表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウォーター国創世記  作者: 雪香
1章―はじまり―
9/100

風呂に入りたい



仮眠を少しとった紗季は、簡単な食事を作った。


不老不死とは言っても、お腹は空くみたいなんだよね。


大怪我をしているトレガーの為に、お粥を作って向かった。


扉を叩き入って行くと、トレガーはすでに起きて窓を見つめていたが、紗季に気付き頭を下げた。


「…おはようございます、ミズハラ様。」


「おはよう、トレガー。ご飯作ったから食べよー。」


紗季の言葉に、トレガーは短く礼を言った。


少し熱めの為、紗季がお粥に息を吹き掛けると、トレガーは慌てた。


「…そのような事までして頂かなくても…;」


えー。


「…まぁ、良いじゃん今は怪我人だもん。直ったらこき使うから、覚悟してね?」


紗季がおどけると、トレガーは少し微笑んだ。


「…はい。是非。」


紗季は食事をしながら、昨夜考えていた事を思い出していた。


「ねぇ、トレガー。」


「はい?」


紗季はじっと見つめた。


「今日、ここの留守を預けても良い?」


は…と言ってトレガーは固まった。


「…俺がですか?」


紗季はあっさりと頷く。


「貴方しかいないでしょ。」


その言葉にトレガーは黙って頷いた。


(…そうか。この国はまだ、俺しかいないんだ。)


それは、臣下も民も溢れ返っていた国から来たトレガーには、不思議に感じた。


特に、側近では無かったトレガーには紗季に直に命を受け、知らず心が躍る事だ。


そんな思いに気付かず、紗季は食事を終えると立ち上がった。


「じゃあ、行って来るね。」


「はい。お気をつけて、お待ちしています。」


トレガーの返事に、紗季は嬉しくなった。


…私は、もう1人じゃないんだ。


扉から出て城を出て行くと、昨日と同じ様に裏の山を目指した。


昨日神を脅して、風呂の事を聞いたのだ。なんと、山奥に天然の温泉があるらしい。


絶対入る!!

はや歩きで行くと昨日よりは早く、50分程で着けた。


茂みをかき分け、山奥に入ると奥から煙が見える。


発見しました!隊長!


温泉を見つけ、紗季は浮き浮きして手を入れた。


「あったかい~。はぁ、めっちゃ嬉しい。」


いそいそと衣服を脱ぎ、温泉に身体を沈めた。


…生き返る~!

ほう…と息を吐いて目を細めた。


しばらくそのままで、ゆっくりと過ごした。


体感時間30分位経った頃、紗季は顔を上げた。


そろそろ出るか。

そう思い、出ようとした時近くの茂みが揺れたのが視界に映る。


紗季が驚いて目を向けると、茂みから人影が飛び出した。


温泉の煙であまり見えなかったが、段々と輪郭がはっきりしてきた。


現れたのは、透けるように白い肌に尖った耳、中性的な美しい容姿の青年だった。


だれ?

てか人間?

つうか…男だよね。


その瞬間紗季は一般女子とは違い、恥じらいより苛立ちが勝った。


「とりあえず、あっち向いてくれませか?」


紗季を見て固まっていた青年は、その言葉に勢い良く後ろを向くのだった。


あー。


めっちゃ耳赤いな。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ