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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

プリズンチルドレン

作者: fairyhunter

文章力がないだけで、すこし残酷な描写があります。

何をしてもここから出たいか?

今…。何が欲しい?

何だこの紙は?と思い看守に尋ねた

「それか。アンケートだ、さっさと答えな」

「アンケートぉ?」

「いいから答えろっつってんだろ」

しゃあねぇな。もちろんここから出たい。一番欲しいものは…冤罪を証明してくれる証人…かな






「みなさん!当選おめでとう!君たちは晴れて牢屋から出れるかもしれないよ!」

ドスのきいた看守長の声が心なしか高く聞こえた。どうやら相当機嫌がいいそうだ。

俺…いや、俺たち囚人はいま広場に集められている。人数的に全員ではないはずだ。

「ちょっと看守長!それじゃ全くわからないですよ」

隣の助手が小声で看守長に指摘したが、マイクにのってしまっている。

「ガハハハハ、すまないすまない。君たちは選ばれたんだよ!ゲームの参加者100人に!もちろん!ピコピコやるようなゲームではない。君たちの身体でしてもらう。まず君たちにはとあるところに行ってもらう。そこで最後の一人になるまで生きて欲しい。最後の一人には、ここから出る権利をやろう」

囚人どもがざわめきだす。もちろん俺のその中の一人なわけだが。

「なにしたっていいんだな?」

とある囚人が声を荒げて看守長に質問をぶつける

「もちろんだ。最後の一人になればいい。」

ざわめきなんてものじゃなく、騒ぎに大変身だ。

「まず!君たちにとある場所に行ってもらう。場所がばれたくないので、この薬を飲んでくれ。いわゆる睡眠薬ってやつだ。」

周りにいた看守どもが俺たち一人一人に薬といっぱいの水を渡す。

「おらぁ、さっさとのめ」

薬をのんだ囚人はぞくぞくと倒れ始め、やがて、そこに立っているのは看守だけになった

「さーって、優勝者は誰になるかな」

看守長の低い声が、俺の脳内に強く残っていた。







「さーって、こいつの欲しいもんはなんだ?」

「こいつは日本刀だそうです。看守長」

「そうか、そいつの枕元においておいてやれ。次はなんだ」

「次は、冤罪を証明してくれる証人…。いけますか?」

「というと、江藤(えとう) 正義(まさよし)か。」

「はい。」

「むぅ…。あの薬わたしておけ。」

「いいんですか?こいつがどうなっても知りませんよ?」

「いいじゃねぇか。つべこべ言うな」

「了解しました」








眩しい。光が俺のまぶたを通して、目に刺激を与える。ここはどこだ?と思い目を開き体を起こす。そこは森だった。ポケットにはなぜか錠剤が1錠はいっている。見たこともない薬で少しびっくりする。そうか、俺は生きなきゃならない。とりあえず食糧だな。枕元には携帯食料が5箱と水が5本おいてある。2日はいけるか。俺たちを餓死させる気はないようだ。とりあえずこの場所の調査と行きますか。そう思い俺は歩き出した。ってあれ?

「身体がちっせぇ!」

何だこれは、がきじゃねーか。大きさ的に小3か?こんな身体で何ができるってんだよ。これは俺だけなのか?他の囚人もなのか?人を探さなきゃ。







近くで物音がする。俺が木で身を隠しながらその現場に近づく。そして俺は思わぬ現場を見てしまった。

「小学生が…。日本刀を持ってる小学生が…。小学生を食ってる…。日本刀でさばいてやがる」

やばい、グロ動画とかそんなんじゃない。吐き気がこみあげてくる。すぐに逃げないやばい。焦ったが、気づかれないように、ゆっくりを後ずさりを始めた…が、近くにあった枝を踏んで折ってしまった。

「何奴!」

やばい、気づかれた。

「ちぃ!気づかれちまったならしょうがねぇ!」

俺の反対側にいた小学生が立ち上がる。助かった

「お主、名をなのれ!」

「おいおい、武士さんよぉ。人に名を聞く時は自分からじゃねぇのか?」

「拙者の名は起上(おきあがり) 古武士(こぶし)。お主は?」

「俺の名前は…。いや、今から死ぬやつに名前をいう必要なんてないな。」

「ふっ、笑わせるわ。」

古武士は左足を引き、いつでも刀を抜けるような体制になった。

「いくぜおい!」

小学生をがポケットからハンドガンを抜き、古武士めがけて引き金をひく。

「得物の扱いぐらい心得ておくものだ」

古武士は弾をかわし小学生の懐にはいる。

「お主、その体じゃもう一発は打てないであろう。」

「おまっ、普通かわせるもんかよ!」

「かわしたのではない。貴様の銃口をみて、弾道から抜けただけだ。」

そういうと古武士は小学生を真っ二つにした。

「ぎぃやぁぁぁぁっぁ」

その現場を見た瞬間、俺は逃げ出した。小学生の叫び声が俺の耳にずっとこだましていた。






薄暗い部屋で何人もの人々が一つの大きなモニターを見ながら、夕飯をとりながら話している。

「最高ですねぇ」

「小学生が小学生を食べる。んふぅ。幸せです。」

「俺なんてすでにギンギンだよ」

「満足していただき光栄です」

「いやいや、まだまだこれからじゃないのかね?」

「はい。では、お楽しみください。」





「どうすりゃいいんだよ…。」

途方にくれてしまった。さっきの起上 古武士はおそらく人食のクズ武士だろう。まず小学生が小学生を食うってどういう状況だよ。だけど、このカ携帯食料が切れちまったら俺は何を食えばいいんだ。まぁいい。とりあえず携帯食料食うか。食欲がなくても食っておくべきだしな。






「さっき他に誰かいたでござるな。まぁよい、いつか殺せばいいことよ。そんなことより、この血だらけの刀をどうすべきか。砥石があるわけでもあるまい。」

そう言うと古武士は刀をその辺の石で砥ぎ、水洗いしていた。






「ふぅー、腹一杯。この体だと携帯食料一箱で十分だな。」

これからどうしようか。あーゆー戦闘狂に出会うと死が確定する。正当防衛ってのをしないとな。自分が襲われた時ように…。木でも削っとこ。竹槍ならぬ木槍だな。適当に地面で削ってと…。






「久しぶりの人肉は非常に美味であったな。さて、さきほどのやつも食そうか。方向は…。5時の方向だったな」

古武士はホッペに血をつけたまま歩き出した。






「よし!一本完成!つっかれたー。」

この身体じゃすぐに体力切れがきちまうようだ。今の体力を知っておかなきゃな。そんなことより、

「ちょっと、さっきのとこ戻るか」

そう、古武士が小学生をまっぷたつにしたところに。

出くわすといけないので少し回り道をすることにして、俺は槍を片手に歩き出した。





「むぅ、見つからぬ」

さっきの小学生が逃げて行った方向に歩いているのにちっとも出くわさない。拠点をここに置いているのではないのか?もう少し周りを探索してみることにしよう






「あったあった。武士には拳銃は扱えないってか?」

真っ二つになった死体はすでに古武士の胃の中のようだ。俺の体じゃ銃は一発しか使えないと思う。まず残弾があるのか?使い方もしらねぇし。とりあえずさっきのとこに戻りながら使い方を理解しておくか。







「何奴!」

拠点に戻ろうとしていた古武士は見知らぬ誰かと遭遇した。

「まぁまぁ落ち着きなよ。血の気の多いお侍さん。」

「お主、名をなのれ」

「俺の名前か…。ねぇんだよな。強いて言うなら、そうだな、ジョーカーとでも名乗っておくか。おらよ、名刺」

そう言うとジョーカーは古武士にトランプのジョーカーを投げてよこした。

「大丈夫、戦う気はないよ。」

「お主、何を言って」

「勝手に殺しあってくれればいいんだ。俺は最後まで生き延びるよ。何をしてでもね」

そう言い残すとジョーカーはすたすたと歩き、森の中へと消えていった。






「やっと帰ってきたー。さぁって、罠を作るか。」

拳銃の使い方を一応理解した俺は、歩きながら考えた罠を作ることにした。もちろん徹夜覚悟だ。この身体で徹夜ができるのだろうか。とりあえず、始めますか。






「昨日の侍。完全に人を食ってたな。俺でも人は食わねぇぞ。つーかジョーカー1枚なくなっちまったー。まぁストックはたくさんあるけど。」

朝、やけに早く目が覚めた俺は侍に出会った近くを歩いていた。携帯食料でも落ちていないかと思って

「ん?なんだあれ?」

寝ている少年と大きな穴が一つ、視界に入った

「別に寝込みを襲う気はないし。まぁ何か面白いことがありそうだから観察しておこうかな」

俺は木に腰をかけ、少しの間寝ることにした。






「やべぇ!寝ちまった!」

朝弱い俺に飛び起きる日が人生で起きるとは思わなかった。幸運にも、外傷があるわけでもなく、穴が潰されたわけでもない。

「さーって、頑張りますか!」

俺は枝や葉っぱなどの材料を集め始めた。






「ふぅ、良い目覚めである」

人の肉を食った次に日は実にすがすがしい。この時のために拙者は人の肉を食ったのかもしれぬ。

「あぁ、もっと…もっと人の肉を食いたいぃぃぃぃ。むっ」

近くで誰かが枯れ葉を踏んだ音がした。

「さて、朝飯にしようかの」







「ばぁか。自分の影を見なよ!」

古武士に強い声を飛ばす

「何奴!」

「いいから見てみろって」

「ふぅむ。なっ」

「な?朝じゃないだろ?影がないんだから。今は12時ってとこだぞ?」

「まぁよい。ならお主を拙者の昼食にしようかの」

「やれるもんならやってみな。」

そう吐き捨て、全速力で走り出した。予定の位置まで…。





「あやつ、どこに行きおった!」

「ここだよ!」

古武士が振り返ると同時に正義は石を投げつけた。

「くっ、こしゃくな!」

古武士も見失わぬように、注意しながら走り出した。





「やっとついた。」

集中だ。絶対にあいつを殺すんだ。

「おい!出て来い!」

「うるせぇ!ここだよ!」

もう一度俺は石を投げつけた。

「そこか!ちょこまかちょこまかと!いい加減鬼ごっこは終わりにしようぞ!」

あぁ…。そうだな。終わりにしようか





「なんだなんだ?騒がしいな…。って昨日寝てたガキか。あとは…。昨日であったお侍さんか。さーって、見ものだな」

そういって、ジョーカーはトランプをシャッフルし始めた。






よし!こい…。あと一歩!こい!

「お主!逃げるんじゃなぁっぁっ」

落ちた!底には木槍をさしてるから

「こしゃくな!」

なっ、木槍が全部折られた!?でもまだ上から降ってくるぜ

「むぅ。このような罠ごときで拙者がやられるとでも?」

そういうと、古武士は上からの木槍をすべて切り、跳ね返した。






「舐めたことをしおって、早く登らねば!」

古武士は穴を登り、顔を上に出した。

「ぬ?あやつがいなっ」

古武士の下半身に激痛が走った。







「昨日見た時は穴が一つだったのに、穴は二つあったのか。俺も騙されちまったよ。とんだぺてん師だな」

ジョーカーがトランプの一番上をめくると、スペードのAだった。





「お前よぉ!ガキの頃にトンネルって作ったことなかったのか?あぁ?」

「どっ、どこだ!」

「下だよばーか。」

そこには拳銃を構えた正義がいた。

「そーっら、もういっちょ!」

「お主!反動は!」

「寝転がってるから問題ナッシング!」

「や!やめろ!」

「武士なら負けを認めな!残念ながら俺には武士の情けなんてもんはないんでな!」

正義が銃の引き金を引いた瞬間、古武士は自分で自分の首をはねた。

「ふっ、プライドってやつかよ」








「あー、しんど!」

外に出た俺は服についた泥を払っていた。

「いやぁ。実に良かったよ」

手を叩きながら誰かが寄ってきた

「よくなんかねーよ。落とし穴掘っただけだ」

「そうじゃないよ。下の槍、上の槍、それだけで十分なのに、もう一つ穴を作ってつなげるなんてね」

「はじめから見てやがったのか。」

「まぁね。俺は人殺しなんてする気は全くないしね」

「でもそんなんじゃこのゲームでは勝てないぞ?」

「君は忘れたのか?」

「あ?何がだよ」

「このゲームは最後まで生きればいいんだ。殺す必要はまったくない。それどころか、殺した方がダメなんじゃないのかな」

「なんでだよ」

「人殺しをするようなやつがここから出れると思ってるの?」

「うっ…。ならお前はどうするんだよ!」

「簡単だよ。自殺させればいいんだ。」

そう言うと、そいつはすたすたと歩き出した。

「お前!名前はなんだ!」

「俺の名前か、好きに呼んでもらって構わないけど。そうだな、ジョーカーとでも名乗っておくよ」

ジョーカーとやらは森に消えて行った。







「なんだったんだ?あいつ」

と思い、携帯食料を頬張る。そろそろ食糧やばいかな。急に放送がなりはじめる

「「残りがあと70名となりました。殺し合いをしている方は今すぐおやめください。また、場所を移し替えるので一度砂浜に集まってください。なお、地図は今から頭の中に映しますね。」」

あれ?なんだか道がわかるようになった。一度きたことのある場所にきた気分だ。さぁ、さっさと砂浜にいくか








「いやぁ、子供の容姿であういう頭脳戦は最高ですね」

「いやぁ、実にいいね。飯が進むよ。ありがとうね。コレクターさん」

「やめてくださいよ、ここでは看守長なんですから」

「変人マニアが何を言ってんだか」

「だって楽しいじゃないですか。変人って」







「みなさん!お集まりいただけましたか!では!この船にお乗りください!」

妙にテンションの高い女が俺たち囚人を引率する。小学校の先生になったつもりなのだろうか。

「みなさんには、ご飯ができるまでロビーで待ってもらいます。この船の中で人を殺すことは禁止です。では、どうぞ」






「さーって、休めるとこはどこかな」

さっき人殺しをした俺は興奮の余韻に浸っていた。そんな俺の視界にうずくまっている白髪の少年が入った

「どうした?」

「僕…。殺し合いなんてしたくない」

なんだこいつ。甘えか。なめやがって。罪人だろてめぇ

「なんかあったのか?」

「人が…。人を食べてた」

他にも食人種がいたことに驚きを隠せない。

「まぁ…。あるんじゃね?」

「君もそんなことするの?」

「ううん。俺は携帯食料で十分だ」

「だよね!そうだよね!よかったぁ」

そういえばこうやって普通にコミニュケーションをとってないな。情報収集といくか

「ところでよ」

「ん?どうしたの?」

「お前ってこの薬もらった?」

そう言うと俺は気になっていた錠剤を差し出した。するとこの少年の顔色がガラッとかわった。






なんだろう。この薬は…。見たことない。僕は薬には結構詳しいのになぁ。

錠剤タイプか…。有名どころはMDMAだけど、BZPとか3CPPとかるけど。こんなのは見たことないな。

「知らないよ」

「そうか、みんなもらったもんだと思ってたんだが」

「っていうと?」

「なんか森で目が覚めた時、ポケットに入ってたんだ」

ポケット?僕が麻薬と投与用の注射器を入れられてたとこか。もしかして

「君さ」

「ん?」

「はじめのアンケートの欲しいものになんてかいたの?」

「そんなもん何で言わなきゃいけねーんだよ」

ガードが固いなぁ。そこまで口は軽くないんだな。ベラベラ喋るもんだと思ってたのに。

「いや、多分そこに書いたものが始めに支給されたんだよ」

「ふぅーん」

「ところで君の名前は?」

「俺の名前は江藤(えとう) 正義(まさよし)お前は?」

「僕の名前は浜村(はまむら) 慎吾(しんご)。よろしくね」








この薬が証人だと?馬鹿にしてんのか?でも支給されたってのは正しいかもしれないな。古武士の日本刀も支給されたんだろう。だとしたら浜村の支給されたものはなんだ?見た目からして武器ではないだろう。

「まぁ、仲良くやってこうぜ?」

「どうせ殺しあうのに?」

「その時はその時ってことでさ」

「うん。そうだね」







最後の二人になるまで仲良くしとくか







「ご飯ができました!みなさん!食堂にお集まりください!」

またも脳内に地図がでてくる。ICチップを埋め込まれたようだな。

「よし!いこうぜ!浜村!」

「慎吾でいいよ?」

「おう!ならおれのことも正義って呼んでくれ!」

「うん!」









「ふっ、馴れ合いなど。忍びには合わぬ」







「ふぅー、食った食った」

「美味しかったねー」

「ところでさ、一つ聞きたいんだが」

「ん?なに?」

「お前は何で監獄に入れられたんだ?」

「なんで言わなきゃいけないの?」

「もしもお前が食人種とかだったら怖いじゃん。」

「そだね。正義もあとで言ってね」

「なら俺からいうわ。俺はさ…冤罪なんだ」

「え?」

「俺は人を殺したなんて記憶なんて全くないのに…。いつの間にか犯人にされてたんだ。もう疲れちゃってさ。認めちゃったんだよね。」

「ふぅん…。僕はね…。麻薬を吸いまくったんだ。高校生のときに友達に勧められてさ、ご機嫌とりというか、友達がいなくなっちゃうと思って吸ってみたんだけど、はまっちゃったんだよね。今はもう発作は止めれるけど、あの時は凄かったんだ。それでむしゃくしゃしてね。なんというか自分じゃないみたいだったよ」

「なるほどな。ちなみにそっちは殺し合いに賛成?」

「反対に決まってるよ!」

「俺は賛成なんだよね」

「え?なんで?」

「冤罪ってさ、結局俺が弱かったんだ。俺がもっと強くなればいいんだよ。光があれば影があるっていうだろ?確実に光を受けるためには、自分がてっぺんになる。蹴落とすのは当たり前じゃねぇの?」

「なんていうかさ…。こういう考えは?」

「ん?どうした?」

「確かにさ、一人だけ高かったら影ができるかもしれないよ。でもさ、みんなが平等に!同じ高さだったら、みんな光を浴びられるんじゃないかな」










「その考えは甘いぞ」

慎吾と正義が話している後ろから会話に割り込む。

「あ?」

「ん?」

「だから、その考えが甘いって言っているんだ」

「うるせぇ、部外者は黙ってろ」

めんどくさそうに正義があしらう

「闇を好む者もいるってことだ」

「はいはいそーですね。でぇ?」

「ちょっと正義。やめときなって。顔覚えられるよ」

「大丈夫だって、こんな中二病なやつに負ける気はしねーよ」

「ふっ、舐めんなよ」

正義が気付いた時には、首もとにクナイが突きつけられていた。








「悪かったって!」

目の前にいたのに、速すぎて目で追えなかった自分に少し腹が立った。

「ちょっと!やめなよ二人とも!」

「いやいやまてまて、おれは何もしてねぇ」

「まぁ、そだね。君の名前は?」

「ふっ、貴様らに名乗る名などない。」

「別に名乗らなくていいですはい。おかえりください」

「ちょ!正義!」

「別にこいつと仲良くなったところでだろ」

「ちょっと正義、来て」

おれは慎吾に連れられ、部屋の角に移動する。

「冷静に考えてみなよ正義」

「おれは至って冷静だが」

「いやいやいや、もしもここじゃなかったら今ごろ正義の首はねられてたよ?」

「まぁ…そうだな」

「ね?あの人は仲良くなるんじゃなくて、仲間にしておくべきだって、だって」

「だって?」

「あの人強いじゃん」

「まぁな」







「おい!そこのお前!仲間になってやる」

「別に俺に仲間なんていらない」

「いいからなれ」

「弱者と馴れ合うつもりはない。さきほども、お前一回死んだ身だぞ」

「うっるっせっえ!」

「正義!ちょっと落ちつこ!ね?」

「だってこいつが」

「ちょっと黙ってて!君さ、僕たちと組んでいいことあるよ」

「なんだ?言ってみろよ弱者」

「もしも、君一人で勝てない相手がいても僕たちがいたら勝てるかもしれないよ」

「俺より弱い人間なのにか?」

「それに、自分より弱いんだから、いざとなったらすぐ殺せるでしょ?いざっていうのは」

「あり得ないと思うがお前ら二人と俺が残った場合か」

「よくわかってるね。で、どう?組んでみる?」

「足手まといはいらぬ」

「とかいって、君、忍者でしょ?忍者がこんなとこいるってことはヘマしたんだよね?」

「あぁ?」

忍者の余裕そうな表情が変わり、少し怒っているように見えた

「一人でできない任務だったんじゃないの?」

「うるせぇ黙れ」

「君は一人じゃ何もできない人間なんだよ」

「黙れ黙れ黙れ!」

「強がりはよしなって、一度、僕たちみたいな雑魚とつるんでみようよ。何か変わるかもしれないよ?」

「…。ものは試し…か」








「「みなさん!目的地につきました!」」

女のアナウンスが船内に鳴り響く。囚人たちは船の窓に集まりだす

次はどこだ!という声が船の中を埋め尽くす。

「「次にみなさんが生きてもらう場所は!無人街です!」」

これを聞いた瞬間、隠れる場所ができたと歓喜するものなどたくさんいた。

「「あと十分ほどで到着いたしますので、準備しておいてくださいね!」」

囚人たちは窓から離れ、戦いの準備を始めた。






船が大きく揺れ、動かなくなる。どうやら目的地に到着したようだ。囚人はそんな揺れはものともせず、次の戦いに向けて、集中力を高めていた。

「「さぁ!船が到着しました!最後に一つ!みなさんがおりてから2時間は人を殺さないでくださいね!」」

だが、誰も降りようとしなかった。あとを追われることを警戒しているのだろう。すると船の奥から大男が少し苛立った様子でこちらにズカズカと歩いてくる。船の板がギシギシと音をたてる。

「さっさと出ろ!じゃねぇと俺がぶん投げるぞ!」

そういうと囚人たちは船を降り、急いで街に向かって走り出した。




「今からどうする?慎吾」

「そうだなぁ。とりあえず拠点でも探そうよ!正義!あと…」

「俺の名前は月影(つきかげ) (やみ)だ。別にお前でいい」

「闇って呼んでいいよね?」

「別に呼ばなくて」

「いいじゃねぇか呼ばせてやっても」

「ふっ、勝手にしろ」

心なしかほんわかとした空気が流れていた。ここが殺し合いの場だということを忘れてしまうぐらいに…。








街についた俺たちは、適当に建物の中に入り、睡眠をとることにした

「お前ら先に寝てろ。俺は見張り役をする」

「ありがと!闇」

「そりゃどーも」





なんでだろうな。これまで他人と組んだことなんてないのに、なんか楽しい。これはあれだ、子供の身体になってるからだ!でも…他人に頼られるのってこんなにいいことなんだな。

「おっ、二人が寝てて、一人しか起きてないのか。もしかしてチャンス?」

くだらんことを考えている間に後ろを取られるとは。不覚だ。

「大丈夫、殺すつもりはないよ」

「お前、誰だ

「俺の名はジョーカー。人殺しを嫌う人間だ」

「ふっ、そんなやつここにはいないはずだがな。十中八九人を殺してるやつしかここにはいないぞ?」

「ばれちったか。人が死ぬ様は大好きだよ。」

「ちっ、くず野郎め」

「あれれ?ちょっと気が変わりそうだなぁー」

「勝手に変わってろ」

「そんなこと言っちゃっていいんだー?」

そう聞こえた瞬間首に何か巻きつき、俺は意識をなくした。









寝すぎたか?と思い、目をこすり、髪の毛をかきむしりながら体を起こす。辺りは明るくなっている。どうやら朝のようだ。こんなに早く起きたことはここ最近なかったが、この身体になってから起きるのが早い。隣には慎吾が寝ている。そういや朝まで寝かしてくれてたんだな。と思い闇の方をみた。

「ってお前も寝てんのかよ!!」

腹が立ち闇の両肩を掴みゆする。

「お前が寝たら俺たち殺されちまうだろ!ってあれ?肩つめたっ」

全く起きないので、一発ビンタを食らわした。

「あれ?なんでこんなに冷えきってるんだ?」

嫌な予感がした俺は闇の首もとに手をやる。

「脈が…ない」

びっくりした俺は本能的に身体を引き、闇の体全体を注意して観察する。首には明らかに何かで絞められたあとがあった。そして襟になにか挟まっていた。

「ジョーカー…。もしかしてあいつか…?」








「あれ?正義。もう起きてたの?起こしてくれればよかったのに…ってどうしたの」

何も知らない慎吾は少し寝ぼけたまま正義に話しかける

「闇が殺された」

「え?…え?」

慎吾は戸惑いをかくせない

「しかも、犯人が誰か知ってる」

「見てたの!?なら何で助けなかったのさ!!!!」

「そう意味じゃない!ここに…ほら」

正義は慎吾に一枚のトランプ、すなわちジョーカーを投げてよこす。

「ジョー…カー?」

「あぁ…。」

「もしかしてあの?」

「知ってるのか?」

「知ってるっていうか、結構僕の中では常識なんだけど」

「マジか、聞いたことないぞ」

「僕が知ってるジョーカーっていうのは、マッドサイエンティストだよ。結構やばいことしてるんだよ」

「あいつ…。そんなんだったのか、手を出さない方が」

「それでも僕は許せないね!いこ!正義!ジョーカーを殺しに!」

慎吾が走りだし、俺もそれについて行った。






「そろそろあの二人はこないかな。面白いものを見せてあげれるのに。」







「ジョーカー!どこだ!」

「正義!そんなんで出てくるはずないよ!」

「いや、あいつのことだからこう言ったら出てくるんじゃないかと思ってさ。」

二人の前に何か紙が落ちてきた。

「何が落ちたんだ?」

「スペード…A」

「ここか」

二人は目の前の建物の階段を駆け足で登り始めた。






「ようやくきたか!お前ら!」

正義と慎吾の目の前には大きな実験施設とジョーカーと一人の人間がいた。

「どうだぁい!これが俺の望んだ研究所さ!さいっっっっこうだろ?まぁ君たちには一つ実験を見てもらおう。まずはこのモニターをみなよ。」

そのモニターには目隠しをして、椅子にくくりつけられた少年がうつっていた。

「君たちには思い込みで死ねることを証明するよ」

そういうと、ジョーカーはモニターに映る部屋に移動した






「くそ!鍵がかかってやがる!」

「僕、こんなの見たくないよ!」

「俺は…みる。」

「なんでさ!!」

「どんな形でさえ、人の最後だぞ!誰かが見届けなきゃいけねーだろ」

「う…うん」

モニターから声が聞こえる

「君は今から俺に殺される。いいな?」

「いやだ!死にたくない!」

「痛くしないから、安心して死になよ」

ジョーカーは右手にナイフ、左手に水の入ったキャップの開けたままのペットボトルを持っていた。

そして、ジョーカーは勢いよく左足を切る。そこまで深い傷ではない。

「ほぉーら、今君の左足が切られたよ。やばいねぇ。出血多量だよ。」

そういって、ジョーカーはペットボトルの蓋を開け、少しずつ水を椅子にくくりつけられているやつの左足の傷口に垂らし始めた

「やばいねえ、このままじゃあと5分ももたないなぁ」

「助けて!助けてくれ!!!」

「そんなに騒いでも助けはこねぇよ!!!!!やばいねえやばいねぇ!!!もうそろそろ死んじゃうねぇ!!!」

ジョーカーは垂らす水の量を増やした。

「ほらほらぁ!やべぇなぁ!出血多量で死んじまうなぁ!」

「やめろぉぉ!やめてくれぇぇぇぇ」

どんどん縛られてる男の顔は真っ青になっていき、叫び声もなくなった。






「どうだった?最高だろ?」

最高の笑顔でジョーカーは正義と慎吾の目の前に帰ってきた

「あんなことして、何が楽しいんだよ!マッドサイエンティスト!」

慎吾が声を荒げる

「お前は馬鹿か?これまでと違って、人を自由に殺していいんだぞ?俺は精神崩壊させて自殺させたいんだ。ここの人間は俺のモルモットだ!ハァァン。やりたいことがもっともぉっとたっくさんあるんだよねぇぇ!!!まずは一色の部屋に人を閉じ込めるだろ?すると精神が崩壊するらしいぜぇ!さらによぉ!他のやつにはずっと鏡に「お前は誰だ!」って言わせるんだ。すると自分が誰かわからなくなるんだってよぉ!ゾクゾクするねぇ…最高だよ!!!笑が止まらないね!アヒャ…アヒャヒャ。アヒャヒャヒャヒャヒャ」






「あのジョーカーってやつ、よく知ってますね」

「でしょう?まさか思い込みで殺すことを実践するとはね」

「生放送で見れて本当に良かったですよ。ましては小学生ですからねぇ。」

薄暗い部屋での鑑賞会はまだまだ終わることを知らなかった。






「お前!僕が絶対許さないぞ!」

「まぁまてよ。フヒッ、お前らもさ…。モルモットなんだよぉぉ。アヒャッ」

「慎吾!落ち着け!ここから逃げんぞ!」

「ダメだよ!逃げてもどうせ殺される。今やらなきゃ。今だよ!いま…今!いまいまいま」

「黙れモルモット!お前らごときが俺を殺せるわきゃねぇだろぉがよぉ!!!!」

「いくぞ!」

「慎吾!まて!落ち着け!」

「闇が死んで…目の前でひどい殺され方をした人間を見て…どうしてそんな冷静でいられるのさ!!!!!!!!」

「冷静でないとさっきのやつの二の舞だぞ!!!」

「もう正義なんてしらないよ!殺されても知らない!僕には…僕にはこれがあるんだ!!!」

慎吾は荒々しくポケットに手を突っ込み、注射器を取り出し、腕に刺そうとした…が、

「あれ?あれあれ?刺さらない!?なんで!?なんで!?!?」

「あぁ、それ?ごめんごっめーん、さっき俺がふんじまったわぁー。いやぁ、悪かったねぇほんと。」

慎吾の顔色が青白くなっていく

「え?僕はあれがないと生きていけない…ひぃいぃい。やだよぉぉぉあれがないと生きていけないよぉぉぉ」

「おい!慎吾!しっかりしろ!」

正義が必死に呼びかけるが慎吾には全く届かない

「やだよ!僕!どうすればいいんだよ!!」

「俺のところにくればいいんだよ。毎日麻薬を投与してあげるよ?」

ジョーカーが話し始めると、慎吾は静かになり、ジョーカーの話を聞く体制になった







僕はこれからどうしたらいいんだ?ずっと投与してきた麻薬がもう投与できない?ほしい、麻薬が欲しいよぉ。でもジョーカーの仲間になったら闇や正義を裏切ることになっちゃう。…ん?裏切る?なんで?別に仲間なんかじゃないでしょ?ちょっと喋っただけじゃん。あんなやつ、どうでもいいよ。






「分かった。僕、君の仲間になるよ」

「は?おい慎吾、何言ってんだ?」

「ジョーカーについてくって言ったんだよぉぉ!!!お前なんてどうでもいいよばーか!!」

「てめぇ!見損なったぞ!!」

「君に見損なわれても痛くも痒くもないね!!さぁ!ジョーカー!僕に早く麻薬をうってよ!」

そう叫び、慎吾は少しずつ近づいて行く

「はやくぅ!はやくぅぅう!」

「もうちょっと近づけ、打てないだろ!」

「こ…こうかい?」

「そうだ、そこだ。」








「ばーか。俺がすぐ裏切るようなやつを仲間にすると思ってんのかよぉ!!!!!!!!!!!!」

ジョーカーは隠し持っていたナイフによって慎吾の首がはねられ、頭が宙を舞った。







「ひゃっはーー!!さいっこうだねぇ!!!!裏切りもんを殺すってのは実に気分がいいぜぇ!!」

「許さねぇ…許さねぇぞジョォォォォォォォォォカァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」








なんだこの気持ちは…俺の中の何かが俺に呼びかける。

「薬を飲め…いいから飲め!!」

どういうことだ?この薬に何が関係あるってんだ。

「いいから飲めよクソ野郎」

体に電流が走ったような感覚がした。飲まなければいけないと勝手に思い込み始めた。こんなもんもんで大丈夫なのか?怖い、飲みたくない、あれ?この底しれぬ恐怖はなんだ?

「お前…このままだと殺されるんだぞ?」

その通りだ、でも落ち着け俺、あの時と同じだ。飲んじゃいけねぇ

「この薬を飲めばあいつを殺せるんだぞ?」

なにいってんだ?

「いいから飲めっつってんだろボケがぁ!!!!!」

俺の身体は俺の意思関係なく、いつの間にかポケットから錠剤を取り出し、口の中に放り込んでいた。








「久しぶりのシャバの空気はうめぇな。さーって、殺しますか」






ついにあの錠剤を飲んだか。俺の命もこれで潮時ってやつか。

やっと…やっと死ねるんだな。これまでなんど望んできたことだろうか。






とある町に三人兄弟がいました。親は幼いころに亡くし、三人で暮らしていました。

「ジョーカーお兄ちゃん!遊んでー!」

三男の名前はクラウン。次男の名前はジョーカーというそうです。

「えー、ジェスター兄ちゃんに遊んでもらえよー」

長男はジェスターというんですね。

「ジェスター兄ちゃんはなんか忙しそうだもんー。いいでしょー」

「しょうがないなぁ。遊んでやるよ」

しぶしぶ了承したようですが、ジョーカーもまんざらではないようで、ニッコリ笑っています。






「ごちそーさま!」

三人の夕食が終わったそうです。

「お風呂にも入ったし、もう寝るか?クラウン」

「えー、今から遊ぼうよージョーカーお兄ちゃーん」

「ダメダメ。もうよる遅いだろ?」

「えーつまんなーい」

「明日たくさん遊ぶために今日は早くねような」

「ぶぅー、分かったよ。じゃあねよ?」

「おう!、ジェスター兄ちゃん」

「ん?」

「クラウンを寝かしてくる」

「いてらー」







「ジョーカー、寝たか?」

「寝てねーよ、どうした?ジェスター兄ちゃん」

「ちょっと、この薬飲んでくれないか?」

そう言って、ジェスターは白い錠剤を差し出しました。

「え?なんで?」

ジョーカーは警戒しました

「いいからさ、元気になるんだって」

「え…なんかこわいよ」

「大丈夫!お前を思ってだから!」

ジョーカーはジェスターを疑った自分を恥じました。いいお兄ちゃんを持ったと思いました。

「ありがと!お兄ちゃん!」

そう言ってジョーカーは錠剤を飲みました。ジョーカーはジェスターを疑ってはいませんでしたが、錠剤を飲んだ時のジェスターの表情は忘れられませんでした。






「全然眠気がこないな」

いつもなら寝ている時間なのにジョーカーには全く眠気がきませんでした。気分転換にと思いリビングに行き水を飲みに行きました。







リビングに着いたジョーカーはコップを一つ取り出し、水をくみ、喉に流し込みました。その時、身体にドクンッという感覚がはしりました。

「なんだ?この感情は…人を殺したい…」

初めての感情でした。ジョーカーは包丁を取り出し、クラウンの部屋に行きました。そして、頭、お腹、首、足、腕を何度も何度もグサグサとさしたのです。

ジョーカーは明日、クラウンと遊ぶという約束を果たせなかったのです。ジョーカーは自らを止めようとしましたが、全く腕が止まってくれません。気持ちよかったのです。ジョーカーは射精が止まりませんでした。また、ジョーカーは涙も止まりませんでした。






「やっちゃったね、ジョーカー」

ジョーカーはびっくりして、後ろを振り返りました。そこにはジェスターの姿がありました。その時のジェスターの顔は、ジョーカーが薬を飲んだ時と全く一緒だったのです。

「違う!これは違うんだ!!」

ジョーカーは必死に弁解します。でも、腕はいうことを聞いてくれません。

「いいよ、ジョーカーは欲望に身を任せたんだ。」

「違うんだ!!!!!」

「実験…実験成功だぁ!!!イィヒャッハーーーー」

「実験…?何言ってるの?ジェスター兄ちゃん」

そう言ってはみましたが、ジョーカーは分かっていました。さっきの薬が原因ということを

「よし!取り押さえろお前ら!」

ジェスターがそう叫ぶと、部屋の奥から見たこともない大男がジョーカーをさらって行きました。





それからジョーカーは何度も自殺を試みましたが、なぜか自分で自分を殺せないのです。また、ジョーカーは人を殺すことで快感を得る体になってしまいました。そして、ジョーカーはジェスターの操り人形になってしまいました。






「死ね!ジョーカー!」

正義はジョーカーの腹に突きを入れ、ジョーカーのナイフを奪い、腹に刺した。

「がはっ」

「おらおらぁ!!!死ねやァァァ!!!!!!」

何度も何度も正義はジョーカーを刺した。自分でも歯止めが全くきかなかった。まるで自分が自分じゃないみたいだった。ジョーカーの意識が遠のいていくなか、正義自体の意識も遠のいており、ほぼ無意識にジョーカーを何度も刺していた。ジョーカーは薄れゆく意識の中正義に

「殺してくれてありがとう」

と言って、笑って死んだ。

そんなことは関係なく正義はジョーカーを何度も何度も刺した。なぜジョーカーを刺しているかなんていう理由は全くわからなかった。ただ、一心不乱に刺した。

「「ただいま、残り50人となりました。殺しあいをやめて、砂浜に戻ってきてください」」

というアナウンスが虚しく響いた。






「ふぅん。ジョーカーってのはこんなもん書いてやがったのか。ん?なんだこの研究…ほぅ」

囚人が砂浜に向かっているなか、一人だけ研究所に残っている者がいた。






「「50人集まりましたね!では、次の会場は初めにきた森です。」」

俺は一体誰だ?この感覚はなんだ?無性に人を殺したい。なんだ?一体なんなんだ!!






「「では!順番におりてくださいねー。また、ここでも2時間は殺し合いをしないでくださいね」」

その言葉を聞き、携帯食料と水とナイフをもち、俺はフラフラと船を降りた。すぐに人を殺したかった。だが、このゲームを失格になると、もう人を殺せなくなると思い、我慢した。






ん?俺はこのゲームをなんでやっているんだっけ?





森についた俺は少し仮眠をとった。

「「では!殺し合いを始めてもらって結構です!」」

このようなアナウンスがなることを俺は知らなかった。まぁ寝てたから仕方ないか。さぁって、殺すか。





俺は前屈みになり、目を細め、人を探しだした。見つけた人は全員ナイフで八つ裂きにした。殺すとなにかがスッキリした。楽しかった。気持ちよかった。俺はこのために生きているんだと思った。






これが証人ってのか?なるほどな。そういうことか。俺がやったんだな。俺が…俺が人を殺したんだ。なんだ?この気持ち…なんか

「楽しくなってきたァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」

そうだ!俺だ!俺が殺して俺が牢屋に入ったんだ!冤罪?何馬鹿なこと言ってたんだ俺!こんなに楽しいんだぞ?やるに決まってんだろ!!!

出会った人全員を殺した。逃がすなんてことはしなかった。恐怖に怯える顔が最高だった。

「いいねぇ!その顔!そそるねぇ!!!殺しがいがあるねぇ!!!!!!!!!!!」

自分でも何人殺したか分からなくなっていた。







「「残り20人となりました。殺し合いをやめて砂浜に集まってください。」」

そのアナウンスは俺を怒らせた。

「もっと殺させろ!!!!!!」

が、すぐにその気持ちはおさまった。今殺したらもう人を殺せないんだぞ?俺。





「「20人集まりましたね。では次は無人街です。もう場所は変わりませんのであしからず。」」

船が動き出す。興奮する気持ちを抑え、睡眠をとることにした。





「「順番におりてくださいねー、降りてから2時間、殺し合い禁止です。では、どうぞ」」

俺は降りてからすぐ、研究所に向った。特に理由はなかったが、行かなきゃいけないと思った。





研究所についた俺の目に、なぜかジョーカーの死体がうつらなかった。片付けられたのか?そう思った瞬間俺の首元にチクリという痛みがはしった

「誰だ!!!!!」

「まぁちょっとまて」

そう言った瞬間、首に何か流し込まれた。注射を打たれたようだ。俺は急激な眠気に襲われその場で横になった。






久しぶりにぐっすり寝た。気持ちいい目覚めだ。ここ最近興奮してばっかりだったからかな。ん?なんで?なんで興奮してたんだっけ?そうだ…人を殺したんだ。俺が?俺が人を殺した?というか俺は冤罪じゃない?は?どういうことだ。

「どういうことだ!!!!!」

「うっせぇ!って、起きたか」

俺の隣には一人の少年がいた。知らないやつのはずなのに、なぜか見覚えのある顔だった。

「お前誰だよ」

すこし寝ぼけていたが、とりあえず聞くことにした。

「俺の名はゼロ。このゲームの元優勝者であり、このゲームを終わらせにきた。お前は?」

「俺の名は江藤正義だ。それよりお前は俺に何した?」

「俺はお前に注射を打った。二重人格の片方を殺す注射をな」

二重人格?やっぱりそうか。自分だけど自分じゃない感覚ってのはここからきたのか。やっぱり冤罪なんてもんじゃなかった。もう一人の俺がやったのか。

「そんなもんどっから持ってきた。」

「そうだなぁ。ジョーカーが作った」

「はぁ!?」

ジョーカーだと?あの屑マッドサイエンティストが何したんだ?

「お前、ジョーカーがなにもんかしらねぇのか?」

「ジョーカーだろ?あの屑野郎だろ?」

「ちげぇよ。ほら、これ見てみろ」

そういうとゼロは俺に一枚の紙を渡した。






ごめんな。ダメな兄ちゃんで。でもな、どうやら俺は今から死ぬらしい。お前のとこにいけるんだ。俺はジェスターの被害を受けた人間すべてを救うと決めたのに、そう、俺を含むこのゲームの参加者全員を…でもダメだな。すぐに人を殺してしまう。この紙をみつけてくれた人にお願いがある。ジェスターを…ジェスターを殺してくれ。

どうやら迎えがきたようだ。じゃあな…頼んだ。




「どういうことだ?」

「まだわかんねぇのかてめぇは!ジョーカーはな!みんなを救うために…自分を救うために戦ってたんだ!」

「は?」

「そもそも、この戦いに囚人なんて存在しない。タダのキチガイだけさ。なんでキチガイになっちまったかって?それはな、ジェスターってやつの薬が原因なんだ。」

「ちょっと意味がわからん」

「まず、今お前らがやってるゲームは第二回だ。そもそもこのゲームはキチガイの小学生100人が殺しあうというものだった。一部の闇機関ではかなり有名なものになった。だが、また100人もキチガイな小学生を集めるのは非常に難しかったそうだ。そこで主催者の一人、ジェスターが子供になる薬というものを開発した。若返りの薬として流通させようとジェスターの助手は提案したが、ジェスターは猛反対した。ジェスターもこの戦いが好きだったんだ。また、ジェスターはもう一つの人格を植え付ける薬、人を殺すことで快感を得ることができる体になる薬、人肉が美味しく感じる体になる薬などたくさん作り上げ、たくさんのキチガイを作り出した。そしてそのキチガイを牢屋のようなとこに閉じ込め、このゲームを始めたんだ。わかったか?」

そうか…思い出した。




ある町に4人で住んでいる家族がいました。すごく貧乏で両親はいつも働いていました。兄と弟は15歳くらい歳が離れていました。兄は働かずに、弟の世話をしていました。本当は働かないといけないのに、兄の方が母より弟を世話するのが上手だったのです。両親が仕事に行っている中とある人が家を訪ねたのです。

「すいませーん」

「どちらさまですか?」

「いえいえ、ちょっとね。」

「セールスならいらないです。帰ってください。」

「まぁまぁ、そう言わないでくださいよ。確かに薬を渡しにきましたが、むしろお金を払うんですよ?」

兄は怪しいなと思いました。

「いいから、帰れ」

「とかいっちゃって、貧乏なんでしょ?悪い話じゃないんですよ?」

「帰れっつってんだろ!」

「お前…いい加減にしろよ?」

そう言ってセールスマンはドアを蹴破り中に入ってきました。

「悪い話じゃねぇっつってんだろ。素直に入れればいいものを」

「な…なんだよ。」

「まぁいい、ここに一千万円ある。取引しないか?」

兄は見たことのないお金にびっくりしました。すぐに欲しいと思いました。

「く…くれるのか?」

「ただじゃありませんよ。まぁ…この薬を飲んでくれればいいんですけどね」

そう言ってセールスマンは白い錠剤を取り出しました。

「誰がこんなもん!いらん!」

「いいんですか?この家がどうなっても」

「あ?」

「私たちの力があればね、こんな家、この家族全員殺すことなんて簡単なんですよ。」

「か…家族には手を出すな!!」

「なら、飲んでくれますよね?」

「…あぁ。」

そういうと、兄は薬を飲みました。セールスマンは一千万円を置いて家を出て行きました。その後兄は家を出て行き、出会う人、一人一人の首をしめ、殺していきました。そして、兄は大男にさらわれました。







そうか…俺もジェスターとやらの薬の被害者なわけだな。

「じゃあ!俺はどうすればいいんだ!こんな身体じゃもう二度と普通にくらせな」

「お前の二重人格は治ったんだよ!!このジョーカーが残した薬で!!!!!俺は…この戦いを二度とひらけなくしたいんだ。そのためにも殺さなきゃなんねぇ。壊さなきゃなんねぇ。ジェスターを…このゲームの本部を!!」

「ど…どうやって?」

「今回のゲームにジェスターが参加しているそうだ。」

「なんでそんなことを知ってるんだよ」

「ジョーカーの日記だ。また、ゲームについてはすべて、優勝後に調べた。異論は認めねーぞ」

「まぁいい。そのためにはまず。ジョーカーの薬を使って」

「無理だ」

「え?」

「ジョーカーの薬はお前には効いた。だが、他のやつに効くとは限らない。俺が言いたいこと…分かるか?」

「あぁ…全員殺して、俺が優勝して、本部のやつを殺せばいいんだな」

「そうだ。なら…いくぞ」

そうして俺たち二人は研究室を出て、人間狩りを始めた。





俺たちタッグはとても相性がよかった。俺自身でも怖いくらいだった。負ける気がしなかった。どんどん殺していった。そして…生存人数は2人となった。






「やっとこの時がきたな」

「あぁ。いこうぜ。」

ジェスター探しを始めた。ジョーカーの日記やノートのおかげでおおよその場所は分かっていた。







「ここ…か。やっと見つかった。さぁ、最終決戦といこうか」

「だな。」

そして、俺はドアを豪快に蹴り破った。







「僕の研究所にはもっと失礼のないように入ってきて欲しいなぁ。ん?君は…江藤 正義くんか。あれ?残りは僕を合わせて二人なんだよね?君は誰だい?…あれ?君はもしかして、前のゲームの優勝者、江藤(えとう) (まこと)くんじゃないかぁ!!!」






少し前に話したお話の続きをしましょう。犯罪者になった兄を持つことになった弟はどうなってしまったのでしょうか。数年後、弟が学校に行くようになりましたが、学校ではすごくいじめられました。先生にもいじめられました。自分はなんで生きているんだろうと何度も考えました。そして、兄と同じことをすることにしたのです。クラスのみんなを殺し、先生までも殺しました。そして学校から抜けだし、校門を走り抜けようとしたところ、大男に捕まりました。






「お前…誠…なのか?」

「…ばれちゃしょうがねぇな。正義兄ちゃん」

通りで見たことのある顔だったわけだ。そして、二人で戦ったときも息ピッタリだったわけだ…ん?まてよ…。

「お前…なんでここにいるんだ?何したんだ?」

「それはね…学校のやつらをたっくさん殺したからさ。俺をいじめるのがわりぃんだ!!!」

どうしていじめられたんだ…俺のせいか…俺のせいなのか

「俺のせいか!!!!ちくしょう!二重人格め!!!俺をどこまで…俺の家族をどこまで傷つけるんだ!!!!!!許さねぇぞ…許さねぇぞジェスタァァァァ!!!!!!!!!!!!!」

「君さ、その名前、どこで聞いたんだい?」

「は?ジョーカーだよ!!」

「あんの失敗作がァァァァ!!そうだ!君は僕の二重人格に乗っ取られる薬を飲んだんだろ?ならなんで、ならなんで僕に反発出来るんだ!!!!!!!!!!!」

「ジョーカーだよ…ジョーカーが俺を救ってくれたんだ」

「アノヤロウ!!!!!!!」

「あいつは弟を自らの手で殺めた。そしてその償いをするために!お前の薬の呪縛から一人でも多く解放するためにどれだけ頑張ったか知ってんのか!!!!」

「さぁね!!!!僕の方が頑張ったさ!!あいつは遊んでばっかだったけど、僕はその間ずーっと勉強してたんだ!!!勉強勉強勉強!!!この気持ちがわかるか?!!!!!」

「は?お前、何を言って」

「僕はジョーカーの兄貴なんだよ!!!!!!!!!!!」

「なっ」

「僕はのうのうと生きていたジョーカーを許せなかった。だからこの戦いに参加した。僕が作った薬を飲ませてるんだから僕が勝つに決まってた。なのに!なのに!!!!」

「てめぇ…自分の弟に薬を飲ませたのか?」

「あぁ!それがどうした!!」

「狂ってやがる…狂ってやがるっつってんだよ!!!!!!!」

「正義兄ちゃん!いくぞ!俺たちはあいつの薬の呪縛なんてとっくに振り払ってんだ!!!!!!」

「あぁ!!!!いくぞ!!!!死ねぇ!!!!!!!」

「「ジェスタァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」」






僕は死ぬのか?エリートの僕が?僕が飲ませた人格を植え付ける薬の効力はジョーカーによって消された。若返りの薬は商品化するために洗脳要素は含めていない。やばい…いやだ!いやだいやだいやだ!!!死にたくない!!!!!

「死にたくないよぉ!!!!」






「死んで詫びろ!!!!!ジェスタァァァァァァァァァ!!!!」







「「残り一人となりました!最後の一人は砂浜にきてください!」」

「やっと終わったんだね。兄ちゃん」

「まだだ。まだ終わっちゃいない。今から本部のやつらを皆殺しにするんだ。」

「おう!絶対!絶対家に帰ろうな!!」

「「家族が待ってるから!!」」





「先日、違法薬物を取り扱っている組織の人間全員が殺される事件がありました。その現場には少年が二人、笑って寝ていたそうです。」







数年後

「百人の子供達が殺し合いを始めました。理由は最後の一人がお家に帰ることができるからです。自分は正しいと思っていた男の子は実はすごく悪い人でした。でも、自分の悪に気付き、反省し、絶望しましたが、家族に会いたいという強い気持ちでこの戦いに優勝したのでした。」

「お姉さん!なんでこんな絵本読むの?」

「シンデレラ読んでよー」

「なんでかって?それはね…いずれあなたたちにもしてもらうからよ」

キャラがしっかししてなかったりといろいろと残念なところが多かったと思います。これからもがんばっていきたいです。

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