年がやってくる。
「ありゃ、ずいぶんと速いな。奏太。」
「一師。本当にいつでもゲームやっているのな。」
「そりゃゲームは人生だからな!」
そういった少年は杉瀬一師。160㎝後半の身長であり、眼鏡をかけている。彼のカバンの中には必ずゲームが入っており、所構わずゲームをしている。
そのため高校で教師に没収されることもしばしばある。
「その辺にして置いたらどうだ?奏太?」
「会長!会長じゃないですか!」
「今日は早めに仕事を終わらせてきた。昨日電話したが、大丈夫か?」
「いや、みんな会長も参加できることを喜んでるよ。」
「それはありがたい。それじゃ遠慮なく参加させてもらおうか。」
彼は相賀規頼。奏太たちの行っている高校の生徒会長であり、非常に頭がいい。
160cm後半の身長、身軽な体重の持ち主であり、情報系を独自に勉強している。
人望も厚く、皆から好かれる存在である。
ただ、一時期いじめられたことがあり、そのことを根に持っている。
「みんなそろっているみたいね!奏太!」
「げっ! 鬼娘! 」
「あ、あんたねぇー!!」
そのことを言われた少女が鬼の形相で追いかけていく。
それは少年たちにとっては日常の光景であった。
「すみませんでしたーー!!」
「今度こそは許さないんだから!」
「その辺にしておきなよ。」
「ま、まあこの辺にしておくわ。でも今度こそ言ったら…。」
「ひ、ひい。今度こそ言いません!絶対に! 」
「相変わらずの夫婦ね。まったく。」
「鬼娘」の本当の名は、柏木友里奈。奏太や天登とは幼馴染の関係である。家が近所という事もあり、今までクラスが別になったことはない。
今ままで、一番付き合いが長い友達である。
髪は金髪ロング。髪は花状の水色のシュシュで止めている。
背はそれほど大きくなく、標準的な体型となっている。
「…結婚しちゃえばいいのに…。」
隣にいる少女が2人の事を見て茶化してくる。
彼女は生野未来。学校では図書委員会をしており、黒髪で短めである。
自他ともに認める本好きで一日一冊は読む。
恋愛小説を読むことは少ないが、他人の恋を見てニヤニヤしている。
「け、結婚!? 」
「だ、誰がこんなb…。」
「それ以上言うと大変なことになるからやめてあげなよ! 」
「よ! 天登! 時間速いけど上がっちゃっても大丈夫か? 」
「ま、まあ、少し速いけどなんとかあると思うよ。」
「「切り替え早っ!! 」」
「それが奏太のいいところだけど、目の前のことから逃げちゃだめだよ。」
マンションのエレベーターから降りてきたのは、白髪の少年。
名前は下田天登。このマンションに住んでおり、今回のクリスマスパーティーの主催者である。
背は小さく、白い髪は目を隠すか隠さないかのラインまで延びている。
マンションのエレベーターを使い、天登の家の前に来た。
「母さん、ちょっと早いけど上げていいよね? 」
「ええ、いいわよ。みんな久しぶりね。 」
「久しぶりです。 おばさん。」
台所から一人の女性が現れる。現在天登の家は母子家庭となっており、兄弟2人を抱えている。
一人は先ほど説明した天登。もう一人の方の兄はバイトに出ているようだ。
「天登、みんなを奥に案内して。」
「わかった。」
そう言われて天登はみんなを奥に案内する。
彼らのパーティーは今これから始まろうとしていた。
2034年12月24日 PM6:00
東京近郊のマンションの一室
人々が暮らす町にもクリスマスイブの波が近づいていた。この大切な日を過ごそうと、大切な人、恋人、家族、親友などと集まり祝おうとしていた。
そして、このマンションにも祝おうと6人が集まっていた。
「それじゃ…、」
「「乾杯~!」」
この家のリビングに4人の少年と2人の少女が集まっていた。テーブルには、某チキン店より取り寄せたバーレルとピザ、それと多くの炭酸飲料と紙皿が集まっていた。部屋の
中も装飾が施されている。彼らは同じクラスの友達であり、小学校からの付き合いである。
「いや~、やっと講習の地獄から脱せられたぜ!」
「テストで赤点取るからだろ!」
「そりゃ仕方ないだろ!高校生なら勉強よりゲームだろ!」
「…ないわ……。」
言われた少年の心に釘が突き刺さる。
「というか、前の夏休みの時にもあっただろ…。」
「反省しないのな…。」
「もう、空気を悪くしないでよ!あんたのせいよ!」
そういわれた は辺りを見回すが、誰もが自分の方を向いていることに気付く。
「もしかして俺のせい?」
「「うん。」」
「そりゃないぜ~myfriend」
「え?いつから友達だっけ?」
「え?」
「「え?」」
「まあ、冗談はそれくらいにしておいて…。」
「それじゃあ、パーティーの開幕だ!」
「「おー!」」
テーブルに置かれていた食べ物や飲み物に手を付けていく。
思い思いに、紙皿にチキンやピザを取っていく。
「そういえばさ、皆子供の頃の夢ってあった?」
「子供の頃の夢か…。」
「あの時はお笑い芸人になれたらいいなと思っていたな。」
「私はパティシエだった。」
「俺はゲームに関わる仕事に関わればいいなと思っていたな。まあ今もだけど。」
「博希はいつもゲームやってる印象しかないな。俺は父親が公務員だから公務員かな?」
「まあ、ぼくは子供の頃の夢は無かったかな…。まあいろいろあったから…。」
「なんか、ごめんな。聞いちまって。」
「いや、いいよ。それは事実だしね…。」
「最後に奏太、子供の頃の夢はなんだった?」
「そうだな…、」
いくつもの夢が頭に浮かんでは消えていく。そして、答えが見つからなかった。
「俺は…、夢は無かったな。ただ普通に暮らしていければいい、それだけだよ…。」
「まあ夢を叶えるのは難しいしな。」
「そろそろみんな温まったからもりあがっていこ~!」
「「おーー!!」」
12月24日 PM7:30
東京市ヶ谷 防衛省内 対極東情報処理部隊
ここは、数年前に極秘に組織された部隊の部屋。
中国で起きた内戦をきっかけに極東方面の情報を統括する陸海空共同の部隊組織である。
現在も、極東方面を人工衛星などで監視を続けていた。
現在も部屋に設置された複数のモニターで日本海、太平洋、中国、ロシア方面を監視している。
しかし、それも長時間になってきたため、気が抜けてきたようだ。
「…ふう、さすがに肩が凝ってきたぜ。ただでさえ部隊人数が少ないから交代数も少ないからな。」
監視員の一人がそう独り言を呟く。
「でも、仕方ないだろ。俺たちが監視しなきゃ非常時に対応できないからな。」
「でも、世間じゃクリスマスイブだぜ。俺も家族と過ごしたいぜ。」
「そこっ!雑談は禁止のはずだぞ!」
「ゲッ!隊長に見つかっちまった!」
「…南無。」
「お前だって雑談していただろう…。」
そう話していた隊員たちの頭に拳骨が落ちてくる。
拳骨を落とした主は奥田勝繁という。
現在は38歳である。
30代にして佐官に任命され、エリートコースを歩んでいる。
背は180後半。頭は五部刈りであるが、体は鍛えられており、ガチガチの筋肉で固めている。
防衛大学を首席で卒業後、幹部自衛官候補として陸上自衛隊に入隊。
なによりも仲間を大事にする精神で模擬戦でも彼の率いる部隊は最少人数の被害をキープしている。
故に、同世代の自衛官の中でも最も出世のスピードが速い。
「お前ら、何をやっている。まあ、その気持ちも分かるがな。」
「隊長! 今日も残業ですか?」
「そんなところだ。特に変わった様子はないか?」
「今のところはありませんよ。」
「世間はクリスマスイブで浮かれているが、君たちは大丈夫か?」
「その分きっちり代休貰ってやりますよ!」
「よしその意気だ。」
「ま、与えられた仕事は…!?」
「どうした!!」
「これは…。」
通信士が人工衛星のモニターを見てみるとわずかながら、中国の艦隊が動いている。
それも、北海艦隊、東海艦隊の2艦隊合同で、ある。
「今日は演習内容もいつもの時間を過ぎていますし、これはまさか…。」
「とりあえず上に報告して来る。さらに監視を怠るなよ。」
そこにさらに、ロシア方面の担当である自衛官が報告してくる。
「こちらのウラジオストックの艦隊も動いています。さらに陸上の方でも大規模な動きありです!」
「了解だ。総員中国、ロシアの動きを監視せよ!あともう帰っている奴らにも電話だ。引き連れてこい!」
「了解です!」
「それじゃ、俺は報告してくる。」
そういって奥の部隊長室に戻り、電話をかけ始める。
「一体何が起きているんだ…?」
彼の頭の中に悪寒が走った。
それも今まで感じたことのないクラスの。
「…何であれ、俺は責任を果たさなきゃならん。部下たちと国民の命を預かっているのだから。」
2034年12月24日 PM8:00
茨城県沖
物音ひとつ立たない海。冬の季節に差し掛かり、波が高くなっている。風は
東北東から吹き、金切り声を上げている。
そこから潜ること海底200M。
そこには、数隻の潜水艦が航行していた。
いや、潜水艦というには大きすぎた。
全長1.5キロ、横幅50M、高さ40M。そこには巨大潜水艦というべきものが時速10ノットでゆっくりと潜航していた。
外観を見てみると魚雷管の本数は通常の潜水艦
に搭載されている魚雷管と比べ、前方4門、後方2門と少なく、洋上にも目立った装備は見られない。
だが、甲板上部に縦幅20M、横幅20Mの穴が複数個所塞がれている。
その潜航している潜水艦の中では、最終命令の確認を行っていた。
多くの人がリーダーの号令に備える中、その中で働く秘書「鈴川灯」はいつまでたっても来ないリーダー「イグアール」を待っていた。
「…遅いわ。あと30分で開始時刻だというのに…。」
もう我慢の限界だ。兵士たちも抑えることが難しくなっている。
「少し様子を見てきます。」
そう周りに宣言した。
それを聞いて部下たちも落ち着きを取り戻したようだ。
規律を取り戻し、静寂を取り戻した。
彼らのいる潜水艦の最奥。一部の幹部しか入ることを許されないエリアの中に彼はいた。
部屋のドアには「執務室」と書かれている。
だいたい10畳ぐらいだろうか。
壁の周りには本棚があり、中には兵法書が大量にある。
部屋の北には、潜水艦の窓が設置されている。外は深海であり、たまに深海魚が通っている。
床には赤絨毯が敷いてあり、中央には4脚の一人用ソファーとテーブル、そして奥には
1脚の椅子と机が置いてある。外見は170cm前半。顔は西洋風の鉄の仮面で隠しており、青を基調とした軍服を着ている。
そこで一人「イグアール」は一人目を瞑り、回想していた。
彼にとっての運命の出会いを。
「……きてください!! イグアール様時間でございます。」
「
「…もう、そんな時間か…。懐かしい夢を見ていた…。」
「またですか…。何度もそのことを言われているようですが…。」
「全てはあそこから始まったのだ…。今こうして仮面を被っている理由も。これから起こすことも…。」
「あの時から全てが変わってしまった…。あのころはまだ…。」
「…皆イグアール様の号令を待っています。急ぎ、お願いします。」
「分かった…。」
数分後、
巨大潜水艦の艦橋
イグアールが艦橋に入ると、艦橋にいた部隊員全員が敬礼をしている。
「これはイグアール様。皆イグアール様の号令を待っています。」
「まあ、そうあせるな。荒城。時間はまだだろう?」
荒城と言われた男こそがこの巨大潜水艦の艦長である。
50を少し超え、白髪が入っているが、その鋭い眼光の持ち主である荒城は、周りにいる部下たちを威圧していた。
「しかし…、この作戦に参加する誰もが緊張しております。この状態が続きますと、戦闘時に全力が出せません。」
「まあ、そうだな。しかし私だって号令をするときは緊張するものだよ。」
イグアールは一呼吸置くと、
「艦長、全スピーカー、全回線を繋げろ。」
「了解しました。通信士!」
通信士の男性が、いそくさと準備を行っている。
黒人の20代の男性はてきぱきと準備を終えた。
「全ての準備が完了です。いつでも行けます。」
「了解した…。」
「それではこれより第一段階を始める。各艦浮上後、それぞれの目的に向かって発進せよ!」
イグアールの号令をきっかけとして巨大潜水艦が浮上を始める。
海面に上がると、あたりにも巨大潜水艦が浮上している。
さらに、潜水艦の上部ハッチが開く。中に搭載されているのは人型のロボットがリフトに上がり、周りにアナウンスが流れる。
「これよりNORN発艦のため、誘導員を除き甲板の出入りを禁止する。」
下のリフトから「NORN」と言われた人型ロボットが上がってくる。
全長約10M。胴体が尖っており、足の膝が異様にとがっている。人型というだけあって全体的に細いデザインである。
腰には予備弾薬をしまう為のポケットを両側に用意している。普段はそこは閉じており、リロード時だけ開閉するようになっている。
武器には左手に120mm対戦車砲、右手に40mmライフル、背中に多目的近接刀を装備し、機体の後ろにはフローターが付いている。
120mm対戦車砲のマガジンはバレル式となっており、6発まで装填可能である。予備弾薬は腰に計4つついている。
リロード時にはバレルがパージされ、予備弾薬のバレルごと交換する方式である。
40mmライフルの外見は99式軽機関銃に近く、ボックスマガジン弾倉を上から装填する方式となっている。また、射撃時に目標の邪魔にならないよう
持ち手を中央より多少後部にし、マガジンを最後部に配置している。ブルバップ式の銃のマガジンを上に配置した形と言うと分かりやすいだろう。
装弾数は150発であり予備弾薬は腰に6つついている。
スコープも真上に付いているのではなく、銃に対して斜めに付けられている。
フローターには16連装ミサイルを4門搭載されている。
多目的近接刀は、剣のカーブは鋭くないが、イスラムのシャムシールに近い形となっている。
シャムシールの持ち手には、溝が掘られており、ふだんは鞘に閉まっている。鞘には「汝に祝福あれ」とイスラム語、英語、日本語でそれぞれ彫られている。
背中には40mm機関砲をしまうためのスペースが用意されている。
さらに別の機体には
それ以外のほかにアンテナを多数搭載されている機体がある。これは情報戦において、自軍の優位性を保つために作られた機体である。
しかし、このアンテナ群を付けるために、120mm対戦車砲と16連装ミサイルはオミットされている。
この機体には背中とフローターに多数のチャフ、レーダー攪乱装置、電波妨害装置が搭載されており、この機体1機と武装型の3機で1小隊を構成している。
この小隊を各15、それぞれの潜水艦は搭載している。
通信士が
「各艦、NORNの発進準備が完了しました。」
「よし、それでは各艦発進させろ!それぞれ目標を叩くように。」
「各部隊、所定の行動通りに行動せよ。繰り返す、各部隊所定の行動通りに行動せよ。」
「手に入らなかったものを求めるのは人の運命か。」
その仮面の下には苦渋の表情が移されていた。
しかし、この艦橋にいる人は気づかない。
彼が一番苦しむのはこれからなのだと。
2034年12月24日 PM9:00
東京近郊のマンションの一室
それから数時間後、パーティーもお開きの時間を迎えていた。
かれこれ、2時間半パーティーを行っていることになる。
「おい、外見てみろよ!」
「わあ、雪だ!」
「今日の天気予報に今日は雪が見れるかもしれませんと言っていたしな。」
「ねえ、外出てみない?」
「賛成!」
「めったに雪は見れないしな。」
満場一致で外に出ることになった。
「おばさんありがとうございます!」
「いいのよ。息子とも仲が良さそうだしね。」
「母さん、手伝おうか?」
「いいのよ、天登。折角の機会なんだし、いってらっしゃい。」
「分かった。帰ってきたら手伝うよ。」
「早くしないと行っちゃうよ~!」
「待ってよ~。」
急いで、奏太たちは外に出ていく。近所の人たちもめったにないホワイトクリスマスを見ようと、外に出てきていた。
「そういえばまだケーキ食べていなかったな。」
天登がまずそうな顔をしている。
「やば、まだケーキ受け取っていなかった。」
「店はどこ?」
「歩いて10分ぐらいのところだよ。」
「なら、みんなで取りに行こ! 」
「せっかくのクリスマスイブならケーキ食べたいしな。」
「甘いもの本当に好きだな…。なんでそんなに食べても太ら…。」
ゴゴゴ
「ねえ、女の子に対して言ってもいいことと悪いことがあるわよ…。」
「わ、悪かったよ。だから機嫌直してよな!な! 今度なんでもするから! 」
「仕方ないわね…。ただしまた言ったら今度は無いわよ!」
「分かったよ…。」
しかし、約束を取れた友里奈は嬉しそうにしていた。
「なあ、なんであれで奏太気づかないんだ? 」
「あれを見たら、ケーキの糖分の比じゃない…。」
「「…はぁ。」」
それから奏太たちは会話しながら歩き、ケーキ屋の看板が見えようとするところまで歩いていた。
奏太は仲良く話し合っている親友たちを見て、ふと考える。自分たちは今高校2年生。来年になると高校3年生の12月。
就職する場合は就職先が決まっている頃だが、大抵の場合、大学受験という壁に差し掛かる。
来年のパーティーは開けるのか。
「なあ、来年のクリスマスパーティーはどうなるんだろうな? 」
「来年の話か…。まああっという間だってよく言われているしな。」
「大学受験まで数週間になるしね…。」
「そのころになると高校卒業も見えてくるしね。」
「そうなると私たちもバラバラになるのかな…? 」
皆が皆それぞれ思うことを話す。あと1年。こうして集団で楽しめる時間もあと少しとなっている。
でも、もっとこの楽しい時間が続いてほしい。
「今がずっと続けばいいのに…。」
そう思っていると、どこから金切り音が聞こえてくる。
「なんだ? 」
「工事の音じゃないしな。」
そこで全員立ち止まる。
その決断をした瞬間、爆風に吹き飛ばされる。
「…痛った。一体何が起きたんだ…。」
辺りを見回すと同じように吹き飛ばされた親友たちがいた。
「な…何が…!?」
辺りには吹き飛ばされたと思われる友達たちがいた。
「大丈夫か!?」
「な…なんとか…。」
「他の人たちは?」
そう言われて辺りを見回す。
自分の近くにいた友達たちは無事なようだ。
多少怪我をしているかもしれないが重症ではない。
だが、着弾点にあったケーキ屋にいた人の人たちは…
地獄がそこにあった。
辺りには手足がバラバラとなった人。子供を守ろうと盾になる母親。物陰に隠れたはいいものの、瓦礫の下敷きになった人。
あたりには血の海が広がっている。
「大丈夫ですか!?」
そう問いかけ、負傷者の元に近づこうとする。
すると急激になにか音が大きくなる。これは戦闘機のエンジンの音のような…。
そして瓦礫となったケーキ屋の上空にその機体は来た。
頭部のセンサーが光り、俺たちを殺そうとする。
人型のロボットが俺たちを見つけ、殺そうとしていた。
それと同時にどこからかラジオが流れてくる。
「…我々はイスラフィール。世界の変革のために組織された武装組織である。我々は日本に対し宣戦を布告する。繰り返す。我々は日本に対し宣戦を布告する。」
「なんだよこれ…。なんだよこれ…。」
今まで楽園にいた子供たち。しかし、いつまでも子供たちは楽園にいることはできない。
今まで描かれていた虚栄が剥がされ、牙を向けようとしていた。
子供たちは立ち向かわなければならない。
この世界の現実と過酷さに。
後の歴史家は語る。
後に「日本戦役」と言われる戦い、この戦いこそが「第三次世界大戦」の始まりだと。
これより始まるは「第三次世界大戦」。
多くの悲しいことがあった。
多くの辛いことがあった。
多くの友情があった。
多くの希望があった。
そして、多くの未来をあった。
それを人々は乗り越えていったのだと。




